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私はどうしたら
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「良くも教皇様をこんな目に!」
これ以上誰にも傷ついてほしくない。
「勇者を討ち取れ!そして聖女を取り戻せ!」
私たち勇者パーティーを取り囲む100人の聖騎士達、
「心配すんな。ブギとの戦いに比べたらこんな奴ら」
「そうですよ。相手になりません」
背中合わせに100人の聖騎士と睨み合い余裕を見せるワタルとハンス……双方、互いに武器を構えて相手の出方を伺っている。
(聖騎士達は洗脳されているだけで、彼らに罪はない。だから傷ついてほしくない。それに流石のワタル達でも100人の聖騎士を相手にしたらただじゃ済まない)
「待って!」と言葉にして双方を止められたら1番いいのだけど、教会の聖騎士達は全員、教皇の施した「教育」によって洗脳されていて教皇の言うことしか聞かないし、私のことは「道具」としか思っていない。崇拝する教皇という神を支える道具の一つとしか。
(拘束魔法で全員を捕らえれば、この場を納められるかもしれない。だけど、私の魔力量じゃ40人までが手一杯……)
「助けて下さい女神様」と、どうにもならない状況にいつもの癖ですがるように祈ってしまった。でも、私は知っている。祈ったところでこれまでだって一度も女神様は助けてくれなかった。結局、自分で何とかするしかなくて……、
(やるしかない……自分の力だけで何とかするしかない)
不安しかない。できる確証のないことをやろうとしているのだから当たり前なのだけど、手が、唇が震える。
「ふぅぅ、大丈夫」
私は知っている。限界を作っているのはいつだって自分自身で、意外とやってみれば何だってできるんだって……ワタル。あなたのおかげで気づけた。そんなあなたにこんな私のことなんかで傷ついてほしくない!
"大丈夫"
あなたはいつだって私にそう言ってくれた。だからきっと今回も大丈夫。
「聖女は多少傷がついても回復魔法で治せる。元に戻せる。今はとにかく勇者を討ち取ることに専念しろ」
「「おおう!!」」
「かかれ!」
100人の聖騎士が一斉に動き出した。
「返り討ちにしてやる」
「余裕ですね」
襲い来る聖騎士達を前にワタルは魔力を練り上げ、その魔力を拳に纏わせた。ハンスは大盾を前方に構えるといつでも突進できるように静止……そして2人は準備が終わると一斉に飛び出した。
「「死ねえ!勇者!」」
「お前らが死ね!」
両者衝突まで3秒……私は慌てずに魔力を練り上げる。そして聖騎士が構えた剣を振り下ろし、ワタルが拳を突き出した。
「……拘束する魔法(レストレイン)!」
その瞬間、私は魔法を発動した。
魔法はイメージが肝になる。だから少しでも「できない」と思うと魔法は形にならず崩れる。どれだけ思い込めるか。自分を信じられるか。
「な?!」
「う、動けない!」
魔力により具現化した魔法の鎖によって手足を拘束された100人の聖騎士と、
「マジかよ……」
「これは流石に驚きです……」
ワタルとハンスが地面に転がる。
(もしくは自分を奮い立たせてくれる人物の言葉を信じられるか)
それが重要となる。私の場合はまだ自分を信じきれない所がある。だけど、そんな私でもワタルの言葉は信じられた。結果、この不毛な戦いを教皇と一部の聖騎士を除いて無傷で収めることができた。
「やっ……た」
自分の持てるだけのものを全て動員した。余力なんて残っていない。一気に押し寄せてきた疲労と魔力切れに私は意識を手放した。
「お前はすごいやつだ」
薄れゆく意識の中、優しげな女性の声が聞こえた。
これ以上誰にも傷ついてほしくない。
「勇者を討ち取れ!そして聖女を取り戻せ!」
私たち勇者パーティーを取り囲む100人の聖騎士達、
「心配すんな。ブギとの戦いに比べたらこんな奴ら」
「そうですよ。相手になりません」
背中合わせに100人の聖騎士と睨み合い余裕を見せるワタルとハンス……双方、互いに武器を構えて相手の出方を伺っている。
(聖騎士達は洗脳されているだけで、彼らに罪はない。だから傷ついてほしくない。それに流石のワタル達でも100人の聖騎士を相手にしたらただじゃ済まない)
「待って!」と言葉にして双方を止められたら1番いいのだけど、教会の聖騎士達は全員、教皇の施した「教育」によって洗脳されていて教皇の言うことしか聞かないし、私のことは「道具」としか思っていない。崇拝する教皇という神を支える道具の一つとしか。
(拘束魔法で全員を捕らえれば、この場を納められるかもしれない。だけど、私の魔力量じゃ40人までが手一杯……)
「助けて下さい女神様」と、どうにもならない状況にいつもの癖ですがるように祈ってしまった。でも、私は知っている。祈ったところでこれまでだって一度も女神様は助けてくれなかった。結局、自分で何とかするしかなくて……、
(やるしかない……自分の力だけで何とかするしかない)
不安しかない。できる確証のないことをやろうとしているのだから当たり前なのだけど、手が、唇が震える。
「ふぅぅ、大丈夫」
私は知っている。限界を作っているのはいつだって自分自身で、意外とやってみれば何だってできるんだって……ワタル。あなたのおかげで気づけた。そんなあなたにこんな私のことなんかで傷ついてほしくない!
"大丈夫"
あなたはいつだって私にそう言ってくれた。だからきっと今回も大丈夫。
「聖女は多少傷がついても回復魔法で治せる。元に戻せる。今はとにかく勇者を討ち取ることに専念しろ」
「「おおう!!」」
「かかれ!」
100人の聖騎士が一斉に動き出した。
「返り討ちにしてやる」
「余裕ですね」
襲い来る聖騎士達を前にワタルは魔力を練り上げ、その魔力を拳に纏わせた。ハンスは大盾を前方に構えるといつでも突進できるように静止……そして2人は準備が終わると一斉に飛び出した。
「「死ねえ!勇者!」」
「お前らが死ね!」
両者衝突まで3秒……私は慌てずに魔力を練り上げる。そして聖騎士が構えた剣を振り下ろし、ワタルが拳を突き出した。
「……拘束する魔法(レストレイン)!」
その瞬間、私は魔法を発動した。
魔法はイメージが肝になる。だから少しでも「できない」と思うと魔法は形にならず崩れる。どれだけ思い込めるか。自分を信じられるか。
「な?!」
「う、動けない!」
魔力により具現化した魔法の鎖によって手足を拘束された100人の聖騎士と、
「マジかよ……」
「これは流石に驚きです……」
ワタルとハンスが地面に転がる。
(もしくは自分を奮い立たせてくれる人物の言葉を信じられるか)
それが重要となる。私の場合はまだ自分を信じきれない所がある。だけど、そんな私でもワタルの言葉は信じられた。結果、この不毛な戦いを教皇と一部の聖騎士を除いて無傷で収めることができた。
「やっ……た」
自分の持てるだけのものを全て動員した。余力なんて残っていない。一気に押し寄せてきた疲労と魔力切れに私は意識を手放した。
「お前はすごいやつだ」
薄れゆく意識の中、優しげな女性の声が聞こえた。
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