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「ん、」
スウッ
僕が目を覚ますと自分の部屋の天井だった
「な、で」
起き上がろうとすると誰かに手を握られてることに気づいた
「にい、さま?」
兄様と同じ髪色が見えたが違う。兄様にしては体が細いし、髪が長い。僕はこの体型で髪の人を知ってる
「か、さま?」
ピクッ
それはしばらくの間任務で家を開けていた僕達の母親(まぁ男だけど)のリオ・マーガレットだった
「ん、あ、目が覚めたの?」
「母様お久しぶりです………僕、なんでここに?」
「魔力切れを起こして、ユーランと一緒にいる時に倒れたのよ」
「そう……なんだ」
「あなたは私に似てしまったのかもしれないわね。異常なほどの魔力量を持ってるの。私も結構な魔力量を持ってるけどそれ以上よ。それからあなたは聖属性だから、魔物の闇にあてられてしまってパニックになってたみたい。覚えてる?」
「パニック……あ、」
(そうだ。暴走して、その後自分で自分の腕を傷つけようとして、ユーランにとめられて、はぁ本当に何してんだ僕、最悪、暴走もして、ユーランにも母さんにも迷惑かけて)
「セーラ。迷惑だなんて思わなくていいのよ?」
「………………」
「セーラ。あなたは1人で抱え込みすぎなのよ。本当は気づいてたんでしょ?いつか自分の力が暴走する」
「うん……」
「実を言うとかあさんもそうだったんだ」
「え??」
(そんな設定なかったはず。てか母さんほとんど話に出てこなかったし、どっちかといえば兄様側つまり悪役側の人間じゃ?なんか話し方違うし、ていうかこの話し方どこかで…|)
「母さんね。すごい朧気なんだけど弟がいた記憶があるの。でも私に弟なんていないし、こことは全然違う風景でね、家もここよりすごい小さかったけど、幸せだった。だけどその記憶の最後はいつも同じなの、目の前で血だらけの弟がいて、自分のせいだって自分を責めて、近くにあった刃物で自分の心臓を刺すの。変よね。でもその弟とあなたは似てるの、顔も覚えてないんだけど、もしもう一度あの子に会えるなら私はあの子を守ってあげたい」
「母様……」
「あなたとあの子は似てる。ほっといたら消えてしまいそう。お願い。消えないで、あなたは大切な息子なの、お願い黙っていなくならないで消えないで」
「…………………はい。分かりましたよ。母様。だから泣かないで」
「本当?約束よ?」
「はい」
(まさか、な、明日、ローズに聞いてみるしかないか)
僕がこの世界に記憶を持ったまま生まれた理由。それはなにか理由がある。何かは分からないけど、ローズのことも今、起きてることも、偶然じゃない、起こるべくして起きてる。
「でも、なんで?」
謎は深まるばかりだった
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