花宮学園ではリアル人狼ゲームが行われている

ゆーゆ

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始まり

第1話 遊びじゃないゲーム

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皆薄っすら気付いている。

この学校が普通の金持ち私立学校ではない事を。

何か大きな物に支配されている事を。

気付いていないのは哀れな先生方達だけ。

この学校は何か大事な事を隠している気がする。


そう思い始めたのはこの花宮学園の孫娘、西園寺麗華が入園してから1週間経った時からだったと思う。

西〔今日から、人狼ゲームを始める。各生徒ゲーム説明、役割及び役割説明は後日連絡するとします。これはお金を賭けたお遊びです。拒否権はないと思いなさい〕

私の1つ下の後輩、令嬢の西園寺麗華が上から目線で堂々とした口調で喋っている様子が記録された動画が各生徒に配信された。
このゲームの意味の重さを知らない生徒達はあまり重くは捉えなかった。理由は単純でこの学校では此処最近、人狼ゲームというものが流行っている。そのゲームには賭けをしていた訳ではなく、純粋に暇潰しとして流行ったのだ。だがゲームのルールがわからなかったりゲームに加わらない生徒が虐められたり、仲間外れにされるという哀話が伝わって以来、ゲームを遊び感覚でやるというよりこの学園で生き残る為にやるという生徒も増えて来た。
そんな時に出されたお金を賭けた全生徒が一斉に行う事になった人狼ゲーム。これに何らかの意味がある事は確かだった。しかし意味がわからない私はただ、このゲームに加わって罰金という私にとっては厳しい罰を受けない為にも頑張るだけだ。そう、そんな事しか私には出来ない。


〔キャーー!!!〕

休憩時間である今、何時もは静かな廊下に尋常じゃないくらい奇妙で、そして大声の複数の女生徒の悲鳴が響いた。こんな学校で大声が聞こえる時なんて珍しい。
私は急いで声の持ち主が居るであろう1階廊下へと向かった。何があったのかは全く想像出来ない。でも何故か私の鼓動は何か悪い出来事を予感しているかの様にドクドクと、忙しく鳴っていた。

〔キャーー!!〕

声はまだ続いて居た。それどころか声を出して居る人数が増えている気がする。
私は声が聞こえて来た廊下へ辿り着いた。まず見えたのは必死に叫んでいる女子生徒数人とそれを取り囲む様にショックで立ち尽くしている女子生徒。

〔…っ!〕

私は言葉を失った。だって其処には、私の美術部の部長西園菜々子が腹にナイフを刺され、何故か口から血を流して倒れて居たのだから。血がドクドクと流れ、頬を辿りそして髪に何滴か付きながらも地面へと落ちて行く。その息絶えて居た先輩の姿を見た途端私は意識を失いかけた。

…私は先輩が死ぬべき理由なんて、人に恨まれる理由なんてないと信じた。

そんな時に放送を知らせる前鈴がなった。

〔今から人狼ゲームを始めます。各生徒昼休み後の休憩時間、体育館に集まる様に〕

嫌な予感がした。

真坂、このタイミング…
先輩の死と人狼ゲームに関係があるのではないかと私は疑った。

…勝ってやる…
私はこの時、先輩の死の意味とこの人狼ゲームの意味を全て知る為にそう決意した。
例え、私がなった役職が〔人狼〕だったとしても…
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