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【それは偽りではなく、ノリです。】その10
「あのタイミングで“金の波紋”が出たのは?」
「どのタイミングですか?」
「すみません・・・瀕死の男の子が看護塔に運ばれて・・・涙が・・・その」
「ああ・・・まさか自分の真後ろであんな爆弾投下されるとは思いませんでしたね・・・“金の波紋”は星と繋がった者でないと発動ができませんが・・・明確な記録がないので、発動条件は不明ですねぇ」
「あの・・・金の波紋を自在に操る事ができれば、死んだ人間を生き返らせる事は可能ですか?」
「理論的には、魂の入ってない死体では無理です・・・が、肉体の損傷がギリギリのラインで、魂を絶対手放さない強い意思と、術者と深いつながりを持った者ならば・・・“超回復”と言う意味では試す価値はあります」
「あのう・・・」
「はい? ヒロコ様、なんでしょう?」
「ちなみに金色じゃないんですけど、聖女の涙を直に人が飲んだ場合はどうなりますか・・・」
「う~ん・・・となると、理論的には・・・その者が“金の波紋”の素を体内に宿した事になりますかね?」
「「「“金の波紋”の素!?」」」
三人の声が揃ってしまった。
「・・・・・・実験しましょうか?」
平和そうな笑顔を浮かべていたアーチュウの瞳の奥が光った。
「は?」
「ヒロコ様の体液を下さい!」
「体液って・・・玉ねぎで泣いた場合は効果の違いとかあるんですか?」
「え! 協力してくれるのですか!?」
承諾の意味だと捉えたアーチュウが思わず腰を浮かした。
「ちょっと! ストーップ! それダメ! ゼッタイ!」
マクシスが両手を勢いよく上げた。
「・・・ダメなの?」
「ばかああああ! 聖女の肉体は国宝なの! 珍獣並みに希少なの!」
「・・・・・・・・・・・・・・・珍獣」
「重要性が分かってないだろう? キミの血液一滴で殺し合いが起こるんだよ!? キミの身柄一つで戦争が起こるんだよ! だいたい・・・この宮に不法に入ろうとした人間が何人死んだと思ってるんだ?」
「・・・・・・・・・・え?」
心臓に一筋の氷の針を刺されたような感覚が襲った。
ぐらりと、視界が・・・まるで世界が歪んだようだった。
胸から喉へと冷たさが伝わり、私は何かを言おうとしたはずだが、その言葉は凍りついて床に落ち、誰にも届かなかった。
同時に、指先から熱を失っていくのを感じた。
掌から、指先から、何かが逃げていく・・・・。
けれど、直後に地についている足元から何かが心臓に向かっていく。
小さな振動がざわざわと全身を巡っているのだ。
呼吸のように繰り返されるその感覚を、私はたった今、はじめて自覚した。
壊れそうな私を、絶えず“何か”が支えている――――。
ふと、クレーが私の後方にあるベランダに視線を向け、足早に歩み寄った。
全員その方向に視線を向けると、黒い詰襟を着たナトンくんと、険しい表情を浮かべたソラルさまが「開けろ」と、口パクしていた。
クレーはすまし顔で、カラカラカラ・・・と丁寧にガラス戸を開け、その横でゆっくりと頭を垂れた。
「あ、クレー・・・その戸はそのまま開けといて」
「かしこまりました」
クレーに向かって凛々しく声をかけるナトンくん、その後ろからソラルさまは部屋に入り、私の居る両袖机の横に静かに立った。
「体調は大丈夫か? ・・・ヒロコ」
「あ・・・はい、大丈夫です」
「そうか・・・」
ソラルさまは私の頭をポンポンと触り、無理して笑顔を作ったようだった。
「ソラルさま?」
対照的に怒りをあらわにした、黒い軍服を来たナトンくんが腰掛けていたマクシムの前に立ち、彼を見下ろしていた。
「え・・・? ど、どうしたナトン・・・なに怒って?」
胸を張って大きく息を吸い、マクシムの胸倉を引いて立ち上がらせた。
「あのねえ・・・マクシム? ヒロコがこちら側に来た時、どれだけ衰弱していたか分かってる?」
「お、おい! なんでいきなり?」
「どんだけイスマエルが気を使っているか分かってないでしょ?」
「いや・・・その・・・」
「なんで看護塔までヒロコを連れて行ったんだよ!! ああいう騒ぎがある場所なのは知っていたはずだろうがぁーーー!」
と、ナトンくんはそのまま大きく振りかぶって・・・投げたぁ!?
その風圧で飛びそうな紙類を私は必死で机ごと押さえた。
「ええええっ!?」
マクシスの身体はそのまま勢いよく、お庭の遠くへと・・・どっかに飛んでった。
マクシムが飛んで行った風圧に煽られても微動だにしないクレーが、少し間をおいてからピシャリとガラス戸を閉めた。
気が付けば、ソラルさまが机の備品に気を使いつつ私に覆いかぶさっていた。
「・・・ヒロコ、大事ないか?」
ソラルさまの吐息が耳に掛かり、ぞくぞくした。
「は・・・はひ・・・」
今日はどうしてこう、心臓に悪い事が多いのだろうか?
「どのタイミングですか?」
「すみません・・・瀕死の男の子が看護塔に運ばれて・・・涙が・・・その」
「ああ・・・まさか自分の真後ろであんな爆弾投下されるとは思いませんでしたね・・・“金の波紋”は星と繋がった者でないと発動ができませんが・・・明確な記録がないので、発動条件は不明ですねぇ」
「あの・・・金の波紋を自在に操る事ができれば、死んだ人間を生き返らせる事は可能ですか?」
「理論的には、魂の入ってない死体では無理です・・・が、肉体の損傷がギリギリのラインで、魂を絶対手放さない強い意思と、術者と深いつながりを持った者ならば・・・“超回復”と言う意味では試す価値はあります」
「あのう・・・」
「はい? ヒロコ様、なんでしょう?」
「ちなみに金色じゃないんですけど、聖女の涙を直に人が飲んだ場合はどうなりますか・・・」
「う~ん・・・となると、理論的には・・・その者が“金の波紋”の素を体内に宿した事になりますかね?」
「「「“金の波紋”の素!?」」」
三人の声が揃ってしまった。
「・・・・・・実験しましょうか?」
平和そうな笑顔を浮かべていたアーチュウの瞳の奥が光った。
「は?」
「ヒロコ様の体液を下さい!」
「体液って・・・玉ねぎで泣いた場合は効果の違いとかあるんですか?」
「え! 協力してくれるのですか!?」
承諾の意味だと捉えたアーチュウが思わず腰を浮かした。
「ちょっと! ストーップ! それダメ! ゼッタイ!」
マクシスが両手を勢いよく上げた。
「・・・ダメなの?」
「ばかああああ! 聖女の肉体は国宝なの! 珍獣並みに希少なの!」
「・・・・・・・・・・・・・・・珍獣」
「重要性が分かってないだろう? キミの血液一滴で殺し合いが起こるんだよ!? キミの身柄一つで戦争が起こるんだよ! だいたい・・・この宮に不法に入ろうとした人間が何人死んだと思ってるんだ?」
「・・・・・・・・・・え?」
心臓に一筋の氷の針を刺されたような感覚が襲った。
ぐらりと、視界が・・・まるで世界が歪んだようだった。
胸から喉へと冷たさが伝わり、私は何かを言おうとしたはずだが、その言葉は凍りついて床に落ち、誰にも届かなかった。
同時に、指先から熱を失っていくのを感じた。
掌から、指先から、何かが逃げていく・・・・。
けれど、直後に地についている足元から何かが心臓に向かっていく。
小さな振動がざわざわと全身を巡っているのだ。
呼吸のように繰り返されるその感覚を、私はたった今、はじめて自覚した。
壊れそうな私を、絶えず“何か”が支えている――――。
ふと、クレーが私の後方にあるベランダに視線を向け、足早に歩み寄った。
全員その方向に視線を向けると、黒い詰襟を着たナトンくんと、険しい表情を浮かべたソラルさまが「開けろ」と、口パクしていた。
クレーはすまし顔で、カラカラカラ・・・と丁寧にガラス戸を開け、その横でゆっくりと頭を垂れた。
「あ、クレー・・・その戸はそのまま開けといて」
「かしこまりました」
クレーに向かって凛々しく声をかけるナトンくん、その後ろからソラルさまは部屋に入り、私の居る両袖机の横に静かに立った。
「体調は大丈夫か? ・・・ヒロコ」
「あ・・・はい、大丈夫です」
「そうか・・・」
ソラルさまは私の頭をポンポンと触り、無理して笑顔を作ったようだった。
「ソラルさま?」
対照的に怒りをあらわにした、黒い軍服を来たナトンくんが腰掛けていたマクシムの前に立ち、彼を見下ろしていた。
「え・・・? ど、どうしたナトン・・・なに怒って?」
胸を張って大きく息を吸い、マクシムの胸倉を引いて立ち上がらせた。
「あのねえ・・・マクシム? ヒロコがこちら側に来た時、どれだけ衰弱していたか分かってる?」
「お、おい! なんでいきなり?」
「どんだけイスマエルが気を使っているか分かってないでしょ?」
「いや・・・その・・・」
「なんで看護塔までヒロコを連れて行ったんだよ!! ああいう騒ぎがある場所なのは知っていたはずだろうがぁーーー!」
と、ナトンくんはそのまま大きく振りかぶって・・・投げたぁ!?
その風圧で飛びそうな紙類を私は必死で机ごと押さえた。
「ええええっ!?」
マクシスの身体はそのまま勢いよく、お庭の遠くへと・・・どっかに飛んでった。
マクシムが飛んで行った風圧に煽られても微動だにしないクレーが、少し間をおいてからピシャリとガラス戸を閉めた。
気が付けば、ソラルさまが机の備品に気を使いつつ私に覆いかぶさっていた。
「・・・ヒロコ、大事ないか?」
ソラルさまの吐息が耳に掛かり、ぞくぞくした。
「は・・・はひ・・・」
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