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木曜日生まれの子供達
木曜日生まれの子供達-3
宰相の権限が必要な何かがあるのだろうか。
必要ならば出立を数日遅らせるがと告げる俺に首を振り、シグルドは視線を逸らして少し照れ臭そうに指で頬を掻く。
「俺が騎士団長となるより前に、父上は宰相位を辞されていたでしょう? その、一度は『宰相』である父上に、騎士団長として命令をいただいてみたいなと」
……思ったよりも、俺の息子は物好きだな?
† † †
楽しいディナータイムを過ごした俺とヨルガは湯浴みを終えると、早々に宛てがわれた客室に引き籠った。
客室と言ってもここはかつてヨルガの自室だった場所で、オスヴァイン家の当主となったシグルドの配慮で特別なゲスト――つまりは俺とヨルガがオスヴァイン邸に滞在する時専用の客室にしてくれている。
屋敷の主人は既に代わってしまったが、俺達が睦み合った時間が一番長いのは、確実にこの部屋に置かれたキングサイズのベッドの上だ。
ナイトローブを羽織ったヨルガは仰向けに転がったベッドの上でゆったりと書籍の頁を捲り、俺は彼と向き合うように、逞しい胸板に伸し掛かる形で身体を乗せている。
呼吸と一緒に僅かに上下する身体の傾きは、この男と共にあるのだと教えてくれる要素のひとつだ。
悪戯にちょいちょいと布地の上から乳首を掻いてやると、下から見上げる顎先が僅かに震えた。可愛い俺の番は、意外にも敏感なのだ。
調子に乗った俺は、少し立ち上がったヨルガの乳首に、ナイトローブの上から吸い付く。そこまで大きな突起ではないので、吸い付くほどに唇の隙間から唾液に空気が混ざり、じゅぷじゅぷと濡れた音が大きくなった。
乳首を吸いながら密着した腹の隙間に手を差し入れてローブの帯を解き、腹筋から下腹部、髪と同じ色をした下生えまで手のひらで丹念に辿る。髪よりも幾分硬めのそれを指の間で櫛削り、いつも俺の胎を満たしてくれる肉杭を丁寧に撫で、ずしりと重い睾丸も窪みを作った両手に納めて柔く揉みしだく。
身体の下にある腹筋が震え、喉から響く低い笑い声と共に、ヨルガの身体が少しだけ伸び上がる。手にしていた書籍が閉じられる音と同時に聞こえた軽い金属音は、彼が書籍を読むためにかけていた老眼鏡を畳んだ音だ。
もうひとつの乳首に挑みながら見上げると、彼の身体を熱心に探索している俺を榛色の瞳が見つめ、甘く緩む。
お返しとばかりに上に跨る俺の身体に這わされた肉厚の手のひらは、うなじの焼印から翼の痕跡、背骨のひとつひとつから尾の名残骨までを順番になぞる。
尻の肉を両手で掴まれて無遠慮にも左右に割り開かれ、普段は晒されることのないアヌスにひやりとした空気を感じた俺は腰を揺らして喘いだ。
すぐに侵入してきた太い指は速やかかつ強引にも肉杭を迎え入れさせる準備を施すべく、胎を拓こうと蠢く。
しかしそこが既に熱く解れ肉襞が指全体に絡みつくほど熟していると理解すると、ヨルガは歓喜に突き動かされた表情を浮かべる。
「今日も準備をしてくれていたのか……? アンリ」
「ん、ふっ……」
挿し入れた二本の指が中で開かれ、腸壁の襞がじわりと引き伸ばされる感触。
態と指の抜き差しを大きく繰り返して自分で仕込んだローションを掻き混ぜられ、粘着質な音が天に向けて響く。
アヌスから溢れたそれは俺の会陰から睾丸の裏を濡らし、跨いだ腹の上で衰えぬ剛を誇るヨルガのペニスにまで滴り落ちた。
早くそれで貫いてくれと急く胎の中が、暴き足りないとなおも探る指に吸い付いて、貪欲なお強請りを訴える。
「ヨルガ、あ、ヨルゥ……ん。も、早く……」
俺は自分で立たせたヨルガの乳首に頬を擦り付け、もう我慢が利かないと鼻を鳴らした。
「俺のアンリ……お前から、欲しがってくれ」
熱っぽく耳朶に吹き込まれる言葉になんとか返せたのは、甘い吐息のみ。
俺はヨルガの腹に両手をついて半身を起こし、腰を前後に揺らして、尻たぶの隙間でその剛直を強く擦る。
ちゅくちゅくと淫猥な音が繰り返されるたびに、組み敷いた男のペニスが育っていく様が愛おしい。自らを貫く槍を自らの手で育てる行為に抱くのは、ある種の倒錯にも似た背徳感。
いつの日かこの仔に喰われるのだろうと覚悟しながらも、拾ってしまった狼の仔を慈しみ大事に育てた羊の御伽話が脳裏に浮かぶ。献身的な羊は結局、育てた狼の腹に収まることなく、物語の最後では別離の道が選ばれた。
しかしそれは本当に羊にとって幸せだったのかどうか。
狼の群れで長となった養い子と別れ独りぼっちの寝床で羊が「食べてくれても良かったのに」と呟く言葉の意味合いを、幼い頃は理解できなかったが、今は噛みしめることができる――愛する人に喰われてしまうほうが、幸福に決まっているのだ。
俺は片手で前のめりになりそうな身体を支え、もう片方の手で丸々と育ったヨルガのペニスを後ろ手に掴む。呼吸を整えながらなんとか槍の穂先とアヌスが口付けを交わす段階まで持っていくと、そこは物欲しげに肉の唇を開閉させて、ご馳走を咥え込もうと辛抱なしの涎を垂らす。
「んっ……ふ、ヨル、ガ」
「ほら、もう少し」
「はふっ、こ、こう……? ん、もう、入る……」
「……上手だ、アンリ。ほら、手伝ってやる、から!」
「ひうっ……!」
ヨルガの手が俺の尻たぶを割り開き、槍の一番大きな部分が雄膣の中に侵入を果たした。重力の助けるままに腰を下ろして身悶えると、脈打つ熱杭が凶暴さを増し、腰を掴む勢いで胎の深みまで打ち込まれる。
全身を侵食する抗い難い悦楽の波は、背骨を通じて脳を焼き、雄に与えられる感覚しか考えられなくなっていく。
「あ、あぁ! 深い、そんな、最初、から!」
「アンリ……ハハッ、蕩けたいい顔、だ……!」
「や、そん、なっ……じっくり、見る、なっ……!」
暴れ馬に乗せられた哀れな道化の如く揺さぶられ崩れそうに傾いだ身体は、繋いだ指と逞しい腕に支えられる。
はくはくと喘ぎつつも胎を抉る律動にあわせて自らも腰を振る。ヨルガも強い快感を得たのか柳眉を寄せ、下腹が引きしまったことで遂精を耐えたことを報せる。
なんて、ひどい。それは、俺のものなのに。
じとりと熱の籠った眼差しで睨め付けると息を乱した雄は獰猛に笑い、胎を掻き乱すペニスの先端でとうに侵略を果たした深みの角を執拗に舐る。
「は、やく」
「アンリ……!」
「そそいで、俺の、胎……」
「っく……!」
「ヨル、ガ……!」
俺が愛しい番の名を叫んだ瞬間に、逞しい腰を跨いだ膝が浮くほど下から突き上げられた。
同時にヨルガの臀筋に力が込められ、腸壁を焼くほどに熱い迸りが窄まりの奥に勢い良く注ぎ込まれる。
「う、うぅーっ……!」
俺は目を閉じ、侵略を待ち望んでいた器官に精が注がれる錯覚を存分に堪能した。
下腹部に垂れる俺のペニスは先端から薄い体液を滲ませていても達するには至っておらず、雌としての快感のみで高みに押し上げられた事実を改めて噛みしめる。
同じ雄のペニスに屈し雌として扱われても、男としての矜持は番相手であればこそ意味を変え、暴力的な堕落を受け入れられるのだ。
「アンリ……」
熱に烟る、榛色の瞳。
「は、あ……フフッ」
この男で、あればこそ。
自ら選んだ相手で、あればこそ。
満腹になった胎の奥を皮膚の上から撫で摩り。俺はうっとりと、唯一の番に笑いかけた。
† † †
国王が座する玉座の傍らに控えていた俺が、一歩前に歩み出る。謁見室に並ぶ臣下達が連なるように頭を垂れていく様を見下ろし、腰に手を当てて薄く息を吐く。
俺が自ら宰相位を辞する十二年前まで当たり前のように繰り返されていたその光景は、面子こそ入れ替わっていても、自らが国家の中枢にいるという実感を齎してくれる代物だ。
前王に代わり玉座に悠然と腰掛けるのは、国王ウィクルム・アトレイ・パルセミス。
正妃ナーシャを巡る騒動で一度地に落ちた彼の評判は、側妃ベネロペと彼を支持する若き精鋭達の活躍で少しずつ上向きになりつつある。
もしジュリエッタとウィクルムの婚約が破棄されず俺が宰相のままパルセミスの裏に君臨し続けていれば、眼下に並ぶ面子は相当に違ったことだろう。
その最たる象徴でもある騎士団長が俺達の前に傅き、片手を胸に当てて自らの仕える国王と宰相たる俺に敬意を示す。ゆるりと見上げてくる榛色の瞳に宿るのは、抑えきれない歓喜と期待の気配。愛しい息子にこんな眼差しを送られては、流石の俺も半端な命は下せない。
「騎士団長シグルドよ」
「はっ」
「ここ数年の間に、サナハとの国境で傭兵崩れの野盗集団が増加傾向にあると報告が挙がっているな?」
宰相職を得てから二日あまり。状況が長く改善されていない案件を拾って詳細に目を通し、すぐにでも解決できるだろうと推測できたものは数件ほど。
そのうちのひとつが、神出鬼没と噂される野盗集団の存在だ。
その集団は国境近辺の村を襲って主に食糧を奪い、自警団や辺境騎士団が駆け付ける頃には煙のように姿を消す。サナハに逃げ込んでいるのではないかとも考えられたが、サナハの自治軍が把握する限りでは、不埒者の集団は確認できていないとのこと。最終的には王国騎士団から討伐隊が派遣されるに至っているが、やはり成果が芳しくない。
俺はシグルドが頷くのを待ち、予め用意していた地図を文官達に広げさせた。被害の報告があった場所を指し示すと、これまでに『野盗集団』が出没したのは国境沿いの村に集中しているのがよく分かる。
「何度か討伐隊が出ているが、根絶に至っていない。その理由は分かるか」
「理由……でございますか。まずはその野盗達を捕縛できないでいるのが、原因であるかと」
成るほど、模範解答だな。
「良いか騎士団長殿。行動には理由があり、それが成るには根拠がある。神出鬼没であったとしても、パルセミス王国随一の武力を誇る王国騎士団が傭兵崩れ如きに遅れをとるはずもない」
「……しかし、実際に」
「言っただろう。重ねて言うが、お前達は傭兵崩れ如きに遅れはとらない。であれば、結論はひとつ」
俺は再び地図の上に指を置き、『最初に被害に遭った』と言われる村を、爪の先で軽く示す。
「最初から、野盗集団などいないのだよ。いないものを捕らえることなど、できようはずもない」
「いない……!?」
驚きに目を見張るシグルドを置いて、俺は宰相補佐として一歩引いた位置に立つモリノを振り返る。
「モリノ。野盗の被害に遭った村への支援策は?」
「……同年の納税免除と、生活支援金の交付となっています……まさか」
「そのまさか、だな。国からの支援目当てで野盗の被害を偽装したのだろうよ」
「そんな……」
野盗の被害報告は最初の村を中心に国境沿いに広がっている。
病の伝播のようなその動きは、近隣の村から儲け話が伝わり、ならばこちらも……と右に倣えの精神で伝わったもの。
「最初に被害報告が挙がった村の資料に目を通したが、被害に遭った年の前年に手を出した新しい農作物の栽培で、壊滅的な失敗をしている。商人から話を持ち込まれた村長の提案で村民達も出資して買い付けた新種の苗が、どうも土壌にあっていなかったらしい。確かに上手く育てば相当の利益が得られたのは間違いないようだが、最初の土壌調査を怠ったのが一番の敗因だな。村には借金が残された上に、税として収めるべき小麦の収穫までもがままならない。小麦を育てる労力の大半を、大きな収益が見込める新しい農作物の栽培に充てていたわけだからな」
古代竜カリスの恩寵で潤うパルセミス王国は、基本的に天候の悪化による不作とは無縁だ。
しかし虫害や土壌の相性による影響であれば話は変わってくる。
特に古代竜カリスの座する首都近辺から遠く離れた国境沿い付近であれば、恩寵の効果そのものがそれなりに目減りするというもの。
「本来は、万が一農作物が不作となっても災害時の食糧やその年の納税として補完できるよう、小麦の備蓄を各村ごとに量を定めて義務付けている。だから今年の収穫が悪くてもそこから補えば良い話だが、この村では備蓄を利用した動きがない。ここからは俺の推測だが……備蓄を利用しないのではなく、利用できなかったのではないか?」
「……どういう意味ですか?」
モリノの言葉に、俺は軽く肩を竦めて答える。
「ないのだよ。備蓄分が、既に手元になかったんだ。商人の口車に乗せられて、村の備蓄小麦を売って苗の購入資金に充てたのだろう……察するに、商人の真の目的は苗の販売よりも、村に備蓄されていた小麦を安価で手に入れることだ。恩着せがましく押し付ける新しい苗が村の土壌に適合しているかどうかなんて、知ったことではなかっただろう」
そして見事に騙された村長と村人達は、身銭を切ったばかりか自分達の生命線である備蓄小麦までも差し出して財産を泥に捨てる結果となったのだ。
「単なる不作であれば、まだ言い訳はできた。しかし近隣の村は納税分の小麦を育てているのだから、どうしてこの村だけ不作になったのかと追及されるのは間違いない。何よりもこの村では、国で定めている備蓄分まで手放してしまっている。厳しい沙汰が下るのは、火をみるよりも明らかだ」
だから彼らは、苦しい嘘をついた。村を野盗の集団が襲い、備蓄小麦を奪ってしまった、と。実りが少なく見える小麦畑も、野盗が刈り取り持っていってしまったのだと報告を挙げたのだ。
「……最初は彼らも、到底通じる言い訳ではないと思っていただろう。だがなんと、それが通じてしまった」
野盗の被害に遭ったとされる村に首都から派遣された調査員は新人とベテランのペアの文官だったのだが、運の悪いことにベテランのほうが村に到着する寸前で落馬し脚の骨を折る重傷を負った。村長の家に運び込まれた調査員はすぐに医師の治療を受けて大事に至ることはなかったが、折れた骨が治癒するまで碌に歩けない。仕方なくベテランの調査員は新人に指示を出し、新人が村長と村人と共に被害を受けた村の中を見て回ることになった。
若い調査員は親切に応対してくれる村長や村人達に好感を抱き、彼らが示すままに被害状況を調査用紙に書き込んでいる。更には村長達との会話の中で、被害調査において虚偽か真実かの見極めにはどのような点を重視しているかを教えてしまっていた。調査用紙を受け取ったベテラン調査員は村長を呼んで更にいくつかの質問を重ねたが、調査のポイントを予め聞いていた村長がそれに澱みなく答えるものだから、虚偽報告だと見抜けなかったのだ。
「それで件の村は、味を占めた。勿論、同じ村が続けて野盗に襲われるのはおかしいし、毎年そこだけ不作になるのも異常だ。だから彼らは近隣の村に持ちかけたのさ――『村の財産を潤す良い方法を教えるから、こちらに少し見返りを』とね……それが『神出鬼没の野盗』が国境沿いに伝播する正体だ」
「……なんてことだ」
シグルドは天を仰ぎ、モリノも肩を落として溜息をつく。
数年にわたって追いかけてきた野盗の被害がフェイクだと分かれば脱力したくもなる。ましてや被害報告を挙げた各村は、被害を偽証した上で国庫から見舞金までせしめているのだから。
「……すぐに、被害報告を出した村に再度調査員を送ります」
「その必要はない。そもそも最初の村辺りでは数年前の痕跡など失せているだろうし、野盗の被害が真実である可能性も、完全にゼロではないからな。それに、もっと簡単な解決策がある」
「そうなのですか?」
「王立学園の設立と同時に、地方の子供だけでなく勤労世代に対する識字教育も進めてきただろう? 国境付近の村となれば教育水準は低いほうになるが……それでも四割程度の識字率がある」
「仰る通りです」
モリノが頷き返すのを待ち、俺は腕組みをした指先で自分の肘を軽く叩いて嗤う。
「被害報告があった各村に、高札を立ててやれ。『野盗の検挙に有益な情報を提供した貢献者には、高額の報奨金と住居付きの新たな土地を与える』……とな」
俺の提案に、モリノが表情を輝かせる。
「成るほど……! もし偽りの野盗被害を報告してきたのであれば、高札の内容を知って互いに疑心暗鬼になりますね」
「本当に野盗がいるとしても、討伐隊の編成に割いていた資金を情報提供者に渡せば問題ない。そうでない場合、誰かが裏切るのではないかと牽制しはじめる。そうだな……騎士団の駐屯地を何処かに作っておくのも良いだろう。自分だけが甘い汁を啜ろうと、情報を持ち込む者が必ず現れる。そうしたら『よく知らせてくれた。提供してくれた情報をもとに証拠固めに入るから、首謀者達が逃げ出さないように君は村に戻って監視していてくれ』とでも伝えて村に戻したら良い。後は何もしないでも、勝手に情報が集まる……騎士団長」
「はっ」
再度傅く息子を見下ろし、俺は薄く笑って問いかけた。
「この騒動が俺の予想通りであれば、最後に何が生まれる?」
「……嘘を真実とするために偽物の野盗集団が現れるのではないでしょうか」
「フフッ、ご明察だ。有象無象を集めた自称・傭兵崩れの野盗集団が姿を見せるでしょうな……陛下」
俺は正解を言い当てたシグルドを誉め称えた後で、玉座に座る国王を振り返る。
「野盗被害の絡繰は、先ほど説明した通りかと。しかし、ここでひとつ疑問が生じます。最初の村はいざ知らず、続いて被害を報告してきた村から消えた小麦は何処に行ったのか」
ざわり、と並んだ臣下達の間に響めきが広がる。
俺がここまで説明したことで、何を言いたいかが伝わったのだろう。
「最初の村のように商人が買い占めたと考えられなくもないですが、彼らは危ない橋は渡っても一回しか使わないものだ。それに最初に安く買い叩かれたのを知っているから、村側も適正価格でしか売ろうとしない。簡単に買い手が見つからず、国内で売り捌くのは無理だ……となれば」
「全てが国境に近い村……サナハ側に、買い手がいるとでも?」
「可能性は否定できませんな。早急にサナハの中枢と連携を取るべきかと。下手をしたら、紛争の切っ掛けになりかねません」
「心得た……早急に手配させよう」
ウィクルムが頷いて立ち上がり、ベネロペを連れて臣下達よりも先に謁見室を後にする。続いて立ち上がったシグルドが解散を告げると、居並んでいた臣下達は頭を下げて次々と退室していった。
そんな彼らの中でも特に足早に――顔色を変えて帰路を急ぐ数名の後を、訓練を受けた斥候兵達が密かに追跡していく。
「……学習をせぬ奴等だな」
態と的外れの見解を聞かせて今ならまだ取り繕う時間があると思わせ保身を促すのは、これまでに何度も俺が使ってきた誘導法だ。
本人達も関係のない臣下達も『誘導された』と気づいていないからこそではあるが、そもそも悪事を働くならば、いざという時の逃げ道程度は予め作っておけと思う。
サナハ側に買い手がいる……という俺の見解は単なるブラフだ。
飢饉状態などであればいざ知らず、サナハは巨大な穀倉地を有する国なのだから、わざわざリスクを冒して小麦を密輸する必要はない。
つまり、小麦の買い手は普通にパルセミス国内にいるのだ。俺の言葉は、それを炙り出すために水面に投げた小石のようなもの。
「お手数をかけます。宰相閣下」
頭を下げるモリノに、俺は苦笑を返す。
「なんの。お前もそろそろ熟してきたと感じていたところだろう?」
「それは確かに」
そもそもが、食糧だけを奪っていく行儀の良い野盗集団なぞ存在しない。本物ならば襲った村には痕跡隠しで火をかけるし、若い女が捕まれば悉く凌辱される。
神童の誉をそのままに十代の頃から政の中枢に身を置き続けたモリノが、俺が数日資料を読み込んだだけで見抜ける些事に気づかぬはずがない。ならばそれは敢えて、放置していたということ。
ウィクルムの治世は現状盤石ではあるが、枢軸を担う人材が須く若い世代であることが災いして、自称・古参の忠臣が次々と現れては好き勝手に苦言を呈す。雨の後に生える雑草のようなそれを繁るに任せたのは、育ち切ってから刈り取り、枯れ草を滋養にするためだろう。
「ただ、僕の言葉はまだ少し軽いみたいで。相手に焦燥感を与えるのが不得手なんですよね」
語る言葉と指先ひとつで、首筋の寸前にまで刃が迫っているのだと、錯覚させることができるか否か。
これには慣れもあるが、ある程度は外見的な素質が関与する。
「お前は顔立ちが甘いからな。言葉の重みは、態度の積み重ねで培うしかあるまいよ」
外見に年齢の重みを持たせることができないのは、俺とて同じこと。
ただ俺には、現役宰相時代に下した数々の無慈悲な裁量が成果として残されている。
宰相アンドリムの怒りを買った愚者の末路といえば、単なる破滅にとどまらず周囲を道連れにした生き地獄。それを知る者であればあるほど、俺の言葉に余計な口を挟む気が失せるというもの。
「さぁシグルド。お前の仕事はこれからだ」
「……これから?」
訝しげな表情を浮かべるシグルドを他所に、俺は近くに控えていた文官を呼び寄せ便箋とペンを用意させる。
「再調査が入ると、『傭兵崩れの野盗集団』とやらが各地に現れるとの予想は前述の通りだ。しかしその中身は、村人で構成された素人の集団にすぎない。だが制圧が容易くとも、彼らは名目上『傭兵崩れの野盗集団』だ。騎士団の派遣には問題ない」
「名称が立派でも、それでは格下の相手をすることになってしまいますが……あっ」
何かに気づいて短く声を上げるシグルドに頷き、俺は軽く手を叩いて彼の閃きを誉める。
「騎士団に今年の新人達がいるな? 討伐部隊を彼らに任せ、戦果に箔をつけさせてやれ。簡単な仕事をこなすだけで功績を残せる上に、彼らの自信向上にもつながるだろう」
文官が差し出したホルダーを受け取り、予め挟んであった便箋にさらさらと言付けを記す。アスバル家の紋章が透かしに入った封筒に収められるそれは、既知の奴隷商人デメテスカ宛のもの。
「誰であろうと、見せしめをするなら徹底が肝要だ。襲撃者は須く皆殺しにしろ。命乞いなど聞く必要もない。仲間に女子供がいれば、捕らえて売り飛ばせ。売上金は騎士団の資金にプールしてやる。懇意の奴隷商人を王都に呼んでおくから、捌きには困らんはずだ」
「……宰相閣下のご下命、確かに承りました」
以前であれば眉を顰めて睨みつけてきたに違いない俺の提案を正面から受け止めたシグルドは、恭しく一礼を捧げ、榛色の瞳を緩めて「お任せください」と微笑んでくれた。
第三章 旅立ち
馬車の車輪が廻る音に、騎馬の蹄が奏でる音が重なる。
天高く馬肥ゆる秋という慣用句は、本来は敵襲に備えよと警告する意味を持っていたらしいが、今では穏やかな気候を示す耳当たりの良い言葉のひとつだ。日差しの先端が丸みを帯び、実りを待つ初秋の時節は、旅に向いている。
今回が初めての長旅となるアルベールのこともあるが、それでなくとも移動中は天候が安定しているほうが有難い。
そんなアルベールは、馬車の窓越しに熱心に外を見つめている。騎士達の中に憧れの姿が交ざっていることも相まって、キラキラと輝く眼差しがなんとも愛らしい。
キコエドに訪問する正式な使者は、宰相の俺と王太子の従者であるアルベールの二人だ。かつての騎士団長ヨルガは近衛騎士として俺とアルベールの身辺警護を担う立場となった。
移動の際は専ら俺と同じ馬車に乗り込んでいることが多いヨルガだが、今回に限ってはこれ幸いとばかりに近衛騎士の名目に則り、アウロラに跨って護衛の騎士達と共に馬を走らせている。
俺達の護衛に就いた十名の騎士は王国騎士団から選抜された団員達だが、半数ほどはシグルドが騎士団長となってから入団した若手の騎士達だ。ヨルガと並んで馬を走らせる彼らの表情にも、アルベールと似通った憧憬の感情が見え隠れしていて面白い。語り継がれる前騎士団長ヨルガの逸話は、数年程度で色褪せるものではないだろう。
「ベルジュ。騎士達を眺めるのはいいが、周囲もよく見るようにな」
「はい! お爺さま」
旅の目的は俺の隠し子騒動に端を発する暗雲を散らすためのものではあるが、アルベールの教育も大事な要素のひとつだ。
国を治める立場になれば、家臣や民衆の人心掌握、情報の切れ端から全体像を掴む状況把握、先を見抜く未来予測など、様々な能力が必須となってくる。ましてや近い将来でアルベールが嫁ぐリサルサロスは、真実はどうであれ現状では王位簒奪者に統治されている国家。前王が暗愚であったがゆえに国民達には諸手を挙げて歓迎されているが、現王ノイシュラが下す粛清の厳しさに、反発する貴族が多いのも事実だ。その殆どが盲目の凶王が振るう剣のもとに平伏した後であるとは言え、犇く悪意と戦う術を可能な限り伝えてやりたいと望むのは、既に舞台を降りる刻が定められている俺が抱く願いのひとつでもある。
パルセミス王国で製造される馬車には俺の発案で製造させたサスペンションが標準装備となっているので、他国のものより揺れは少ない。
しかし三半規管への影響を考えると、数枚の書類に目を通す程度であればともかく、動く馬車の中で書籍を読み込む行為はあまりお勧めできない。
そこで座学では『これ以上指導する必要はない』と家庭教師から太鼓判を押されたアルベールに対し、キコエドに向かう往路で俺が課した課題は、移り行く景色を見せる車窓から地方の特性を観察すること。
パルセミス王国を旅立って三日目。
道中で二回の宿泊を挟んだ俺達は、セムトアとリサルサロスの国境に近い街道を東に進んでいる。
古代竜カリスの恩寵に護られたパルセミスと異なり、年に二回の雨季を持つセムトアは地域ごとの特徴が分かり易い。
必要ならば出立を数日遅らせるがと告げる俺に首を振り、シグルドは視線を逸らして少し照れ臭そうに指で頬を掻く。
「俺が騎士団長となるより前に、父上は宰相位を辞されていたでしょう? その、一度は『宰相』である父上に、騎士団長として命令をいただいてみたいなと」
……思ったよりも、俺の息子は物好きだな?
† † †
楽しいディナータイムを過ごした俺とヨルガは湯浴みを終えると、早々に宛てがわれた客室に引き籠った。
客室と言ってもここはかつてヨルガの自室だった場所で、オスヴァイン家の当主となったシグルドの配慮で特別なゲスト――つまりは俺とヨルガがオスヴァイン邸に滞在する時専用の客室にしてくれている。
屋敷の主人は既に代わってしまったが、俺達が睦み合った時間が一番長いのは、確実にこの部屋に置かれたキングサイズのベッドの上だ。
ナイトローブを羽織ったヨルガは仰向けに転がったベッドの上でゆったりと書籍の頁を捲り、俺は彼と向き合うように、逞しい胸板に伸し掛かる形で身体を乗せている。
呼吸と一緒に僅かに上下する身体の傾きは、この男と共にあるのだと教えてくれる要素のひとつだ。
悪戯にちょいちょいと布地の上から乳首を掻いてやると、下から見上げる顎先が僅かに震えた。可愛い俺の番は、意外にも敏感なのだ。
調子に乗った俺は、少し立ち上がったヨルガの乳首に、ナイトローブの上から吸い付く。そこまで大きな突起ではないので、吸い付くほどに唇の隙間から唾液に空気が混ざり、じゅぷじゅぷと濡れた音が大きくなった。
乳首を吸いながら密着した腹の隙間に手を差し入れてローブの帯を解き、腹筋から下腹部、髪と同じ色をした下生えまで手のひらで丹念に辿る。髪よりも幾分硬めのそれを指の間で櫛削り、いつも俺の胎を満たしてくれる肉杭を丁寧に撫で、ずしりと重い睾丸も窪みを作った両手に納めて柔く揉みしだく。
身体の下にある腹筋が震え、喉から響く低い笑い声と共に、ヨルガの身体が少しだけ伸び上がる。手にしていた書籍が閉じられる音と同時に聞こえた軽い金属音は、彼が書籍を読むためにかけていた老眼鏡を畳んだ音だ。
もうひとつの乳首に挑みながら見上げると、彼の身体を熱心に探索している俺を榛色の瞳が見つめ、甘く緩む。
お返しとばかりに上に跨る俺の身体に這わされた肉厚の手のひらは、うなじの焼印から翼の痕跡、背骨のひとつひとつから尾の名残骨までを順番になぞる。
尻の肉を両手で掴まれて無遠慮にも左右に割り開かれ、普段は晒されることのないアヌスにひやりとした空気を感じた俺は腰を揺らして喘いだ。
すぐに侵入してきた太い指は速やかかつ強引にも肉杭を迎え入れさせる準備を施すべく、胎を拓こうと蠢く。
しかしそこが既に熱く解れ肉襞が指全体に絡みつくほど熟していると理解すると、ヨルガは歓喜に突き動かされた表情を浮かべる。
「今日も準備をしてくれていたのか……? アンリ」
「ん、ふっ……」
挿し入れた二本の指が中で開かれ、腸壁の襞がじわりと引き伸ばされる感触。
態と指の抜き差しを大きく繰り返して自分で仕込んだローションを掻き混ぜられ、粘着質な音が天に向けて響く。
アヌスから溢れたそれは俺の会陰から睾丸の裏を濡らし、跨いだ腹の上で衰えぬ剛を誇るヨルガのペニスにまで滴り落ちた。
早くそれで貫いてくれと急く胎の中が、暴き足りないとなおも探る指に吸い付いて、貪欲なお強請りを訴える。
「ヨルガ、あ、ヨルゥ……ん。も、早く……」
俺は自分で立たせたヨルガの乳首に頬を擦り付け、もう我慢が利かないと鼻を鳴らした。
「俺のアンリ……お前から、欲しがってくれ」
熱っぽく耳朶に吹き込まれる言葉になんとか返せたのは、甘い吐息のみ。
俺はヨルガの腹に両手をついて半身を起こし、腰を前後に揺らして、尻たぶの隙間でその剛直を強く擦る。
ちゅくちゅくと淫猥な音が繰り返されるたびに、組み敷いた男のペニスが育っていく様が愛おしい。自らを貫く槍を自らの手で育てる行為に抱くのは、ある種の倒錯にも似た背徳感。
いつの日かこの仔に喰われるのだろうと覚悟しながらも、拾ってしまった狼の仔を慈しみ大事に育てた羊の御伽話が脳裏に浮かぶ。献身的な羊は結局、育てた狼の腹に収まることなく、物語の最後では別離の道が選ばれた。
しかしそれは本当に羊にとって幸せだったのかどうか。
狼の群れで長となった養い子と別れ独りぼっちの寝床で羊が「食べてくれても良かったのに」と呟く言葉の意味合いを、幼い頃は理解できなかったが、今は噛みしめることができる――愛する人に喰われてしまうほうが、幸福に決まっているのだ。
俺は片手で前のめりになりそうな身体を支え、もう片方の手で丸々と育ったヨルガのペニスを後ろ手に掴む。呼吸を整えながらなんとか槍の穂先とアヌスが口付けを交わす段階まで持っていくと、そこは物欲しげに肉の唇を開閉させて、ご馳走を咥え込もうと辛抱なしの涎を垂らす。
「んっ……ふ、ヨル、ガ」
「ほら、もう少し」
「はふっ、こ、こう……? ん、もう、入る……」
「……上手だ、アンリ。ほら、手伝ってやる、から!」
「ひうっ……!」
ヨルガの手が俺の尻たぶを割り開き、槍の一番大きな部分が雄膣の中に侵入を果たした。重力の助けるままに腰を下ろして身悶えると、脈打つ熱杭が凶暴さを増し、腰を掴む勢いで胎の深みまで打ち込まれる。
全身を侵食する抗い難い悦楽の波は、背骨を通じて脳を焼き、雄に与えられる感覚しか考えられなくなっていく。
「あ、あぁ! 深い、そんな、最初、から!」
「アンリ……ハハッ、蕩けたいい顔、だ……!」
「や、そん、なっ……じっくり、見る、なっ……!」
暴れ馬に乗せられた哀れな道化の如く揺さぶられ崩れそうに傾いだ身体は、繋いだ指と逞しい腕に支えられる。
はくはくと喘ぎつつも胎を抉る律動にあわせて自らも腰を振る。ヨルガも強い快感を得たのか柳眉を寄せ、下腹が引きしまったことで遂精を耐えたことを報せる。
なんて、ひどい。それは、俺のものなのに。
じとりと熱の籠った眼差しで睨め付けると息を乱した雄は獰猛に笑い、胎を掻き乱すペニスの先端でとうに侵略を果たした深みの角を執拗に舐る。
「は、やく」
「アンリ……!」
「そそいで、俺の、胎……」
「っく……!」
「ヨル、ガ……!」
俺が愛しい番の名を叫んだ瞬間に、逞しい腰を跨いだ膝が浮くほど下から突き上げられた。
同時にヨルガの臀筋に力が込められ、腸壁を焼くほどに熱い迸りが窄まりの奥に勢い良く注ぎ込まれる。
「う、うぅーっ……!」
俺は目を閉じ、侵略を待ち望んでいた器官に精が注がれる錯覚を存分に堪能した。
下腹部に垂れる俺のペニスは先端から薄い体液を滲ませていても達するには至っておらず、雌としての快感のみで高みに押し上げられた事実を改めて噛みしめる。
同じ雄のペニスに屈し雌として扱われても、男としての矜持は番相手であればこそ意味を変え、暴力的な堕落を受け入れられるのだ。
「アンリ……」
熱に烟る、榛色の瞳。
「は、あ……フフッ」
この男で、あればこそ。
自ら選んだ相手で、あればこそ。
満腹になった胎の奥を皮膚の上から撫で摩り。俺はうっとりと、唯一の番に笑いかけた。
† † †
国王が座する玉座の傍らに控えていた俺が、一歩前に歩み出る。謁見室に並ぶ臣下達が連なるように頭を垂れていく様を見下ろし、腰に手を当てて薄く息を吐く。
俺が自ら宰相位を辞する十二年前まで当たり前のように繰り返されていたその光景は、面子こそ入れ替わっていても、自らが国家の中枢にいるという実感を齎してくれる代物だ。
前王に代わり玉座に悠然と腰掛けるのは、国王ウィクルム・アトレイ・パルセミス。
正妃ナーシャを巡る騒動で一度地に落ちた彼の評判は、側妃ベネロペと彼を支持する若き精鋭達の活躍で少しずつ上向きになりつつある。
もしジュリエッタとウィクルムの婚約が破棄されず俺が宰相のままパルセミスの裏に君臨し続けていれば、眼下に並ぶ面子は相当に違ったことだろう。
その最たる象徴でもある騎士団長が俺達の前に傅き、片手を胸に当てて自らの仕える国王と宰相たる俺に敬意を示す。ゆるりと見上げてくる榛色の瞳に宿るのは、抑えきれない歓喜と期待の気配。愛しい息子にこんな眼差しを送られては、流石の俺も半端な命は下せない。
「騎士団長シグルドよ」
「はっ」
「ここ数年の間に、サナハとの国境で傭兵崩れの野盗集団が増加傾向にあると報告が挙がっているな?」
宰相職を得てから二日あまり。状況が長く改善されていない案件を拾って詳細に目を通し、すぐにでも解決できるだろうと推測できたものは数件ほど。
そのうちのひとつが、神出鬼没と噂される野盗集団の存在だ。
その集団は国境近辺の村を襲って主に食糧を奪い、自警団や辺境騎士団が駆け付ける頃には煙のように姿を消す。サナハに逃げ込んでいるのではないかとも考えられたが、サナハの自治軍が把握する限りでは、不埒者の集団は確認できていないとのこと。最終的には王国騎士団から討伐隊が派遣されるに至っているが、やはり成果が芳しくない。
俺はシグルドが頷くのを待ち、予め用意していた地図を文官達に広げさせた。被害の報告があった場所を指し示すと、これまでに『野盗集団』が出没したのは国境沿いの村に集中しているのがよく分かる。
「何度か討伐隊が出ているが、根絶に至っていない。その理由は分かるか」
「理由……でございますか。まずはその野盗達を捕縛できないでいるのが、原因であるかと」
成るほど、模範解答だな。
「良いか騎士団長殿。行動には理由があり、それが成るには根拠がある。神出鬼没であったとしても、パルセミス王国随一の武力を誇る王国騎士団が傭兵崩れ如きに遅れをとるはずもない」
「……しかし、実際に」
「言っただろう。重ねて言うが、お前達は傭兵崩れ如きに遅れはとらない。であれば、結論はひとつ」
俺は再び地図の上に指を置き、『最初に被害に遭った』と言われる村を、爪の先で軽く示す。
「最初から、野盗集団などいないのだよ。いないものを捕らえることなど、できようはずもない」
「いない……!?」
驚きに目を見張るシグルドを置いて、俺は宰相補佐として一歩引いた位置に立つモリノを振り返る。
「モリノ。野盗の被害に遭った村への支援策は?」
「……同年の納税免除と、生活支援金の交付となっています……まさか」
「そのまさか、だな。国からの支援目当てで野盗の被害を偽装したのだろうよ」
「そんな……」
野盗の被害報告は最初の村を中心に国境沿いに広がっている。
病の伝播のようなその動きは、近隣の村から儲け話が伝わり、ならばこちらも……と右に倣えの精神で伝わったもの。
「最初に被害報告が挙がった村の資料に目を通したが、被害に遭った年の前年に手を出した新しい農作物の栽培で、壊滅的な失敗をしている。商人から話を持ち込まれた村長の提案で村民達も出資して買い付けた新種の苗が、どうも土壌にあっていなかったらしい。確かに上手く育てば相当の利益が得られたのは間違いないようだが、最初の土壌調査を怠ったのが一番の敗因だな。村には借金が残された上に、税として収めるべき小麦の収穫までもがままならない。小麦を育てる労力の大半を、大きな収益が見込める新しい農作物の栽培に充てていたわけだからな」
古代竜カリスの恩寵で潤うパルセミス王国は、基本的に天候の悪化による不作とは無縁だ。
しかし虫害や土壌の相性による影響であれば話は変わってくる。
特に古代竜カリスの座する首都近辺から遠く離れた国境沿い付近であれば、恩寵の効果そのものがそれなりに目減りするというもの。
「本来は、万が一農作物が不作となっても災害時の食糧やその年の納税として補完できるよう、小麦の備蓄を各村ごとに量を定めて義務付けている。だから今年の収穫が悪くてもそこから補えば良い話だが、この村では備蓄を利用した動きがない。ここからは俺の推測だが……備蓄を利用しないのではなく、利用できなかったのではないか?」
「……どういう意味ですか?」
モリノの言葉に、俺は軽く肩を竦めて答える。
「ないのだよ。備蓄分が、既に手元になかったんだ。商人の口車に乗せられて、村の備蓄小麦を売って苗の購入資金に充てたのだろう……察するに、商人の真の目的は苗の販売よりも、村に備蓄されていた小麦を安価で手に入れることだ。恩着せがましく押し付ける新しい苗が村の土壌に適合しているかどうかなんて、知ったことではなかっただろう」
そして見事に騙された村長と村人達は、身銭を切ったばかりか自分達の生命線である備蓄小麦までも差し出して財産を泥に捨てる結果となったのだ。
「単なる不作であれば、まだ言い訳はできた。しかし近隣の村は納税分の小麦を育てているのだから、どうしてこの村だけ不作になったのかと追及されるのは間違いない。何よりもこの村では、国で定めている備蓄分まで手放してしまっている。厳しい沙汰が下るのは、火をみるよりも明らかだ」
だから彼らは、苦しい嘘をついた。村を野盗の集団が襲い、備蓄小麦を奪ってしまった、と。実りが少なく見える小麦畑も、野盗が刈り取り持っていってしまったのだと報告を挙げたのだ。
「……最初は彼らも、到底通じる言い訳ではないと思っていただろう。だがなんと、それが通じてしまった」
野盗の被害に遭ったとされる村に首都から派遣された調査員は新人とベテランのペアの文官だったのだが、運の悪いことにベテランのほうが村に到着する寸前で落馬し脚の骨を折る重傷を負った。村長の家に運び込まれた調査員はすぐに医師の治療を受けて大事に至ることはなかったが、折れた骨が治癒するまで碌に歩けない。仕方なくベテランの調査員は新人に指示を出し、新人が村長と村人と共に被害を受けた村の中を見て回ることになった。
若い調査員は親切に応対してくれる村長や村人達に好感を抱き、彼らが示すままに被害状況を調査用紙に書き込んでいる。更には村長達との会話の中で、被害調査において虚偽か真実かの見極めにはどのような点を重視しているかを教えてしまっていた。調査用紙を受け取ったベテラン調査員は村長を呼んで更にいくつかの質問を重ねたが、調査のポイントを予め聞いていた村長がそれに澱みなく答えるものだから、虚偽報告だと見抜けなかったのだ。
「それで件の村は、味を占めた。勿論、同じ村が続けて野盗に襲われるのはおかしいし、毎年そこだけ不作になるのも異常だ。だから彼らは近隣の村に持ちかけたのさ――『村の財産を潤す良い方法を教えるから、こちらに少し見返りを』とね……それが『神出鬼没の野盗』が国境沿いに伝播する正体だ」
「……なんてことだ」
シグルドは天を仰ぎ、モリノも肩を落として溜息をつく。
数年にわたって追いかけてきた野盗の被害がフェイクだと分かれば脱力したくもなる。ましてや被害報告を挙げた各村は、被害を偽証した上で国庫から見舞金までせしめているのだから。
「……すぐに、被害報告を出した村に再度調査員を送ります」
「その必要はない。そもそも最初の村辺りでは数年前の痕跡など失せているだろうし、野盗の被害が真実である可能性も、完全にゼロではないからな。それに、もっと簡単な解決策がある」
「そうなのですか?」
「王立学園の設立と同時に、地方の子供だけでなく勤労世代に対する識字教育も進めてきただろう? 国境付近の村となれば教育水準は低いほうになるが……それでも四割程度の識字率がある」
「仰る通りです」
モリノが頷き返すのを待ち、俺は腕組みをした指先で自分の肘を軽く叩いて嗤う。
「被害報告があった各村に、高札を立ててやれ。『野盗の検挙に有益な情報を提供した貢献者には、高額の報奨金と住居付きの新たな土地を与える』……とな」
俺の提案に、モリノが表情を輝かせる。
「成るほど……! もし偽りの野盗被害を報告してきたのであれば、高札の内容を知って互いに疑心暗鬼になりますね」
「本当に野盗がいるとしても、討伐隊の編成に割いていた資金を情報提供者に渡せば問題ない。そうでない場合、誰かが裏切るのではないかと牽制しはじめる。そうだな……騎士団の駐屯地を何処かに作っておくのも良いだろう。自分だけが甘い汁を啜ろうと、情報を持ち込む者が必ず現れる。そうしたら『よく知らせてくれた。提供してくれた情報をもとに証拠固めに入るから、首謀者達が逃げ出さないように君は村に戻って監視していてくれ』とでも伝えて村に戻したら良い。後は何もしないでも、勝手に情報が集まる……騎士団長」
「はっ」
再度傅く息子を見下ろし、俺は薄く笑って問いかけた。
「この騒動が俺の予想通りであれば、最後に何が生まれる?」
「……嘘を真実とするために偽物の野盗集団が現れるのではないでしょうか」
「フフッ、ご明察だ。有象無象を集めた自称・傭兵崩れの野盗集団が姿を見せるでしょうな……陛下」
俺は正解を言い当てたシグルドを誉め称えた後で、玉座に座る国王を振り返る。
「野盗被害の絡繰は、先ほど説明した通りかと。しかし、ここでひとつ疑問が生じます。最初の村はいざ知らず、続いて被害を報告してきた村から消えた小麦は何処に行ったのか」
ざわり、と並んだ臣下達の間に響めきが広がる。
俺がここまで説明したことで、何を言いたいかが伝わったのだろう。
「最初の村のように商人が買い占めたと考えられなくもないですが、彼らは危ない橋は渡っても一回しか使わないものだ。それに最初に安く買い叩かれたのを知っているから、村側も適正価格でしか売ろうとしない。簡単に買い手が見つからず、国内で売り捌くのは無理だ……となれば」
「全てが国境に近い村……サナハ側に、買い手がいるとでも?」
「可能性は否定できませんな。早急にサナハの中枢と連携を取るべきかと。下手をしたら、紛争の切っ掛けになりかねません」
「心得た……早急に手配させよう」
ウィクルムが頷いて立ち上がり、ベネロペを連れて臣下達よりも先に謁見室を後にする。続いて立ち上がったシグルドが解散を告げると、居並んでいた臣下達は頭を下げて次々と退室していった。
そんな彼らの中でも特に足早に――顔色を変えて帰路を急ぐ数名の後を、訓練を受けた斥候兵達が密かに追跡していく。
「……学習をせぬ奴等だな」
態と的外れの見解を聞かせて今ならまだ取り繕う時間があると思わせ保身を促すのは、これまでに何度も俺が使ってきた誘導法だ。
本人達も関係のない臣下達も『誘導された』と気づいていないからこそではあるが、そもそも悪事を働くならば、いざという時の逃げ道程度は予め作っておけと思う。
サナハ側に買い手がいる……という俺の見解は単なるブラフだ。
飢饉状態などであればいざ知らず、サナハは巨大な穀倉地を有する国なのだから、わざわざリスクを冒して小麦を密輸する必要はない。
つまり、小麦の買い手は普通にパルセミス国内にいるのだ。俺の言葉は、それを炙り出すために水面に投げた小石のようなもの。
「お手数をかけます。宰相閣下」
頭を下げるモリノに、俺は苦笑を返す。
「なんの。お前もそろそろ熟してきたと感じていたところだろう?」
「それは確かに」
そもそもが、食糧だけを奪っていく行儀の良い野盗集団なぞ存在しない。本物ならば襲った村には痕跡隠しで火をかけるし、若い女が捕まれば悉く凌辱される。
神童の誉をそのままに十代の頃から政の中枢に身を置き続けたモリノが、俺が数日資料を読み込んだだけで見抜ける些事に気づかぬはずがない。ならばそれは敢えて、放置していたということ。
ウィクルムの治世は現状盤石ではあるが、枢軸を担う人材が須く若い世代であることが災いして、自称・古参の忠臣が次々と現れては好き勝手に苦言を呈す。雨の後に生える雑草のようなそれを繁るに任せたのは、育ち切ってから刈り取り、枯れ草を滋養にするためだろう。
「ただ、僕の言葉はまだ少し軽いみたいで。相手に焦燥感を与えるのが不得手なんですよね」
語る言葉と指先ひとつで、首筋の寸前にまで刃が迫っているのだと、錯覚させることができるか否か。
これには慣れもあるが、ある程度は外見的な素質が関与する。
「お前は顔立ちが甘いからな。言葉の重みは、態度の積み重ねで培うしかあるまいよ」
外見に年齢の重みを持たせることができないのは、俺とて同じこと。
ただ俺には、現役宰相時代に下した数々の無慈悲な裁量が成果として残されている。
宰相アンドリムの怒りを買った愚者の末路といえば、単なる破滅にとどまらず周囲を道連れにした生き地獄。それを知る者であればあるほど、俺の言葉に余計な口を挟む気が失せるというもの。
「さぁシグルド。お前の仕事はこれからだ」
「……これから?」
訝しげな表情を浮かべるシグルドを他所に、俺は近くに控えていた文官を呼び寄せ便箋とペンを用意させる。
「再調査が入ると、『傭兵崩れの野盗集団』とやらが各地に現れるとの予想は前述の通りだ。しかしその中身は、村人で構成された素人の集団にすぎない。だが制圧が容易くとも、彼らは名目上『傭兵崩れの野盗集団』だ。騎士団の派遣には問題ない」
「名称が立派でも、それでは格下の相手をすることになってしまいますが……あっ」
何かに気づいて短く声を上げるシグルドに頷き、俺は軽く手を叩いて彼の閃きを誉める。
「騎士団に今年の新人達がいるな? 討伐部隊を彼らに任せ、戦果に箔をつけさせてやれ。簡単な仕事をこなすだけで功績を残せる上に、彼らの自信向上にもつながるだろう」
文官が差し出したホルダーを受け取り、予め挟んであった便箋にさらさらと言付けを記す。アスバル家の紋章が透かしに入った封筒に収められるそれは、既知の奴隷商人デメテスカ宛のもの。
「誰であろうと、見せしめをするなら徹底が肝要だ。襲撃者は須く皆殺しにしろ。命乞いなど聞く必要もない。仲間に女子供がいれば、捕らえて売り飛ばせ。売上金は騎士団の資金にプールしてやる。懇意の奴隷商人を王都に呼んでおくから、捌きには困らんはずだ」
「……宰相閣下のご下命、確かに承りました」
以前であれば眉を顰めて睨みつけてきたに違いない俺の提案を正面から受け止めたシグルドは、恭しく一礼を捧げ、榛色の瞳を緩めて「お任せください」と微笑んでくれた。
第三章 旅立ち
馬車の車輪が廻る音に、騎馬の蹄が奏でる音が重なる。
天高く馬肥ゆる秋という慣用句は、本来は敵襲に備えよと警告する意味を持っていたらしいが、今では穏やかな気候を示す耳当たりの良い言葉のひとつだ。日差しの先端が丸みを帯び、実りを待つ初秋の時節は、旅に向いている。
今回が初めての長旅となるアルベールのこともあるが、それでなくとも移動中は天候が安定しているほうが有難い。
そんなアルベールは、馬車の窓越しに熱心に外を見つめている。騎士達の中に憧れの姿が交ざっていることも相まって、キラキラと輝く眼差しがなんとも愛らしい。
キコエドに訪問する正式な使者は、宰相の俺と王太子の従者であるアルベールの二人だ。かつての騎士団長ヨルガは近衛騎士として俺とアルベールの身辺警護を担う立場となった。
移動の際は専ら俺と同じ馬車に乗り込んでいることが多いヨルガだが、今回に限ってはこれ幸いとばかりに近衛騎士の名目に則り、アウロラに跨って護衛の騎士達と共に馬を走らせている。
俺達の護衛に就いた十名の騎士は王国騎士団から選抜された団員達だが、半数ほどはシグルドが騎士団長となってから入団した若手の騎士達だ。ヨルガと並んで馬を走らせる彼らの表情にも、アルベールと似通った憧憬の感情が見え隠れしていて面白い。語り継がれる前騎士団長ヨルガの逸話は、数年程度で色褪せるものではないだろう。
「ベルジュ。騎士達を眺めるのはいいが、周囲もよく見るようにな」
「はい! お爺さま」
旅の目的は俺の隠し子騒動に端を発する暗雲を散らすためのものではあるが、アルベールの教育も大事な要素のひとつだ。
国を治める立場になれば、家臣や民衆の人心掌握、情報の切れ端から全体像を掴む状況把握、先を見抜く未来予測など、様々な能力が必須となってくる。ましてや近い将来でアルベールが嫁ぐリサルサロスは、真実はどうであれ現状では王位簒奪者に統治されている国家。前王が暗愚であったがゆえに国民達には諸手を挙げて歓迎されているが、現王ノイシュラが下す粛清の厳しさに、反発する貴族が多いのも事実だ。その殆どが盲目の凶王が振るう剣のもとに平伏した後であるとは言え、犇く悪意と戦う術を可能な限り伝えてやりたいと望むのは、既に舞台を降りる刻が定められている俺が抱く願いのひとつでもある。
パルセミス王国で製造される馬車には俺の発案で製造させたサスペンションが標準装備となっているので、他国のものより揺れは少ない。
しかし三半規管への影響を考えると、数枚の書類に目を通す程度であればともかく、動く馬車の中で書籍を読み込む行為はあまりお勧めできない。
そこで座学では『これ以上指導する必要はない』と家庭教師から太鼓判を押されたアルベールに対し、キコエドに向かう往路で俺が課した課題は、移り行く景色を見せる車窓から地方の特性を観察すること。
パルセミス王国を旅立って三日目。
道中で二回の宿泊を挟んだ俺達は、セムトアとリサルサロスの国境に近い街道を東に進んでいる。
古代竜カリスの恩寵に護られたパルセミスと異なり、年に二回の雨季を持つセムトアは地域ごとの特徴が分かり易い。
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