病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

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【それは偽りではなく、ノリです。】その6

 斜め横に立つイスマエルと眼を合わせ、とりあえず作り笑顔で元気そうなフリをした。
「ごめんなさい、ちょっとさっき、びっくりし過ぎちゃって・・・て・・・え?」
 私は振動の激しい横抱き移動から解放され、はじめてイスマエルの服装を視界に入れた。
 しばしfreezeフリーズ
「うんうん、幼いヒロコには・・・刺激が強すぎたな・・・さて、私も訓練の途中だったので直ぐに戻らねば」
「くくく・・・訓練? その服装で?」
「ああ、ヒロコは私のこの姿は見たことがなかったか・・・式典の時などは軍服も着るぞ? まあ、私は文官服の方が柔らかくて好きなのだが」
 黒い詰襟つめえりに金の縁取りの入った軍服、前髪もきれいに横に流して・・・腰には剣も携えている。
顔の一部である眼鏡が・・・・・・・ない。
 いつもの真面目文官系、オールバックじゃない・・・だとっ!?
「た・・・大変です! イスマエル先生が若く見えます!」
「どーゆー意味だ?」
「なんで黒なんです!?」
 萌えちゃうじゃないですか!
「ん? これは兼任している業務がある印のようなものだ、騎士専従ではないので途中で抜け出してもおとがめがないのだ」
 どうやら所属によって制服(軍服)の色が違うらしい。
「そうそう、イスマエル様・マクシム様・ナトン様は聖女様の世話係ですもの。黒はヒロコ様の御髪おぐしの色ですし・・・金はヒロコ様の魔力の色ですもの」
「さっきマクシムが制服は特にないって・・・」
「あら、これを着るのは騎士訓練に参加する時と、聖女様の騎士として参加する式典の時だけですよ? マクシム様は‟聖女の世話係”としての普段の制服が決まっていないという意味で言ったのでは?」
 じゃあ、ユニフォーム作ってもいいんだな?
 私が何を考えたか気が付いたのか、
「制服を作る予算は、正式に聖女として陛下に認められなければ降りないぞ?」
「いや・・・でも・・・これは詐欺だわ・・・」
「詐欺? 何故そこまで言われなきゃならんのだ」
 イスマエルは“詐欺”と言われ、悪い意味に捉えてしまったらしい。
 違うのだよ、キミが眩しいんだよ。
「ちなみにノエミちゃんの世話係の場合は?」
 私はクレーと目を合わせる。
「茶色に銀の縁取りですよ」
「うぐっ・・・それもイイ! キラキラ乙女の好み・・・」
 上品な茶色の布地に、銀の刺繍か・・・魔王ルックスのルベン様には白シャツにフリフリを追加しないと、あの長髪に服が浮いてしまうかも知れない。
「ルベン様には白レースも似合う・・・どっちも似合う・・・いや、あの長髪はやはり結って頂かねば・・・ふぐ・・・」
 あ~、コスプレ衣装が作りたくなって来たなあ。
「“ルベン”? 何故そこでルベンが出てくるのだ」
 室内の魔法の空調効果が効いてきたらしく、涼しいそよ風が私の頬を掠めた。
 現在、どこの部屋も窓や扉をぴっちり閉めてあるはずだ。
「装飾にルビーが似合う男性なんて中々いないよねぇ・・・うん、ピアスとかしないのかなあ」
 ピクリ、と、イスマエルは片眉を上げた。
「ピアス? 誰がだ?」
「いや、ルベン様にルビーのピアスとかいいかな~と」
「ひっ・・・ヒロコ様それは・・・」
 クレーが何かパタパタとジェスチャーを始めたが、私はその意味が解らず言葉を続けた。
「似合いそうだよね、あの人だし」
 そうそう、キャラ設定の時に悩んだんだよね、装飾品とか?
 (あ~なんか、すっげー涼しくなって来たな・・・)
すごいよね、部屋が魔法の冷暖房完備って!
「・・・ルベンにピアスを贈るのか?」
「え? でも買えないでしょう?」
「ヒロコに購入可能だが?」
 イスマエルの瞳の色が久しぶりにオホーツク海っぽく冷たく光った。
 私はふと、魔法式のエアコンの冷房が強めになってきたようだと考えたが、私のどうしようもないキャラ愛の妄想は続いていた。
「ピアスかあ・・・ねえ、イスマエル? だったら私は真珠のピアスが欲しいな! 大き過ぎないヤツとか、かわいいよね?」
 (いいな~、ドレスが青と白が基調とか言ってたしな、ウキウキしてきたなぁ!)
 と、そんなアホっぽい感じの笑顔のままでイスマエルの顔を見つめ返した。
「私に・・・ピアスをねだるのか?」
 あ、オホーツク海の流氷が溶けたみたい・・・そして、イスマエルが徐々に後退った。
「へ?」
「ヒロコさまぁあぁあぁあっ!! 殿方に向かってそんな事を言ってはいけませーーーんっ!」
 何故か先ほどからクレーが焦っている。
「え? あれ? 冷房止まった? え? なに?」
 そして、華麗な騎士姿のイスマエルは何も声を発しなくなり、回れ右をしてから風の様に走り去った。
「あああああっ、イスマエル様!? 誤解ですよぉおぉおぉ!!」
 クレーがその後をすごい勢いで追いかけて行った。
「・・・・・・・・・・はて? 何が起こったのかな?」
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