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第19話 改札にて
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ピコーン。突如甲高い音が鳴り、左右の仕切り壁から扉が現出して、俺の行く手を瞬く間に防いだ。
なんだと!?俺が間違っていたとでも?切符のかざし方が甘かったか。
俺は困惑で眉根を寄せながら、もう一度今度はしっかりと切符を壁の上に押しあてた。
だが、扉は閉じてはくれなかった。
俺は焦りながら何度も何度も押し当てた。
だが、結果は同じだった。
俺はそこで恐る恐る後ろを振り返った。
俺の後ろに列をなす人々の顔は、怒りに満ち満ちていた。
と、視線を前に移すと、そこにはニヤニヤ顔のソルスが立っていた。
俺は驚愕の表情を露わにし、問いかけた。
「お前、どうして!」
ソルスはにやりと口の端を上げ、答えた。
「当てるんじゃない。入れるんだ」
入れる?当てるのではなく、入れるだと?
俺は仕切り壁の上を凝視すると、確かにそこに差し込み口のようなものがあった。
俺は慌ててそこに切符を差し込んだ。
すると、扉は音もなく左右に分かれて消え失せた。
俺は慌てながらもなんとか改札口を通り抜けた。
ふう~、なんてことだ。定期券と切符はやり方が違うとは。てっきり同じく押し当てればいいと……
と突然俺は肩を乱暴に叩かれた。
振り返って見ると、機嫌の悪そうなおばさんが立っていた。
先ほど俺のすぐ後ろに立っていたおばさんだ。
「ちょっと貴方、これ忘れ物」
そういっておばさんは切符を差し出した。
あっ!そうか。切符は入る時だけにいるんじゃない。出る時にもいるはずだ。だがいつの間に切符が出た?何処に出た?焦っていたから見落としたか。
いや、そんなことの前にまずは切符を受け取らねば。そしてお礼を……
「あ、どうも……」
「まったく朝っぱらだからって寝ぼけてでもいるの?みんな忙しいんだからちゃんとしてよね!」
おばさんはぴしゃっとそう言うと、そそくさと立ち去っていった。
ソルスがそのやり取りを、にやにやしながらずっと見ていた。
俺は奴のそばまで近寄ると言った。
「おい、いつまで笑っている」
「とりあえず飽きるまで」
「ふざけるな。それにしてもお前、なぜわかった」
「なにがだ」
「なんで切符を差し込み口に入れるってわかったんだ」
「切符を買ってくれたおじさんを見ていた」
あ、そういうことか。こいつ、切符を買うところだけじゃなく、おじさんが改札口を通るところまで見ていたのか。
目ざとい奴め。それにしても――
「だったらそう言えよ」
「言ったぞ」
「遅いんだよ。俺が改札に引っかかる前に言えよ」
「そう言われてもな。当然わかっていると思っていたからな」
ちっ。
と、そこでクスクスと笑う声が聞こえた。
一方向だけじゃない。あらゆる方向からだ。
周りをよく見ると、女性たちが俺たちを遠巻きに見てくすくすと笑い合っていた。
忘れていた。俺たちは……いや、ソルスは女性陣注目の的だった。その衆人環視の中での大失態。穴があったら入りたいぜ、まったく。
は~、それにしても美女や美男子ってのは、普段からこういった生活をしているのかねえ。窮屈だねえ。
ま、それはそれとして、さっさとこの場を立ち去ろう。
「行くぞ。残留思念は何処に伸びている?」
「左だな」
「ならお前が先導しろ」
ソルスがまた口の端を上げた。
「そう恥ずかしがるな。失敗は誰にだってある」
「お前に慰められるとは思っていなかったよ」
だがソルスは、俺が言い終わるのを待たずにさっさと歩いていってしまった。
ぐぬぬ……おのれソルスめ、今に見ていろ。
俺は勝手ながら決意を固め、貴公子然とした立ち居振る舞いで周囲の女性たちに眩暈を起こさせつつ駅構内を悠然と闊歩するソルスのあとを追った。
なんだと!?俺が間違っていたとでも?切符のかざし方が甘かったか。
俺は困惑で眉根を寄せながら、もう一度今度はしっかりと切符を壁の上に押しあてた。
だが、扉は閉じてはくれなかった。
俺は焦りながら何度も何度も押し当てた。
だが、結果は同じだった。
俺はそこで恐る恐る後ろを振り返った。
俺の後ろに列をなす人々の顔は、怒りに満ち満ちていた。
と、視線を前に移すと、そこにはニヤニヤ顔のソルスが立っていた。
俺は驚愕の表情を露わにし、問いかけた。
「お前、どうして!」
ソルスはにやりと口の端を上げ、答えた。
「当てるんじゃない。入れるんだ」
入れる?当てるのではなく、入れるだと?
俺は仕切り壁の上を凝視すると、確かにそこに差し込み口のようなものがあった。
俺は慌ててそこに切符を差し込んだ。
すると、扉は音もなく左右に分かれて消え失せた。
俺は慌てながらもなんとか改札口を通り抜けた。
ふう~、なんてことだ。定期券と切符はやり方が違うとは。てっきり同じく押し当てればいいと……
と突然俺は肩を乱暴に叩かれた。
振り返って見ると、機嫌の悪そうなおばさんが立っていた。
先ほど俺のすぐ後ろに立っていたおばさんだ。
「ちょっと貴方、これ忘れ物」
そういっておばさんは切符を差し出した。
あっ!そうか。切符は入る時だけにいるんじゃない。出る時にもいるはずだ。だがいつの間に切符が出た?何処に出た?焦っていたから見落としたか。
いや、そんなことの前にまずは切符を受け取らねば。そしてお礼を……
「あ、どうも……」
「まったく朝っぱらだからって寝ぼけてでもいるの?みんな忙しいんだからちゃんとしてよね!」
おばさんはぴしゃっとそう言うと、そそくさと立ち去っていった。
ソルスがそのやり取りを、にやにやしながらずっと見ていた。
俺は奴のそばまで近寄ると言った。
「おい、いつまで笑っている」
「とりあえず飽きるまで」
「ふざけるな。それにしてもお前、なぜわかった」
「なにがだ」
「なんで切符を差し込み口に入れるってわかったんだ」
「切符を買ってくれたおじさんを見ていた」
あ、そういうことか。こいつ、切符を買うところだけじゃなく、おじさんが改札口を通るところまで見ていたのか。
目ざとい奴め。それにしても――
「だったらそう言えよ」
「言ったぞ」
「遅いんだよ。俺が改札に引っかかる前に言えよ」
「そう言われてもな。当然わかっていると思っていたからな」
ちっ。
と、そこでクスクスと笑う声が聞こえた。
一方向だけじゃない。あらゆる方向からだ。
周りをよく見ると、女性たちが俺たちを遠巻きに見てくすくすと笑い合っていた。
忘れていた。俺たちは……いや、ソルスは女性陣注目の的だった。その衆人環視の中での大失態。穴があったら入りたいぜ、まったく。
は~、それにしても美女や美男子ってのは、普段からこういった生活をしているのかねえ。窮屈だねえ。
ま、それはそれとして、さっさとこの場を立ち去ろう。
「行くぞ。残留思念は何処に伸びている?」
「左だな」
「ならお前が先導しろ」
ソルスがまた口の端を上げた。
「そう恥ずかしがるな。失敗は誰にだってある」
「お前に慰められるとは思っていなかったよ」
だがソルスは、俺が言い終わるのを待たずにさっさと歩いていってしまった。
ぐぬぬ……おのれソルスめ、今に見ていろ。
俺は勝手ながら決意を固め、貴公子然とした立ち居振る舞いで周囲の女性たちに眩暈を起こさせつつ駅構内を悠然と闊歩するソルスのあとを追った。
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