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第2章 魔術学園編
6話 俺の過去を知る者(1)
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「パンケーキ屋ってのは、ここだったのか……」
「そうみたいですね」
以前来たことのある店前で、俺はティアナと顔を見合わた。
「グラッド君とティアナちゃんも早く早く」
スラっとしたクラスメイトの女子に、俺たちは引っ張られながら入店した。
「グラッド君の対面ゲットだね。アシュリー」
「う、うん。マロンありがとう」
俺の対面に座ったのは、俺たちをこの席に座らせた声の大きなエルフ【マロン】と、その友達とおぼしき小柄な女子だ。
それにしても大人数での来店だ。
自然と、いや、不自然に座席のグループが二つに分かれた。
殺伐としているぞ。
俺はいたたまれない気持ち、針のむしろといった心持ちだ。
「えーと、グラッド君だったよね。宜しく」
隣に座るイケメン君が握手を求めてきた。
「宜しく」
俺はキリトと握手を交わした。
クラスのリーダー格になるだろう男だ。利用……仲良くしておいて損はないだろう。
それにしてもこの状況で、コイツは何故平然としていられるのだろうか。
「どうしたんだい?」
「どうしたもこうしたものないだろ。視線を感じないのか」
「視線?」
遠くの席からの悪視線。
十数人からなる、D組男子グループからの視線だ。
こちらは俺とキリト、そして女子たちに囲まれている状況である。嫉妬心に満ちた男子どもの阿鼻叫喚が、今にも聴こえてきそうである。
「なんだか男子と女子でくっきり別れちゃってるね?」
「だろ?」
キリトは手をポンとついて、
「男子女子で別れるのは良くないし、悪いけど何人か男子側に行って貰ってもいいかなぁ?」
爽やかな笑顔で女子たちに提案した。
女子たちはお互いの顔を見合わせる。しかし誰も動こうとしない。お互いが様子を見合っている。
それもそのはずだ。ここにいるほとんどの女子たちの目当てはキリトなのだから。自らを犠牲にして、むさ苦しい男子グループに移動しようなどと申出る奴はいない。
だが、そんな状況をみかねたのか、
「それでは私、向こうに行きますね?」と、俺の隣に座るティアナが真っ先に手を挙げた。
「シスさん、ありがとう」
キリトはティアナに頭を下げた。
「じゃあ私も向こう行こっかな」
陽に焼けた肌と猫耳が印象的な女子も、ティアナに続いて席移動を名乗りでた。
ティアナが率先したことで、五人の女子が男子グループの席へと移動する。全員が全員、キリト目当てではないようだ。
俺はティアナが行ってしまったことで、若干、居心地が悪くなったものの、そのまま席に残った。彼女の後を追ったとなると、変な噂が流れかねないからな。
†
†
この店名物のパンケーキがテーブルにずらりと並ぶ。
この世界の女子たちも甘いものには目がないようだ。そしてお喋り好きという点でも元の世界と相変わらない。
それにしてもD組の女子たちの容姿レベルはすこぶる高い。ティアナほどではないにしろ、平均値は何処ぞのアイドルグループ並である。
「ねぇ、グラッド君って、ティアナちゃんとはどういう関係なの?」
前に座るマロンとやらの唐突な質問。
俺は少し考えて、
「別にクラスメイト以上の関係性はない……かな?」
そう答えた。
答えてみて気づく──俺はティアナのことを殆ど知らない、と。
「でも、グラッド君って、ティアナちゃんと同じ姓だよね? 珍しい姓だし」
確かに俺は【グラッド・シス】と名乗っている。入学試験の申請書を書く際に、『ティアナ・シス】から、シスという姓名を拝借したからだ。
「ただの偶然だ」とだけ答えた。
マロンの隣に座る小柄な女子生徒が、
「じ、じゃあ、グラッド君に質問です」
上目に俺を見つめながら小さく手を挙げた。
「質問? どうぞ?」
「えーと、グラッド君とティアナちゃんは……なんというか、その~……」
彼女は照れた様子で言葉が続かない様子だ。
「もうっ、アシュリーったら意気地なしね!」
「だって~、聞きにくいんだもーん」
小柄な女子の名前はアシュリーというのか。
名前が横文字続きで覚えにくい。
今のところ、ティアナ、キリト、ジル、マリア、マロン、アシュリー。よしっ、六人は覚えたな。あと三十六人もの名前を覚えれる気がしないなどと考えていると、
「アシュリーの代わりに聞いていい?」
アシュリーからなにやら耳打ちをされていたマロンが、俺に質問の了解をとる。
「別にいいが。なんだ?」
「単刀直入に訊くけど、グラッド君ってティアナちゃんと付き合ってるの?」
「……」
本当に単刀直入に尋ねてきた。
それにこの女──声のボリュームが大きい。
隣に座るキリトや他の女子たちも、こちらに注目しだした。
「えー、なになに! グラッド君とティアナちゃんって付き合ってるの?」
女子たちの恋話好きというのも、どの世界でも不変のようだ。
俺は『付き合っていない』と、キッパリ否定した。
「そうみたいですね」
以前来たことのある店前で、俺はティアナと顔を見合わた。
「グラッド君とティアナちゃんも早く早く」
スラっとしたクラスメイトの女子に、俺たちは引っ張られながら入店した。
「グラッド君の対面ゲットだね。アシュリー」
「う、うん。マロンありがとう」
俺の対面に座ったのは、俺たちをこの席に座らせた声の大きなエルフ【マロン】と、その友達とおぼしき小柄な女子だ。
それにしても大人数での来店だ。
自然と、いや、不自然に座席のグループが二つに分かれた。
殺伐としているぞ。
俺はいたたまれない気持ち、針のむしろといった心持ちだ。
「えーと、グラッド君だったよね。宜しく」
隣に座るイケメン君が握手を求めてきた。
「宜しく」
俺はキリトと握手を交わした。
クラスのリーダー格になるだろう男だ。利用……仲良くしておいて損はないだろう。
それにしてもこの状況で、コイツは何故平然としていられるのだろうか。
「どうしたんだい?」
「どうしたもこうしたものないだろ。視線を感じないのか」
「視線?」
遠くの席からの悪視線。
十数人からなる、D組男子グループからの視線だ。
こちらは俺とキリト、そして女子たちに囲まれている状況である。嫉妬心に満ちた男子どもの阿鼻叫喚が、今にも聴こえてきそうである。
「なんだか男子と女子でくっきり別れちゃってるね?」
「だろ?」
キリトは手をポンとついて、
「男子女子で別れるのは良くないし、悪いけど何人か男子側に行って貰ってもいいかなぁ?」
爽やかな笑顔で女子たちに提案した。
女子たちはお互いの顔を見合わせる。しかし誰も動こうとしない。お互いが様子を見合っている。
それもそのはずだ。ここにいるほとんどの女子たちの目当てはキリトなのだから。自らを犠牲にして、むさ苦しい男子グループに移動しようなどと申出る奴はいない。
だが、そんな状況をみかねたのか、
「それでは私、向こうに行きますね?」と、俺の隣に座るティアナが真っ先に手を挙げた。
「シスさん、ありがとう」
キリトはティアナに頭を下げた。
「じゃあ私も向こう行こっかな」
陽に焼けた肌と猫耳が印象的な女子も、ティアナに続いて席移動を名乗りでた。
ティアナが率先したことで、五人の女子が男子グループの席へと移動する。全員が全員、キリト目当てではないようだ。
俺はティアナが行ってしまったことで、若干、居心地が悪くなったものの、そのまま席に残った。彼女の後を追ったとなると、変な噂が流れかねないからな。
†
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この店名物のパンケーキがテーブルにずらりと並ぶ。
この世界の女子たちも甘いものには目がないようだ。そしてお喋り好きという点でも元の世界と相変わらない。
それにしてもD組の女子たちの容姿レベルはすこぶる高い。ティアナほどではないにしろ、平均値は何処ぞのアイドルグループ並である。
「ねぇ、グラッド君って、ティアナちゃんとはどういう関係なの?」
前に座るマロンとやらの唐突な質問。
俺は少し考えて、
「別にクラスメイト以上の関係性はない……かな?」
そう答えた。
答えてみて気づく──俺はティアナのことを殆ど知らない、と。
「でも、グラッド君って、ティアナちゃんと同じ姓だよね? 珍しい姓だし」
確かに俺は【グラッド・シス】と名乗っている。入学試験の申請書を書く際に、『ティアナ・シス】から、シスという姓名を拝借したからだ。
「ただの偶然だ」とだけ答えた。
マロンの隣に座る小柄な女子生徒が、
「じ、じゃあ、グラッド君に質問です」
上目に俺を見つめながら小さく手を挙げた。
「質問? どうぞ?」
「えーと、グラッド君とティアナちゃんは……なんというか、その~……」
彼女は照れた様子で言葉が続かない様子だ。
「もうっ、アシュリーったら意気地なしね!」
「だって~、聞きにくいんだもーん」
小柄な女子の名前はアシュリーというのか。
名前が横文字続きで覚えにくい。
今のところ、ティアナ、キリト、ジル、マリア、マロン、アシュリー。よしっ、六人は覚えたな。あと三十六人もの名前を覚えれる気がしないなどと考えていると、
「アシュリーの代わりに聞いていい?」
アシュリーからなにやら耳打ちをされていたマロンが、俺に質問の了解をとる。
「別にいいが。なんだ?」
「単刀直入に訊くけど、グラッド君ってティアナちゃんと付き合ってるの?」
「……」
本当に単刀直入に尋ねてきた。
それにこの女──声のボリュームが大きい。
隣に座るキリトや他の女子たちも、こちらに注目しだした。
「えー、なになに! グラッド君とティアナちゃんって付き合ってるの?」
女子たちの恋話好きというのも、どの世界でも不変のようだ。
俺は『付き合っていない』と、キッパリ否定した。
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