病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

文字の大きさ
13 / 71

【聖女の育成って何ですか?】その4

「ヒロコ様、お目覚めの時間でございます。ご体調はいかがでしょうか?」
 朝、六時半に侍女のクレーが起こしてくれる。
 起きるのが辛い時は、そのまま寝かしておいてくれるのだ。
「おはよう、クレー・・・今日は大丈夫みたい、頭がぼうっとするけど、朝食を少し戴くわ」
「かしこまりました。お支度のお手伝いをいたします」
 最初の時は「侍女さん」とつい言ってしまっていたが、オリーブ色の髪と、キラキラする赤茶の瞳を持つ上品なこの女性は、私が一番最初に声をかけて召喚士達の介抱を手伝ってくれたあの神官服を着ていたナイスバディのお姉さんである。
 (私と同い年ぐらいかな?)
 私を聖女様と慕ってくれて、とても良くしてくれるけれど、全く“聖女様”扱いの体勢を崩さない。
もう少しフレンドリーになってくれたら、今度歳を聞いてみようかな、と思っている。
 寝間着は肌触りの良い、少女チックなレースである。
 せめて普段着はできるだけシンプルなワンピースを! と、お願いした。
 でも、いつも白と青を基調としているので、汚しそうであまりリラックスができない。
 こないだお針子さんが採寸しにやってきたので「茶色とか灰色のワンピースが・・・」と、言いかけたら、イスマエルがすごい顔で「黙ってろ!」という感じでアイコンタクトを送って来た。
 (あれはガンを飛ばされたというレベルだな! めっさ怖いワ!)

 ゆっくりと支度をした後、朝食はマクシムと、貴族の作法や、流行などについて話をしながらとった。
 やはり偉い人は、朝からこんな感じでミーティングをするらしい・・・いや、知ってたけどさ、異職交流会は有名ホテルの朝食バイキングが多かったからさ、ナンパに成功したのは有名ゲーム会社のきゃわいい女子だったけどさ!
 後で「弊社のソフトのフライング販売止めて下さいね?」て、女子会で言われたんだけどね(ハート)
 ※フライング販売とは、発売日前に店頭売りを始めることである。ポケ〇ンが発売日前にエンドユーザーに届いてしまう事が有名である。

 朝っぱらからこんな金髪碧眼の美青年と食事とは・・・胸やけレベルだよ。
 (眩しいし、濃いわ~・・・)
 いつもの駄眼鏡男子イスマエルは、今日は遅番で午後から出勤らしい。
「聴いてるかい? ヒロコ」
 バサバサした金色のまつ毛が邪魔そうだ。
「はいはい、聴いてますよ~・・・」
「言葉遣いだけど・・・ミリアンの時は完璧だよね? どゆこと?」
「え~? とりあえず“役”を演じてる感じかな」
「ふむ・・・知識はバッチシって感じだね」
「演じてるって言うのは、マクシムもでしょう」
「まあね、僕は高貴な生まれだけど、正妻の子供じゃないから適当に育てられてるし、“音楽の才”がなければ、親戚に引き取られて神官コースだったかもしれないな」
 (うひゃ! こんな神官いたら、信者がさぞ布教活動を別件で頑張ってしまうだろうな!)
「“音楽の才”ってどんなものなの?」
「僕のは高ランクの“才”でね、歌や音楽、楽器に至るまで一度聞けば、ほぼ全て奏でられるんだよ」
「ふほっ! 絶対音感ですか・・・でも、大変な能力だね」
 食後の紅茶を啜っていたマクシムの碧い瞳が、キラリと私を真っ直ぐ見た。
 紺碧こんぺきの空のような色にドキリとしてしまう。
 彼は静かにソーサーにカップを戻した。
「大変・・・て? ヒロコの言ってる意味は何?」
「え・・・だって、聴いた全ての音を音符に切り替えちゃうんでしょう? 頭が疲れないのかなあって意味で“大変”だと思った」
 まあ、私はこちらの日常生活をこなすだけで、脳疲労が激しい状態なのだが。
「ぷふっ!」と、マクシムが飛び切りの笑顔をくれた。
 (ぐほぉっ! ミカエル様レベルの天使がいるぞーっ! そうか、さてはここは天界なのだなっ?)
「そうだね、何も考えたくない時は、ずっとピアノを弾いて他の音を遮断したりするね」
「あ~、あるある、ひとつの音に支配されるのっていいよね!」
「“”! それ、いいね!」
 (はい、天使様からの“イイネ!”いただきましたっ!)
「なんか、リアル“アレクシ”様を見ちゃうと、ファン心理の萌えどころが判る気がする」
「アレクシ・・・だって?」
 (あ・・・しまった。声に出してしもうた・・・)
 時すでに遅し! マクシムは今流行りの顔面氷結となった。
「あの・・・その・・・私の世界でね、マクシムそっくりの王子様が出てくる物語があるの、その王子様の名前がアレクシなの・・・」
「え・・・? えええぇーーーっ! そうなのぉ!?」
 そのマクシムの表情豊かな驚きっぷりが凄かった。
「マクシム、なんでそんなに驚くの?」
「あっちゃ~・・・なんだ、そうだとわかってれば、もう少し対応の仕方があったかなぁ」
 絵画のような美青年が大きなため息を三回し続けた。
 (マクシムさんや、呼吸は大丈夫なのかい?)
「そうか、さてはもう一人の聖女様に冷たくしちゃったんでしょう?」
「ああ~もうっ! ヒロコにはお見通しなワケね? だって気持ち悪いんだもん」
 ガタガタッ!
 私は思わず椅子から勢いよく立ち上がった。
「マクシム! まさかアナタ、彼女に向かって“気持ち悪い”とか言ってないでしょうね!?」
「い、い、い・・・言ってないよ~」
 とても分かり易くマクシムは私から視線を逸らした。
「嘘つけ! どうせ近い言葉をぶつけたんでしょう? 憧れの王子様にそんな事言われたら、女子は再起不能になるわよ!?」
「憧れの王子・・・じゃあ、ヒロコは、僕の事を!」
「はっ? 私? “ムツノクニ”はハコ推しの上、スタッフ側だし、今の心の一番はソラルさまに決まってるじゃない」
「ぐわ! 前半は意味わからなかったけど、後半は聞きたくなかった!!」
 彼はそう言いながら両手で頭を押さえ、頭を激しく振っていた。
 (マクシムさんや? 脳しんとうを起こしますぞ?)
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載