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第一章
アルファラン大森林
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この森、何て言う名前なんだろう…。
そう思った私は小さく「マップ」と唱えてみた。すると鑑定の時と同じウィンドが出てきた。
「あら?使い方教えたっけ」
「試してみたの」
「どんな結果が出たの~?」
ルアンが方に乗りながら聞いてくる。ほっぺに当たる毛がモフモフ!!
「ヨウ~?」
「…ここがアルファラン王国であること、この森がアルファラン大森林と呼ばれること、この国にある最大級に森林で色々な魔物がいること、果物や薬になる薬草があること…後は近くにある集落かな」
「レベルが上がるともっと色んなことが分かるようになるよ!!」
ああ、だからマップに映る範囲が狭いのね。
「言い忘れていたけど、もっと砕けた言葉遣いにした方がいいわよ」
「分かった…これで良い?」
「ばっちりよ!」
何で砕けた言葉遣いに?でもルナが言うんだから理由があるはずよね?ううん、だよね?
「ヨウは職業を何にするかもう決めた?」
「職業?まだ」
世界中を見るんだし商人か冒険者だよね…
「なら冒険者にしましょう」
「冒険者?ルナ、理由は?」
「倒した魔物を買い取って貰えるし、真面目なヨウなら直ぐにランクが上がるからよ。ヨウには悪いけど、外見だとあなたは6・7ぐらいの子供にしか見えないわ。冒険者は10歳を超えているなら誰でもなれるの。登録してランクCまで上がれば誰もヨウの事を馬鹿にしたり出来なくなるから」
…日本人は幼く見られがちなの忘れてた。
「そっか、じゃあ冒険者になろうかな」
「まずは、魔物をじゃんじゃん狩ってお金を稼ぐわよ!でないと安宿にも泊まれないわ!」
所持金0だもんね。
「マップで探してみようか」
「ヨウのスキルはどれも特別製だから『合成』が出来るよ~」
「『合成』?」
何それ?
「例えば『マップ』と『鑑定』を合成すると倒した魔物や採取した果物・薬草が『マップ』に表示されるんだ!」
それは便利かも。冒険者の依頼で討伐や採取に行ったときにすぐに場所が分かるってことでしょ?
「どうすればいい?」
「『マップ』と『鑑定』を合成ていうだけよ」
ならさっそく
「『マップ』と『鑑定』を合成!」
<『マップ』と『鑑定』を合成しました>
「うわ!?」
今の何??
「ああ、<ヘルプ>の声よ。ヨウ専用の」
「…ヘルプ?」
「アナウンスのようなもの。気にしなくていいわ」
…ゲームのレベルアップの時のようなもの?
「他には合成しないの~?」
「う~ん…何があるかな?」
「そうねぇ、『マップ』と『薬草学』、『魔力視』と『魔法学』、『暗視』と『千里眼』、『刀術』と『手加減』、『護身術』と『手加減』『真贋』と『害意察知』かしら」
「なら、『マップ』と『薬草学』、『魔力視』と『魔法学』、『暗視』と『千里眼』、『刀術』と『手加減』、『護身術』と『手加減』、『真贋』と『害意察知』を合成!!」
「ちょ!?」
<『マップ』と『薬草学』を合成しました>
<『魔力視』と『魔法学』を合成しました>
<『暗視』と『千里眼』を合成しました>
<『刀術』と『手加減』を合成しました>
<『護身術』と『手加減』を合成しました>
<『真贋』と『害意察知』を合成しました>
「っつ!?」
あ、頭が痛い!!
「はぁ当たり前よ。『合成』には、魔力を使うの。私が言う前にやるから…」
…それを先に行ってほしかった!
何て一人で思っていたら、ゾワリとした感覚が背中にはしった。
「ヨウ!魔物化したボアよ!」
猪に似た魔物・ボア。
これが初戦闘。大丈夫、落ち着け。ルナ達もいる、一人じゃない。
落ち着いて『神楽月』を抜いて構える。
ボアは警戒しているのか、攻撃してこない。
なら、こちらから行く。
「月与瀬流剣術 月の壱 ―― 雪月花」
『神楽月』は長年愛用していた木刀と同じくらい手に馴染み、抵抗なくボアの首を落とせた。
「凄い…」
「ヨウ!!周りを警戒してなかったでしょ!ここは日本じゃないのよ!警戒を怠らないことは基本中の基本よ!!」
「うん、ごめん」
そうだ、ここは日本じゃない。異世界に来たからって油断するな!
「さ、ボアをしまって次に行きましょう」
「うんそうだね」
首無しボアを収納して再び歩く。
「水場に行って着替えたいな」
「なら先に水場を探しましょう」
あ、でも飲み水として使えるかな?
「ルナ、魔法を教えて」
「ヨウは『全属性』を持っているのよね?なら、『魔力感知』で自分の魔力を感じたら『魔力制御』を意識しながらイメージするの。ウォーターなら自分の魔力が水として、蛇口を自分としたら、自分の外に水を出すイメージ…かしら」
イメージかぁ。…月与瀬流剣術の水の型や火の型に魔法を使ったら威力が増すかも?後でやってみる価値ありね。ああでも、月の型はどうしよう?光を月の形にする?でもそれだと…
この時、ヨウは考え事に集中しすぎて周りが見えてなかった。ルナ達がそれに気づき注意しようとした時、ウォーターモンキー(水魔法を使うサル)が頭上からヨウを攻撃しようとした。が、ヨウの体は無意識のうちに玖ノ型 月凪を繰り出してウォーターモンキーを切り伏せた。
それを見ていた三匹は戦慄した。そんなことが出来るのはその道を究めた達人か、それを出来なければいけない環境にいた人間ぐらいだ。
――『ヨウは、無意識のうちに警戒していてウォーターモンキーの殺気に気づき、型を繰り出した』。
また、その事実に気づいた三匹は絶句し、ヨウの実力の認識を改めた。
「…あれ、このサルは?」
「…襲ってきたのをヨウが切り伏せたのよ」
「…またやちゃた」
前にも同じ事やってテロリストを投げ飛ばしたっけ。
「収納して進もうか」
ルナからジト目で見られてる気がする!!
・
・
・
「着いた!」
透明度の高い湖だった。
「飲み水に使えるかな?『鑑定』」
名前 アルファラン湖
状態 飲み水 優
備考 アルファラン大森林にある最大級の湖。人に見つかっていなかった為、透明度が高い。
原水から直の為とても美味しい。
「おお!!…でも返り血は落とせないなぁ」
「でも水の問題は解決したわ」
「ヨウ、飲んでいい?」
「そうね、飲みましょう」
手にすくって飲んでみる。
「美味しい…」
日本でも飲んだことが無いぐらい美味しい。
「あら?…良く見るとウィンディーネがいるじゃない」
「ウィンディーネって、水の精霊よね?」
「ウィンディーネがいる水には浄化作用が付くの。だからヨウが水浴びしても大丈夫よ」
そういうことなら今着ていた服を脱いで水浴びをする。
「今から汚れるけどごめんね」
髪に着いた血糊を落とす。…普通、血糊は落ちにくいんだけど?何で水をかぶっただけで落ちてるの?不思議に思いながら来ていた服を洗う。…この服、死ぬ前に来ていた服だ。汚れが落ちたので上がってストレージを開く。
「ストレージ」
出てきたリストからドレスアーマーを選ぶ。一つは…袴?上は白を主体として振袖は短く雪の結晶を思わせる柄が入っている。下は戦いを考慮したのか膝下までで色は水色から下に行くにつれて青になっていて、左横に同じ柄。
二つ目は白いふわっとしたシャツ。その上から着る袖無しのワンピースで色は少し薄い…青い紺(?)。長さは膝下まで。それとフード付きの優しい茶色。縁とリボンは黄色。長さは腰位まで。
「袴の方は羽織もセットだと聞いたわよ」
と聞いて出してみると、新芽色の羽織だった。柄は薄い水色の花が振袖と下の方に。長さは膝下まで。
「鑑定したら?」
「うん『鑑定』」
ドレスアーマー(道場着型)
種類 ドレスアーマー
特性 破壊不能 サイズ自動調整 自動治癒 物理・魔法攻撃無効
備考 月与瀬流剣術道場でヨウが使っていた道場着を元に改造を加え可愛らしく、成人すれば女性らしく見えるように創られた渾身のアーマー。
再生の女神フローライトと破壊の女神インカローズが月与瀬 曜の為だけに創り上げたドレスアーマー。
ヨウ以外は着ることが出来ない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
羽織
種類 上着?
特性 破壊不能 サイズ自動調整 鑑定阻害 HP自動回復
備考 道場着型ドレスアーマーと合わせて使えるように創られた羽織。許可無く鑑定を使われた場合、鑑定阻害が自動発動する。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ブーツ
種類 ロングブーツ
特性 疲労回復 破壊不能
備考 グリフォンの革で創られた膝下までのブーツ。一週間歩き続けても疲れない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ドレスアーマー
種類 ドレスアーマー(ワンピース型)
特性 破壊不能 サイズ自動調整 自動治癒 物理・魔法攻撃無効
備考 ヨウの希望通りに創られた(?)アーマー。どちらを着ても大丈夫なように、道場着型ドレスアーマーと同じ特性。
ヨウ以外は着ることが出来ない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ローブ
種類 フード付きローブ
特性 破壊不能 サイズ自動調整 鑑定阻害 HP自動回復
備考 ワンピース型ドレスアーマーと合わせて使えるように創られたローブ。許可無く鑑定を使われた場合、鑑定阻害が自動発動する。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ブーツ
種類 ロングブーツ
特性 疲労回復 破壊不能
備考 グリフォンの革で創られた膝下までのブーツ。一週間歩き続けても疲れない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
オブシディアン付きシルバーリング
特性 МP自動回復 破壊不能
備考 再生の女神フローライトと破壊の女神インカローズの加護により地球の科学力でも壊すことが出来ない。
「「「「……」」」」
勿論この後偽装しました。
・
・
・
「ルナ、私の外見って美少女って奴よね?」
体を魔法で乾かし、道場着型ドレスアーマーを着て羽織を着ながらルナに聞く。
「フローライト様とインカローズ様が本気になって、完成後は『やりきった…』て感じだったもの」
私の外見は、ほっそりとした手足に艶やかで長さは腰まであり、元の髪よりも黒が強い。肌は白くシミ一つ無い。顔は確認出来なかったっけど多分可愛い。
「そろそろご飯にしようか」
「果物もあった方がいいんじゃない?」
「そうだね、近くにあるから取りに行こう」
果物の種類は林檎かな?アルファラン湖の近くには沢山の果物が出来ていた。
「今日は林檎と苺がいいな」
「リンゴと野イチゴね」
「?日本と同じ…?」
「先人の一人が料理人で、広めたのよ」
成程。なら、変えなくていいのか。
「鑑定」
名前 リンゴ(コリン)
状態 優 とても美味しい
名前 野イチゴ(チル)
状態 優 とても甘くて美味しい
「当たりだよ、三人共!!」
50個程林檎と苺を摘み、ストレージへ。それにしても苺と林檎って季節違うよね?異世界だからなのか?と疑問に思いつつも収納する。
「桃とサクランボも食べ頃よ?採る?」
と言われたので桃とサクランボも50個程収穫?し、ストレージへ直行。帰りながら
「アルファラン湖のそばに薬草が生えてたね。ルナ、私でもポーションを作れるかな?」
マップに薬草畑が映っているのを見て、ルナに聞く。
「薬草学があるなら、薬師じゃなくても出来るわよ」
「なら作ろう」
他にもいろいろ聞きながらアルファラン湖へ戻ると
『…人間がこの聖域に何用だ?』
こちらを威嚇するペガサスがいた。
どうしようかと悩んでいるとルナ・ライト・リアンが前に出て
「我らは神獣と妖怪。貴様は幻獣であろう?何時から幻獣は頭も下げず我らの許しなく話している?」
「それに僕らの主に対してその言葉遣いは何?何時からお前はそんなに偉くなったの~?」
「八つ裂きにされ、ご飯にされたくなければ相応の礼儀を見せなさい?」
とこの三匹は『笑顔なのに笑っていない』という明らかに怒っている顔でペガサスを追い詰める。ペガサスは顔を青白くして慌てて頭を下げる――というより命乞いしている。
「申し訳ありません!そこの人間…いえ、貴方方の主しか見えておらず、無礼を働き…どうかこの命だけはご容赦下さい!!」
「どうするんだ?ヨウ様?」
…様?ああ、ペガサスの前だからか。外交の時と同じか。
「どうするって?」
「ペガサスはヨウ様に無礼を働きました。ただの人間ならばあのような傲慢で此方を見下すような言葉も許されますが、我ら神獣と妖怪…人間側で言うなら頂点、国王や皇帝を配下に置き命令できる存在…その地位にいるヨウ様へのは許されることではありません。罰を与えねば」
「その罰を私に決めろと?」
「その通りでございます、主様」
リアン、そんな喋り方出来たんだね。いつものばし口調のリアンとのギャプに内心驚きつつペガサスを見る。体は小刻みに震えている。それは緊張からか、『目上の者に対しての無礼を働いたことに対して下る罰がどんなものなのか』と言うことか、それとも恐怖に因るものなのか…この感じだと最後だな。
心が冷たくなっていくのを感じながら罰を考える。
ふとあることを思いつき、私は『性格が悪いなぁ』と思い内心で苦笑しつつ曜はペガサスをさらに追い詰める。
「ねえ、さっきの弁解の時『そこの人間』って言った後慌てて言い直してたよね。内心では私の事、見下してるのかな?」
「いいえ、そんなことは!!」
「誰が喋っていいって許可出しったっけ?」
ルナ・ライト・リアンの目の温度が下がり、慌てて弁解しようとして許可無く話したことでさらに下がる。
もうひと押し…かな?
「『命だけは』っていうけど私にメリットは無いよね?精々『身の程をわきまえずに愚かにも突っかかって来た馬鹿で脳の足りてないペガサスが生き延びてこの森にいる』ってことぐらいで、むしろデメリットな気がするなぁ」
「では、殺しますか?」
「断罪ならば僕が致しましょう」
「ん~…ペガサス。あ、喋っても良いけど聞かれたこと以外は駄目だよ」
「は、はい」
「お前は命以外の全てを差し出すか?」
「勿論ですとも!!」
あ~これは、私が宝でも欲しがっていると勘違いしてるかな?丁度いいや。
「そうか、全てを差し出すか」
「はい!この不肖のペガサス、出来る事でしたら何でも致します!!」
この時私はつい笑ってしまった。ペガサスは頭を下げたまま話していたから『この笑顔』は見ていない。見ていればこの後の要求はなにか気づけただろう。そして自分の言葉に後悔しただろう。三匹は…ああ、気が付いてるな。ならば下そう、判決を。
「ペガサス、お前の罰を言い渡す。お前はこれから『私の従魔』となり、私の手足となって働け。それが罰だ。異論は認めないし聞かない。…いいな?」
「…はい」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*ヨウが曜に戻りました。日本に居たころはこれで他国を泣かせていました。(笑)
他国から『コイツハ、オヒトヨシノニホンジンジャネエ!!』と言われてました。
『ジェダイト』でも敵には基本的こんな感じです。
そう思った私は小さく「マップ」と唱えてみた。すると鑑定の時と同じウィンドが出てきた。
「あら?使い方教えたっけ」
「試してみたの」
「どんな結果が出たの~?」
ルアンが方に乗りながら聞いてくる。ほっぺに当たる毛がモフモフ!!
「ヨウ~?」
「…ここがアルファラン王国であること、この森がアルファラン大森林と呼ばれること、この国にある最大級に森林で色々な魔物がいること、果物や薬になる薬草があること…後は近くにある集落かな」
「レベルが上がるともっと色んなことが分かるようになるよ!!」
ああ、だからマップに映る範囲が狭いのね。
「言い忘れていたけど、もっと砕けた言葉遣いにした方がいいわよ」
「分かった…これで良い?」
「ばっちりよ!」
何で砕けた言葉遣いに?でもルナが言うんだから理由があるはずよね?ううん、だよね?
「ヨウは職業を何にするかもう決めた?」
「職業?まだ」
世界中を見るんだし商人か冒険者だよね…
「なら冒険者にしましょう」
「冒険者?ルナ、理由は?」
「倒した魔物を買い取って貰えるし、真面目なヨウなら直ぐにランクが上がるからよ。ヨウには悪いけど、外見だとあなたは6・7ぐらいの子供にしか見えないわ。冒険者は10歳を超えているなら誰でもなれるの。登録してランクCまで上がれば誰もヨウの事を馬鹿にしたり出来なくなるから」
…日本人は幼く見られがちなの忘れてた。
「そっか、じゃあ冒険者になろうかな」
「まずは、魔物をじゃんじゃん狩ってお金を稼ぐわよ!でないと安宿にも泊まれないわ!」
所持金0だもんね。
「マップで探してみようか」
「ヨウのスキルはどれも特別製だから『合成』が出来るよ~」
「『合成』?」
何それ?
「例えば『マップ』と『鑑定』を合成すると倒した魔物や採取した果物・薬草が『マップ』に表示されるんだ!」
それは便利かも。冒険者の依頼で討伐や採取に行ったときにすぐに場所が分かるってことでしょ?
「どうすればいい?」
「『マップ』と『鑑定』を合成ていうだけよ」
ならさっそく
「『マップ』と『鑑定』を合成!」
<『マップ』と『鑑定』を合成しました>
「うわ!?」
今の何??
「ああ、<ヘルプ>の声よ。ヨウ専用の」
「…ヘルプ?」
「アナウンスのようなもの。気にしなくていいわ」
…ゲームのレベルアップの時のようなもの?
「他には合成しないの~?」
「う~ん…何があるかな?」
「そうねぇ、『マップ』と『薬草学』、『魔力視』と『魔法学』、『暗視』と『千里眼』、『刀術』と『手加減』、『護身術』と『手加減』『真贋』と『害意察知』かしら」
「なら、『マップ』と『薬草学』、『魔力視』と『魔法学』、『暗視』と『千里眼』、『刀術』と『手加減』、『護身術』と『手加減』、『真贋』と『害意察知』を合成!!」
「ちょ!?」
<『マップ』と『薬草学』を合成しました>
<『魔力視』と『魔法学』を合成しました>
<『暗視』と『千里眼』を合成しました>
<『刀術』と『手加減』を合成しました>
<『護身術』と『手加減』を合成しました>
<『真贋』と『害意察知』を合成しました>
「っつ!?」
あ、頭が痛い!!
「はぁ当たり前よ。『合成』には、魔力を使うの。私が言う前にやるから…」
…それを先に行ってほしかった!
何て一人で思っていたら、ゾワリとした感覚が背中にはしった。
「ヨウ!魔物化したボアよ!」
猪に似た魔物・ボア。
これが初戦闘。大丈夫、落ち着け。ルナ達もいる、一人じゃない。
落ち着いて『神楽月』を抜いて構える。
ボアは警戒しているのか、攻撃してこない。
なら、こちらから行く。
「月与瀬流剣術 月の壱 ―― 雪月花」
『神楽月』は長年愛用していた木刀と同じくらい手に馴染み、抵抗なくボアの首を落とせた。
「凄い…」
「ヨウ!!周りを警戒してなかったでしょ!ここは日本じゃないのよ!警戒を怠らないことは基本中の基本よ!!」
「うん、ごめん」
そうだ、ここは日本じゃない。異世界に来たからって油断するな!
「さ、ボアをしまって次に行きましょう」
「うんそうだね」
首無しボアを収納して再び歩く。
「水場に行って着替えたいな」
「なら先に水場を探しましょう」
あ、でも飲み水として使えるかな?
「ルナ、魔法を教えて」
「ヨウは『全属性』を持っているのよね?なら、『魔力感知』で自分の魔力を感じたら『魔力制御』を意識しながらイメージするの。ウォーターなら自分の魔力が水として、蛇口を自分としたら、自分の外に水を出すイメージ…かしら」
イメージかぁ。…月与瀬流剣術の水の型や火の型に魔法を使ったら威力が増すかも?後でやってみる価値ありね。ああでも、月の型はどうしよう?光を月の形にする?でもそれだと…
この時、ヨウは考え事に集中しすぎて周りが見えてなかった。ルナ達がそれに気づき注意しようとした時、ウォーターモンキー(水魔法を使うサル)が頭上からヨウを攻撃しようとした。が、ヨウの体は無意識のうちに玖ノ型 月凪を繰り出してウォーターモンキーを切り伏せた。
それを見ていた三匹は戦慄した。そんなことが出来るのはその道を究めた達人か、それを出来なければいけない環境にいた人間ぐらいだ。
――『ヨウは、無意識のうちに警戒していてウォーターモンキーの殺気に気づき、型を繰り出した』。
また、その事実に気づいた三匹は絶句し、ヨウの実力の認識を改めた。
「…あれ、このサルは?」
「…襲ってきたのをヨウが切り伏せたのよ」
「…またやちゃた」
前にも同じ事やってテロリストを投げ飛ばしたっけ。
「収納して進もうか」
ルナからジト目で見られてる気がする!!
・
・
・
「着いた!」
透明度の高い湖だった。
「飲み水に使えるかな?『鑑定』」
名前 アルファラン湖
状態 飲み水 優
備考 アルファラン大森林にある最大級の湖。人に見つかっていなかった為、透明度が高い。
原水から直の為とても美味しい。
「おお!!…でも返り血は落とせないなぁ」
「でも水の問題は解決したわ」
「ヨウ、飲んでいい?」
「そうね、飲みましょう」
手にすくって飲んでみる。
「美味しい…」
日本でも飲んだことが無いぐらい美味しい。
「あら?…良く見るとウィンディーネがいるじゃない」
「ウィンディーネって、水の精霊よね?」
「ウィンディーネがいる水には浄化作用が付くの。だからヨウが水浴びしても大丈夫よ」
そういうことなら今着ていた服を脱いで水浴びをする。
「今から汚れるけどごめんね」
髪に着いた血糊を落とす。…普通、血糊は落ちにくいんだけど?何で水をかぶっただけで落ちてるの?不思議に思いながら来ていた服を洗う。…この服、死ぬ前に来ていた服だ。汚れが落ちたので上がってストレージを開く。
「ストレージ」
出てきたリストからドレスアーマーを選ぶ。一つは…袴?上は白を主体として振袖は短く雪の結晶を思わせる柄が入っている。下は戦いを考慮したのか膝下までで色は水色から下に行くにつれて青になっていて、左横に同じ柄。
二つ目は白いふわっとしたシャツ。その上から着る袖無しのワンピースで色は少し薄い…青い紺(?)。長さは膝下まで。それとフード付きの優しい茶色。縁とリボンは黄色。長さは腰位まで。
「袴の方は羽織もセットだと聞いたわよ」
と聞いて出してみると、新芽色の羽織だった。柄は薄い水色の花が振袖と下の方に。長さは膝下まで。
「鑑定したら?」
「うん『鑑定』」
ドレスアーマー(道場着型)
種類 ドレスアーマー
特性 破壊不能 サイズ自動調整 自動治癒 物理・魔法攻撃無効
備考 月与瀬流剣術道場でヨウが使っていた道場着を元に改造を加え可愛らしく、成人すれば女性らしく見えるように創られた渾身のアーマー。
再生の女神フローライトと破壊の女神インカローズが月与瀬 曜の為だけに創り上げたドレスアーマー。
ヨウ以外は着ることが出来ない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
羽織
種類 上着?
特性 破壊不能 サイズ自動調整 鑑定阻害 HP自動回復
備考 道場着型ドレスアーマーと合わせて使えるように創られた羽織。許可無く鑑定を使われた場合、鑑定阻害が自動発動する。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ブーツ
種類 ロングブーツ
特性 疲労回復 破壊不能
備考 グリフォンの革で創られた膝下までのブーツ。一週間歩き続けても疲れない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ドレスアーマー
種類 ドレスアーマー(ワンピース型)
特性 破壊不能 サイズ自動調整 自動治癒 物理・魔法攻撃無効
備考 ヨウの希望通りに創られた(?)アーマー。どちらを着ても大丈夫なように、道場着型ドレスアーマーと同じ特性。
ヨウ以外は着ることが出来ない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ローブ
種類 フード付きローブ
特性 破壊不能 サイズ自動調整 鑑定阻害 HP自動回復
備考 ワンピース型ドレスアーマーと合わせて使えるように創られたローブ。許可無く鑑定を使われた場合、鑑定阻害が自動発動する。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
ブーツ
種類 ロングブーツ
特性 疲労回復 破壊不能
備考 グリフォンの革で創られた膝下までのブーツ。一週間歩き続けても疲れない。
どんな汚れも洗えば綺麗に落ちる。
オブシディアン付きシルバーリング
特性 МP自動回復 破壊不能
備考 再生の女神フローライトと破壊の女神インカローズの加護により地球の科学力でも壊すことが出来ない。
「「「「……」」」」
勿論この後偽装しました。
・
・
・
「ルナ、私の外見って美少女って奴よね?」
体を魔法で乾かし、道場着型ドレスアーマーを着て羽織を着ながらルナに聞く。
「フローライト様とインカローズ様が本気になって、完成後は『やりきった…』て感じだったもの」
私の外見は、ほっそりとした手足に艶やかで長さは腰まであり、元の髪よりも黒が強い。肌は白くシミ一つ無い。顔は確認出来なかったっけど多分可愛い。
「そろそろご飯にしようか」
「果物もあった方がいいんじゃない?」
「そうだね、近くにあるから取りに行こう」
果物の種類は林檎かな?アルファラン湖の近くには沢山の果物が出来ていた。
「今日は林檎と苺がいいな」
「リンゴと野イチゴね」
「?日本と同じ…?」
「先人の一人が料理人で、広めたのよ」
成程。なら、変えなくていいのか。
「鑑定」
名前 リンゴ(コリン)
状態 優 とても美味しい
名前 野イチゴ(チル)
状態 優 とても甘くて美味しい
「当たりだよ、三人共!!」
50個程林檎と苺を摘み、ストレージへ。それにしても苺と林檎って季節違うよね?異世界だからなのか?と疑問に思いつつも収納する。
「桃とサクランボも食べ頃よ?採る?」
と言われたので桃とサクランボも50個程収穫?し、ストレージへ直行。帰りながら
「アルファラン湖のそばに薬草が生えてたね。ルナ、私でもポーションを作れるかな?」
マップに薬草畑が映っているのを見て、ルナに聞く。
「薬草学があるなら、薬師じゃなくても出来るわよ」
「なら作ろう」
他にもいろいろ聞きながらアルファラン湖へ戻ると
『…人間がこの聖域に何用だ?』
こちらを威嚇するペガサスがいた。
どうしようかと悩んでいるとルナ・ライト・リアンが前に出て
「我らは神獣と妖怪。貴様は幻獣であろう?何時から幻獣は頭も下げず我らの許しなく話している?」
「それに僕らの主に対してその言葉遣いは何?何時からお前はそんなに偉くなったの~?」
「八つ裂きにされ、ご飯にされたくなければ相応の礼儀を見せなさい?」
とこの三匹は『笑顔なのに笑っていない』という明らかに怒っている顔でペガサスを追い詰める。ペガサスは顔を青白くして慌てて頭を下げる――というより命乞いしている。
「申し訳ありません!そこの人間…いえ、貴方方の主しか見えておらず、無礼を働き…どうかこの命だけはご容赦下さい!!」
「どうするんだ?ヨウ様?」
…様?ああ、ペガサスの前だからか。外交の時と同じか。
「どうするって?」
「ペガサスはヨウ様に無礼を働きました。ただの人間ならばあのような傲慢で此方を見下すような言葉も許されますが、我ら神獣と妖怪…人間側で言うなら頂点、国王や皇帝を配下に置き命令できる存在…その地位にいるヨウ様へのは許されることではありません。罰を与えねば」
「その罰を私に決めろと?」
「その通りでございます、主様」
リアン、そんな喋り方出来たんだね。いつものばし口調のリアンとのギャプに内心驚きつつペガサスを見る。体は小刻みに震えている。それは緊張からか、『目上の者に対しての無礼を働いたことに対して下る罰がどんなものなのか』と言うことか、それとも恐怖に因るものなのか…この感じだと最後だな。
心が冷たくなっていくのを感じながら罰を考える。
ふとあることを思いつき、私は『性格が悪いなぁ』と思い内心で苦笑しつつ曜はペガサスをさらに追い詰める。
「ねえ、さっきの弁解の時『そこの人間』って言った後慌てて言い直してたよね。内心では私の事、見下してるのかな?」
「いいえ、そんなことは!!」
「誰が喋っていいって許可出しったっけ?」
ルナ・ライト・リアンの目の温度が下がり、慌てて弁解しようとして許可無く話したことでさらに下がる。
もうひと押し…かな?
「『命だけは』っていうけど私にメリットは無いよね?精々『身の程をわきまえずに愚かにも突っかかって来た馬鹿で脳の足りてないペガサスが生き延びてこの森にいる』ってことぐらいで、むしろデメリットな気がするなぁ」
「では、殺しますか?」
「断罪ならば僕が致しましょう」
「ん~…ペガサス。あ、喋っても良いけど聞かれたこと以外は駄目だよ」
「は、はい」
「お前は命以外の全てを差し出すか?」
「勿論ですとも!!」
あ~これは、私が宝でも欲しがっていると勘違いしてるかな?丁度いいや。
「そうか、全てを差し出すか」
「はい!この不肖のペガサス、出来る事でしたら何でも致します!!」
この時私はつい笑ってしまった。ペガサスは頭を下げたまま話していたから『この笑顔』は見ていない。見ていればこの後の要求はなにか気づけただろう。そして自分の言葉に後悔しただろう。三匹は…ああ、気が付いてるな。ならば下そう、判決を。
「ペガサス、お前の罰を言い渡す。お前はこれから『私の従魔』となり、私の手足となって働け。それが罰だ。異論は認めないし聞かない。…いいな?」
「…はい」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*ヨウが曜に戻りました。日本に居たころはこれで他国を泣かせていました。(笑)
他国から『コイツハ、オヒトヨシノニホンジンジャネエ!!』と言われてました。
『ジェダイト』でも敵には基本的こんな感じです。
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ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
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※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
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☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
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