転生した先は三国志の糜芳だったわけだが

徐州の場合

だから経緯は省くといっただろ

　あー、テストテスト、聞こえますか？

　はいどうも、糜芳びぼう、字は子方です。徐州東海郡の土豪の次男坊やってます。

　え？　転生した経緯？　いやだからそういうのは説明してもすぐ忘れるでしょ？　だったら説明するの面倒だしやんなくてもいいかなって。

　近況報告ですか。えっとですね、何不自由なく暮らしていけてます。徐州の麋家って大金持ちだって聞いてはいたけどここまでとはね。俺にはこの生活を棄てて劉備についていくとか考えられない。劉備に付き従うって修羅の道じゃん。

　兄上はきっと劉備にべた惚れなんだろなぁ。可愛い俺の妹まで劉備に嫁にやったんんだろ？　ないない。

　今のところはとくに大事件もなく、黄巾の乱も趙昱ちょういくさんや巴祇はぎさんのおかげで比較的安全だったよ。

　でもやっぱり徐州の大家のもとには不穏な情報が集まってくるんだよね。黄巾がどこでたむろしてる、とかさ。近隣だったらホントは軍を率いて打ち破るべきなんだろうけども、やっぱ戦争っていやじゃん？

　だから賊軍と交渉をして、糜家の土地を貸し出すことを条件に降ってもらったりしようって、兄上に提案したんだ。兄上は人の上に立ってああだこうだと指図するのがニガテみたいで、結局俺がそういうのやる羽目になるんだよ。

　ってなわけで、麋家に恩義を感じるもと黄巾軍総勢三百を手に入れたんだ。それがさ、みんな

「糜芳様、糜芳様」

　ってね、慕ってくれるんだ。屈強な連中ばっかだし、これがそのまま俺の手兵になるなら万々歳なんだがなぁ。

　でも、糜家だけじゃどうにもならん情報を手に入れたのよ。趙昱さんたちが狩りまくってた徐州黄巾賊の残党が近々蜂起するとかなんとか。その総数、万はくだらない。

　今回ばかりは趙昱さんたちでも手に負えなそうだね。そもそも兵力が違う。

　そんなときに徐州刺史として現れたのが、陶謙だ。