願わくは

春想亭 桜木春緒

文字の大きさ
7 / 7

あとがきと参考文献

しおりを挟む
 あとがき


 このお話の時代は、だいたい昭和十五年(一九四〇年)あたりを想定しています。
 真珠湾攻撃が昭和十六年十二月なので、それ以前ですね。日中戦争(日華事変?)の頃になります。
 この時代に何があり、何がなかったか。
 というところも、ちょこっとだけ調べました。
 タクシーと、電話について。
 wikipedia先生によると、タクシーは、明治四十五年頃、日本に登場しています。
 電話は、一八九〇年(明治二十三年)頃に日本に登場、一九四一年には百万ほどの電話加入者が居たそうです。(固定電話の歴史 http://www.kogures.com/hitoshi/history/tushin-denwa/index.html)
 電話、タクシーなど使うと、妙に現代じみていますが、戦前にもありましたよ、ということです。

 友祐乗艦の空母「飛龍」について。
 昭和十一年七月八日起工(横須賀海軍工廠)、昭和十四年七月五日竣工。ミッドウェー海戦にて昭和十七年六月六日沈没。
 乗員定数一千百一名。
 この時期に「飛龍」の修理があったかどうか? 
 艦の動向については調べが及びませんでした。このときは全く別の場所で「飛龍」が活動しているという記録をご存じでしたら、ご指摘ください。艦名を別のものに変えます。

 一臣さん療養後の赴任先「霞空」について。
 霞ヶ浦海軍航空隊。
 一九三六年(昭和十一年十一月一日)開隊。
 一九三九年(昭和十四年三月一日)横須賀海軍航空隊より、海軍飛行予科練習生教育を移す。

 西行の歌について。
 西行は平安時代後期の歌人です。元武士。
 願わくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃
 というのが全文かな?
 山家集、という歌集にあるそうですが。
 花、が梅を歌っているのか、桜を歌っているのか。そのあたり、実はよくわかっていませんが、正解が必要でも無いことと思いますので、ご想像にお任せします。
 死を歌っているために「辞世」と思われがちですが、研究者さんの本によると、どうもそうではないようです。
 願わくば、か、願わくは、か?
 どっちかな? というところが、少し悩んだところです。
 昔は、平仮名に濁点の表記がなかったらしいとどこかで読んだような気がして、今回は、は、に濁点をつけるのをやめました。
 

 第二次大戦については、日本にとっては最も記憶に新しい戦争であり、最も痛手の大きい歴史上の事件であったかと思います。
 あの戦争で、三百万人近い日本人が命を落としたそうです。

 この時期のこと。
 調べるにつけ、考えるにつけ、人としてこみ上げてくるものがあるのは否めません。
 もろもろ述べるべき機会は、今後もあることと思いますので、感情的なことについてはあまり申し上げないこととしたいと思います。


 この作品は、フィクションです。
 真希子も、友祐も、一臣も、架空の人物です。友祐・一臣は、だいたい海軍兵学校六十一~六十三期頃卒業で想定していますが、実際にはそんな人物の名前は名簿に残っておりません。
 書き終わって思ったのが、真希子が割と小悪魔だなあ、なんて(笑)。
 友祐さんと一臣さん、どちらが皆様のお好みでしょうか?
 好きな人を黙って奪いに行く友祐さん、好きな人の幸せをひたすら願う一臣さん。
 どちらも、捨てがたいんですよね、春緒としては。

 ある一面ではハッピーエンド、もう一方では……? という、はなはだ微妙な後味の作品ではありますが、ご意見、ご感想など心よりお待ちしております。
 お読みくださってありがとうございました。



 参考(?)文献・サイト

 ジパング 全四三巻 (かわぐちかいじ著 講談社)
 思い出のネイビーブルー (松永市郎著 光人社)
 海軍くろしお物語 (福地周夫著 光人社)
 同期の桜 (豊田 穣著 光人社)
 奇跡の雷撃隊 (森 拾三著 光人社)
 新版 きけ わだつみのこえ (岩波文庫)
 【図解】これならわかる!日本海軍のすべて (三野正洋著 PHP研究所)
 太平洋戦争連合艦隊軍艦列伝 (宝島社)
 連合艦隊全艦艇大図鑑 (宝島社)
 太平洋戦争日本帝国海軍 (成美堂出版)
 日本の軍装 改訂版 (中西立太著 大日本絵画)

 
 役に立たない海軍用語(隠語・略語)集
 http://www.kuen-sanbo.com/PMIOL/Navy_Top.html
(春緒が一番好きな言葉は「MMK」)

 鎮魂の旧大日本帝国陸海軍
 http://cb1100f.b10.coreserver.jp/
(チェリーマークの写真を拝見しました)

 海軍兵学校
 http://www2b.biglobe.ne.jp/~yorozu/
(建物、卒業生名簿など)

 ネイビーブルーに恋をして(ブログ)
 http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/c/998677046463f67f009f54f100df471f

 wikipedia

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

処理中です...