会計のチャラ男は演技です！

転校生

27.ふさわしくない

あれから雪は平穏な学園生活を送っていた。しかし
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ
「はい、雪です」
《雪！急いで門のところに来てくれ、今連絡があってお爺様がいきなりお前を学校辞めさせるって、とりあえず本家に行って話を聞くから来てくれ！》
「は、？」
雪は思わずスマホを落としそうになった

「雪？どうしたんですか？」
「っ、ごめん！本家に行かないといけなくなった」
「？、そうか、行ってくるといい」
「うん、………さようなら」
雪はそう言って急いで門まで行った

「叔父さん！」
「雪来たか」
雪は叔父さんの車に乗った

「服は？」
「今日は制服でいい、とりあえず今は急がないと」
「………一応、さようならとは伝えてきた」
「雪、あまり悲観的になるな、大丈夫、俺も兄さん達も守るからな」
「うん、ありがとう」
その後、2人は何も話さなかったが、不安そうな空気だった。そして本家に着いた

「お爺さま、宮林家到着致しました」
《入れ》
2人は中に入り、お爺様に頭を下げた

「早速ですがお爺様、雪を学園から辞めさせるっていうのはどういうことですか？」
「そのままの意味だ。あの学園は次期当主である雪にはふさわしくない。だからこの家に住ませて専用の家庭教師をつける。もう決まったことだ」
「質問していいでしょうか？」
「なんだ雪」
「なぜ、今なんですか？」
「この前、男と学園の外に出たな？あの学園の恒例行事とかの景品でデートだかをしてきたらしいな。そんな事をする学園に雪を置かせておけない」
「そう、ですか」
「部屋は中居に案内させる。行くといい、わしはこいつと話すからな」
「わかりました」
襖を開けて仲居さんが入ってきて雪は仲居さんについて行った

「この部屋で過ごしてください。服は中にあるものを来てくださいね」
ｶﾞﾁｬﾘ
雪が部屋に入ると扉に鍵がかけられた。雪の部屋は洋室でベットと机、本棚が置かれ、扉があり隣の部屋には行けるようになっていて、窓のないシンプルな部屋だった。しかし、雪はその意味をわかっていた。和を基調とするこの家の中にある鍵のかかった洋室の意味を

「はぁ、飼い殺しになるのか、」
雪はベットに腰掛けながらそう言った。和の象徴である宮林家、本家にある唯一の洋室は、大切な人材が逃げられないように閉じ込めて置く場所だった

「ふさわしくない……か、何を基準にしてるんだろう、ふさわしいかふさわしくないかなんて、自分で決めるのに、」
雪はベットに寝っ転がりながら小さくそう言った

「まぁ、無理か、」
そのまま雪は深い眠りの中に落ちていった

《お前のせいだ！お前のせいで息子は死んだ！！》

《あなたを責めたくはないけどあなたは私達の息子の恋人にはふさわしくなかった》

《ふさわしくない》

《お前にはふさわしくないんだ》

バッ
思いっきり起き上がった雪は冷汗をかいていて行きは荒かった

「波留のお母さん達か」
夢に出てきたのは間違いなく波留の両親で、実際に言われた言葉だった。

「ふさわしくない、ね」
雪はそう呟いて時計を見るとまだ1時間ほどしかたっていたなかった

「はぁ、これからどうしたらいいんだろう」
そう言って雪は天井を見上げるだけだった