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【本物って誰のこと?】その14
「そんなワケあるか!」
という、男性の一言で厨房内に笑い声が上がった。
「聖女様といえば、深層の令嬢だろうが? こんなチビ・・・コホン、こんな幼いワケが・・・」
「いいや、うわさでは幼い少女だって言ってたよ」
「でも、ミリアンさんみたいなちんまりでは・・・」
すみません。
ちんまりです。
本人です。
イスマエル先生とクレー先輩が、顔では平静を装っているが・・・腹筋が震えていて、かなりヤバそうだった。
「イスマエル様ぁ~、コレ、できたので冷やしてもらえますぅ?」
「ああ、わかった・・・ぶふっ・・・」
厨房内は熱気が充満しているのに、イスマエルの周りは程よく涼しい・・・助かる。
「ネレ坊、そろそろお仕事に戻りなさいな」
クレーは母親の様に優しく言った。
「ああ! いっけねぇ・・・すぐ薪を運ばなきゃならんかった!」
慌ててネレは厨房から走り出していった。
立ち去るネレが何度も振り向き、可愛く手を振るので、私もほやんとした感じで、手を振り返した。
おねーさん・・・新しい扉を開きそうだよ・・・。
ネレ坊の存在は、美少年とか言う緊張するものではなく、“癒される”の一言だった。
そのネレの後ろ姿が、何となくキラキラした金粉を落としているようにも見えた。
クレーが一言、耳元に囁いた。
「あ、やっちゃいましたね」
「え?何を?」
「・・・あの、聖女の力をお菓子に込めて、直接食べさせたって事は・・・祝福をネレ坊に与えちゃってます」
「え? 直接がヤバイの?」
「ええ・・・直接食べさせたのが、ヤバイです」
あちゃー・・・やっちまったのかあ・・・。
「ミリアン・・・君の魔力はいつも駄々洩れだ・・・何とか対策を練ろうか」
どうやら、常にクレーが傍にいてくれているのは、私の駄々洩れの魔力を、彼女の空間魔法でうまくコントロールしてくれているらしい。
「クレー先輩、イスマエル先生、頑張りますんで、よろしくお願いいたします」
厨房内では、チョコレートの香りが充満し、みな、チラチラとこちらを気にしている。
気取ったって仕方がない、とりあえず目の合ってしまった人に手招きをしてみた。
「て・・・手伝いはできないぞ・・・」
「そう、残念だわ? 味見の手伝いもしてくれないのね」
「そ、それぐらいならいいぞ!」
プライドが高そうな、金髪の若い調理師が近づいてきた。
今まで出して貰っていたおやつもとても美味しかったが、デコレーションは微妙だった。
だから今回は、このトリュフチョコレートで繊細な超かわいいキラキラチョコを作製したかったのだ。
材料費の高いトリュフチョコレートはイスマエルに見守って貰っているので、残ったチョコレートを適当にナッツに掛けて、ココアパウダーをかけていた。
(いいよねえ、アーモンドチョコとか! ウイスキーやブランデーのつまみに最高だよ)
一人呼んだら、わらわらと数人が連なって来た。
(え・・・そちらの方々は呼んでないけど?)
「もう、休憩時間取るから、こいつらも一緒に味見させて貰っていいか?」
「どーぞ、どーぞ、ヒロコ様にはトリュフチョコレートをちゃんと作ったので、後は私の自由にできる許可は受けてます。このままお茶会でもしますか?」
口の端を引きつらせながら、必死で愛想笑いをキープした。
(た・・・足りるかな?)
「おお! お嬢ちゃん、話わかるねえ!」
ちろりと、イスマエルと視線を合わすと、静かに頷いた。
これも作戦の一部である。
イスマエルは“地味の才”を全開中の為、誰も彼の存在にツッコミを入れない。
(スゲー・・・マジであの技、教えて欲しい!)
「お嬢ちゃん、聖女様の侍女見習いなんだって?」
「うん、ど田舎から来たから、何が何だか分かんなくって勉強中なの」
「え? どこ出身?」
「ごめんなさい、言えないの。下手すると家族まとめて人質にされちゃうから」
「うお・・・そんな理由が・・・苦労してんだな!」
「なんつーかまあ、長い物には巻かれないとな、生活できないもんな」
「ごめんな、手伝えなくてさ」
(同情するなら、情報よこせ!)
「いえいえ・・・最初からクレー先輩と二人で作る予定でしたし、お忙しい中、この場所をお借りできてとても助かりました」
「でも、これ・・・チョコレートそのものをきれいに加工するなんて初めて見たよ」
「そうなんですか?」
「普通この辺じゃ、ケーキとかクッキーに入れたり、削って飾りとかにしか使わないんだよな」
「ふーん? そういう文化なんですね」
「このチョコ本当に食べていいのか?」
「どーぞ、どーぞ、早いもん勝ちです」
「早い者勝ち!?」
「夏ですからね、どうせ溶けちゃいますもん!」
それに、後ろにいる人間冷却機がいなければ作れないのだ。
という、男性の一言で厨房内に笑い声が上がった。
「聖女様といえば、深層の令嬢だろうが? こんなチビ・・・コホン、こんな幼いワケが・・・」
「いいや、うわさでは幼い少女だって言ってたよ」
「でも、ミリアンさんみたいなちんまりでは・・・」
すみません。
ちんまりです。
本人です。
イスマエル先生とクレー先輩が、顔では平静を装っているが・・・腹筋が震えていて、かなりヤバそうだった。
「イスマエル様ぁ~、コレ、できたので冷やしてもらえますぅ?」
「ああ、わかった・・・ぶふっ・・・」
厨房内は熱気が充満しているのに、イスマエルの周りは程よく涼しい・・・助かる。
「ネレ坊、そろそろお仕事に戻りなさいな」
クレーは母親の様に優しく言った。
「ああ! いっけねぇ・・・すぐ薪を運ばなきゃならんかった!」
慌ててネレは厨房から走り出していった。
立ち去るネレが何度も振り向き、可愛く手を振るので、私もほやんとした感じで、手を振り返した。
おねーさん・・・新しい扉を開きそうだよ・・・。
ネレ坊の存在は、美少年とか言う緊張するものではなく、“癒される”の一言だった。
そのネレの後ろ姿が、何となくキラキラした金粉を落としているようにも見えた。
クレーが一言、耳元に囁いた。
「あ、やっちゃいましたね」
「え?何を?」
「・・・あの、聖女の力をお菓子に込めて、直接食べさせたって事は・・・祝福をネレ坊に与えちゃってます」
「え? 直接がヤバイの?」
「ええ・・・直接食べさせたのが、ヤバイです」
あちゃー・・・やっちまったのかあ・・・。
「ミリアン・・・君の魔力はいつも駄々洩れだ・・・何とか対策を練ろうか」
どうやら、常にクレーが傍にいてくれているのは、私の駄々洩れの魔力を、彼女の空間魔法でうまくコントロールしてくれているらしい。
「クレー先輩、イスマエル先生、頑張りますんで、よろしくお願いいたします」
厨房内では、チョコレートの香りが充満し、みな、チラチラとこちらを気にしている。
気取ったって仕方がない、とりあえず目の合ってしまった人に手招きをしてみた。
「て・・・手伝いはできないぞ・・・」
「そう、残念だわ? 味見の手伝いもしてくれないのね」
「そ、それぐらいならいいぞ!」
プライドが高そうな、金髪の若い調理師が近づいてきた。
今まで出して貰っていたおやつもとても美味しかったが、デコレーションは微妙だった。
だから今回は、このトリュフチョコレートで繊細な超かわいいキラキラチョコを作製したかったのだ。
材料費の高いトリュフチョコレートはイスマエルに見守って貰っているので、残ったチョコレートを適当にナッツに掛けて、ココアパウダーをかけていた。
(いいよねえ、アーモンドチョコとか! ウイスキーやブランデーのつまみに最高だよ)
一人呼んだら、わらわらと数人が連なって来た。
(え・・・そちらの方々は呼んでないけど?)
「もう、休憩時間取るから、こいつらも一緒に味見させて貰っていいか?」
「どーぞ、どーぞ、ヒロコ様にはトリュフチョコレートをちゃんと作ったので、後は私の自由にできる許可は受けてます。このままお茶会でもしますか?」
口の端を引きつらせながら、必死で愛想笑いをキープした。
(た・・・足りるかな?)
「おお! お嬢ちゃん、話わかるねえ!」
ちろりと、イスマエルと視線を合わすと、静かに頷いた。
これも作戦の一部である。
イスマエルは“地味の才”を全開中の為、誰も彼の存在にツッコミを入れない。
(スゲー・・・マジであの技、教えて欲しい!)
「お嬢ちゃん、聖女様の侍女見習いなんだって?」
「うん、ど田舎から来たから、何が何だか分かんなくって勉強中なの」
「え? どこ出身?」
「ごめんなさい、言えないの。下手すると家族まとめて人質にされちゃうから」
「うお・・・そんな理由が・・・苦労してんだな!」
「なんつーかまあ、長い物には巻かれないとな、生活できないもんな」
「ごめんな、手伝えなくてさ」
(同情するなら、情報よこせ!)
「いえいえ・・・最初からクレー先輩と二人で作る予定でしたし、お忙しい中、この場所をお借りできてとても助かりました」
「でも、これ・・・チョコレートそのものをきれいに加工するなんて初めて見たよ」
「そうなんですか?」
「普通この辺じゃ、ケーキとかクッキーに入れたり、削って飾りとかにしか使わないんだよな」
「ふーん? そういう文化なんですね」
「このチョコ本当に食べていいのか?」
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