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【本物って誰のこと?】その2
この世界では、病気の私を誰も責めない。
「なんでこんな事も出来ないんだ!」
「体が怠い? 気持ちの問題もあるんじゃない?」
「サボり癖、治したら?」
「なんで早く言わないの!」
私はうつ病になり、まともな思考ができなくなった。
同じことを何度も確認してしまい、上司に嫌な顔をされる。
不安で不安で不安で・・・自分の記憶と能力にどんどん自信がなくなっていった。
薬を飲めば良くなると、心療内科の医師に言われた。
でも、頭の中の霧はいつまでも晴れない。
薬を飲めばハイになったが、自分が狂っていくのが堪らなく嫌だった。
それは限りない罪悪感と、心の枯渇だった。
何も満たされない日々、ただ膨大な仕事を機械の様にこなしていく・・・。
私は、初恋の先生と同じぐらいの年上の男性に癒しを求めた。
そして・・・堕ちるところまで落ちたのだ。
誰も不幸にしたくなかったのに、結局、死に際にあの子供とその家族に傷跡を残してしまった。
私がもっとしっかりしていれば・・・。
「ここは、私にとって優しい世界かも知れない」
キングサイズのベッドに横たわりながら、天蓋を見つめ独り言ちる。
ベッドサイドに置いてある呼び鈴を手に持ち、揺らした。
チリーン・・・。
甲高く響く鐘の音の直後に、寝室にノックが響いた。
「ヒロコ様、クレーです。お加減はいかかがですか?」
「今、起きました。大丈夫よ」
クレーは扉を開き、上品で静かな足取りで私の傍に近寄った。
「左様ですか・・・重湯をすぐに準備いたします。その後にお身体を清め、着替えを準備いたしますね」
寝不足のような眼をしながら、クレーはベッドのレースカーテンを開き、ベッドサイドの留め具に付け、私の顔色を確認してから重湯の準備の為にその場から離れた。
「・・・え? 重湯? なんで?」
と、ポカンとした数秒後にノックも無しに扉が勢いよく開き、ドカドカと大きな足音が寝室に響いた。
「大丈夫か! ヒロコぉ!」
イスマエルがボスンと、ベッドの上で起き上がっていた私の上にのしかかった。
「い、イスマエル! 近い近い近いぃっ!!」
(ドン、されている! しかもベッドの上で!?)
20センチ先にイスマエルの顔があり、その額には薄っすらと汗が滲んでいた。
「そんな・・・ちょっと寝てただけじゃない」
はっとしたイスマエルが、近づき過ぎたことに気が付き、私の上から退いた。
そのまま数歩後退り、姿勢を正し、いつもの冷静さを取り戻したかのように見えた。
「ちょっと・・・?」
何故か室内がひんやりとしてきた。
ベランダからの景色を見ると、夕日の光が見えた。
「なんだ、夕方じゃん・・・二時間ぐらい寝てた?」
「ちょっとか?」
イスマエルのこめかみに青筋が見えた。
「え・・・?」
(ああ、なんかイスマエル先生の態度がスリーエルになってきたよ?)
「丸二日が・・・ちょっとか?」
「まる・・・ふつ・か・・・?」
その後、私は重湯を啜りつつ、食後のフルーツを頂きつつの、イスマエルの説教を約一時間聞くことになった。
(食べながらの説教は、消化に悪いよ!)
「イスマエル様、いい加減になさいませ!」
そのイスマエルの後頭部を、クレーがタオルで叩いた。
延々と続きそうな説教を止めてくれたのは大いに感謝である――――。
イスマエルは二晩、私の部屋の隣室で過ごしたらしい。
今夜も泊まり込みをするつもりらしかったが、クレーが「これ以上、ヒロコ様にプレッシャーとストレスをかけてはなりません!」と、城から叩き出したらしい・・・。
なんだか日に日に、イスマエルよりもクレーの立場が上になっている気がするのは、気のせいだろうか?
「なんでこんな事も出来ないんだ!」
「体が怠い? 気持ちの問題もあるんじゃない?」
「サボり癖、治したら?」
「なんで早く言わないの!」
私はうつ病になり、まともな思考ができなくなった。
同じことを何度も確認してしまい、上司に嫌な顔をされる。
不安で不安で不安で・・・自分の記憶と能力にどんどん自信がなくなっていった。
薬を飲めば良くなると、心療内科の医師に言われた。
でも、頭の中の霧はいつまでも晴れない。
薬を飲めばハイになったが、自分が狂っていくのが堪らなく嫌だった。
それは限りない罪悪感と、心の枯渇だった。
何も満たされない日々、ただ膨大な仕事を機械の様にこなしていく・・・。
私は、初恋の先生と同じぐらいの年上の男性に癒しを求めた。
そして・・・堕ちるところまで落ちたのだ。
誰も不幸にしたくなかったのに、結局、死に際にあの子供とその家族に傷跡を残してしまった。
私がもっとしっかりしていれば・・・。
「ここは、私にとって優しい世界かも知れない」
キングサイズのベッドに横たわりながら、天蓋を見つめ独り言ちる。
ベッドサイドに置いてある呼び鈴を手に持ち、揺らした。
チリーン・・・。
甲高く響く鐘の音の直後に、寝室にノックが響いた。
「ヒロコ様、クレーです。お加減はいかかがですか?」
「今、起きました。大丈夫よ」
クレーは扉を開き、上品で静かな足取りで私の傍に近寄った。
「左様ですか・・・重湯をすぐに準備いたします。その後にお身体を清め、着替えを準備いたしますね」
寝不足のような眼をしながら、クレーはベッドのレースカーテンを開き、ベッドサイドの留め具に付け、私の顔色を確認してから重湯の準備の為にその場から離れた。
「・・・え? 重湯? なんで?」
と、ポカンとした数秒後にノックも無しに扉が勢いよく開き、ドカドカと大きな足音が寝室に響いた。
「大丈夫か! ヒロコぉ!」
イスマエルがボスンと、ベッドの上で起き上がっていた私の上にのしかかった。
「い、イスマエル! 近い近い近いぃっ!!」
(ドン、されている! しかもベッドの上で!?)
20センチ先にイスマエルの顔があり、その額には薄っすらと汗が滲んでいた。
「そんな・・・ちょっと寝てただけじゃない」
はっとしたイスマエルが、近づき過ぎたことに気が付き、私の上から退いた。
そのまま数歩後退り、姿勢を正し、いつもの冷静さを取り戻したかのように見えた。
「ちょっと・・・?」
何故か室内がひんやりとしてきた。
ベランダからの景色を見ると、夕日の光が見えた。
「なんだ、夕方じゃん・・・二時間ぐらい寝てた?」
「ちょっとか?」
イスマエルのこめかみに青筋が見えた。
「え・・・?」
(ああ、なんかイスマエル先生の態度がスリーエルになってきたよ?)
「丸二日が・・・ちょっとか?」
「まる・・・ふつ・か・・・?」
その後、私は重湯を啜りつつ、食後のフルーツを頂きつつの、イスマエルの説教を約一時間聞くことになった。
(食べながらの説教は、消化に悪いよ!)
「イスマエル様、いい加減になさいませ!」
そのイスマエルの後頭部を、クレーがタオルで叩いた。
延々と続きそうな説教を止めてくれたのは大いに感謝である――――。
イスマエルは二晩、私の部屋の隣室で過ごしたらしい。
今夜も泊まり込みをするつもりらしかったが、クレーが「これ以上、ヒロコ様にプレッシャーとストレスをかけてはなりません!」と、城から叩き出したらしい・・・。
なんだか日に日に、イスマエルよりもクレーの立場が上になっている気がするのは、気のせいだろうか?
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