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【それは偽りではなく、ノリです。】その14
その夜の月は半月で、きれいな薄紫だった。
天空に浮かぶ薄い雲がゆっくりと流れて、幻想的な夜空を演出している。
私は寝室のベランダに続く窓を開けて・・・勝手に一人でお月見をしていた。
本当はベランダに出るのはしばらく控えるように言われていたんだけどね。
眠れなくって、とりあえず寝室側の小さな一人用の椅子とテーブルを窓際に近づけて、一人で酒盛りを始めた。
テーブルの上には煎ったナッツに塩をかけたツマミと、赤ワイン。
「一人の時間は大事です」
ぼそりと独り言ちる。
くいっとグラスを傾け、その美しい液体を味わう。
「チーズが欲しい・・・」
「良ければ、持って来ようか?」
はっとして声の方向を見ると、彼がベランダの手すりに腰掛けながらこちらを見ていた。
「ソラル様?…すごくびっくりしました」
何だか待ち伏せたストーカーを思い出した。
「案外、酒飲みなのだな?」
「嗜む程度ですよ」
傍らにあるボトルは、既に指2本程度しか液体は残っていない。
「そうか・・・」
煤けた金髪、やさし気な深く青い瞳・・・うん、渋すぎて萌える。
そして、昼間とは違う顔・・・。
「ソラル様は・・・お若いですね?」
「そうでもないぞ」
「一緒にどうですか?」
そう言って私は、グラスを掲げた。
彼は少し考えた素振りを見せて、答える。
「いや、今は勤務中だ・・・酒は飲まない」
「勤務中・・・ですか?」
私は口角を上げて、クスクスと笑う。
そんな私の仕草と表情を見て、彼の眼が驚きを見せた。
「・・・・・・酔っているのか?」
私はわざと眼を合わせず、自室の寝室から一歩出てベランダに降り立ち、庭に植えてある白薔薇に視線を移した。
「・・・・・・こないだ私に会いに来る前、兵士に扮した暗殺者を殺したと聞きました」
そう、ソラルさまは・・・遠征から帰った直接に、結果の報告がてら城に寄った。
その直後に、倒れた私の事を耳にして足早に移動する際中に、あの少年が城内で護衛兵士に切り捨てられた瞬間に出くわしたのだ。
ソラルさまはナトンと共に、護衛兵士に扮した暗殺者の狙いを見抜き・・・真のターゲットは少年が狙った大臣秘書ではなく、大臣本人だと即座に気が付いた。
騒ぎに紛れて偽の護衛兵士が大臣を人気のない場所に誘導しようとした途端、ソラルさまはナトンのサポートで真の暗殺者二名を切り捨て、一名を証人として生け捕りにしたのだ。
少々分かりづらいが・・・死亡した少年は、目くらましの為の捨て駒だった訳だ。
つまり、二重三重に企てた暗殺計画はソラルさまの偶然の活躍によって失敗に終わった。
(すごいな、ソラルさま・・・護衛の兵士に扮した暗殺者三名ってなんだよ?)
そう、遠征から帰った直後だったのだ。
だから、フォスティンヌ様の私への挨拶のエスコートがイスマエルになったのだ。
昼間に感じた背中の彼の熱が・・・まだ私の身体を支配しているように思えた。
「ああ、それがどうした? 私は職務を全うしただけだ」
その男は私にゆっくりと近づき、大きく白い手で私の頬に触れた。
違う、何もかもが違う・・・けれどこの偽物に心を奪われてしまいたい。
その指が私の耳と髪をなぞる・・・けれどその手を払い、感情の無い笑顔を無理やり造り、私は言った。
「お酒がダメなら・・・トリュフチョコレートはどうですか?」
「あるのか?」
ほうら・・・憂鬱な表情が期待に変わった・・・。
天空に浮かぶ薄い雲がゆっくりと流れて、幻想的な夜空を演出している。
私は寝室のベランダに続く窓を開けて・・・勝手に一人でお月見をしていた。
本当はベランダに出るのはしばらく控えるように言われていたんだけどね。
眠れなくって、とりあえず寝室側の小さな一人用の椅子とテーブルを窓際に近づけて、一人で酒盛りを始めた。
テーブルの上には煎ったナッツに塩をかけたツマミと、赤ワイン。
「一人の時間は大事です」
ぼそりと独り言ちる。
くいっとグラスを傾け、その美しい液体を味わう。
「チーズが欲しい・・・」
「良ければ、持って来ようか?」
はっとして声の方向を見ると、彼がベランダの手すりに腰掛けながらこちらを見ていた。
「ソラル様?…すごくびっくりしました」
何だか待ち伏せたストーカーを思い出した。
「案外、酒飲みなのだな?」
「嗜む程度ですよ」
傍らにあるボトルは、既に指2本程度しか液体は残っていない。
「そうか・・・」
煤けた金髪、やさし気な深く青い瞳・・・うん、渋すぎて萌える。
そして、昼間とは違う顔・・・。
「ソラル様は・・・お若いですね?」
「そうでもないぞ」
「一緒にどうですか?」
そう言って私は、グラスを掲げた。
彼は少し考えた素振りを見せて、答える。
「いや、今は勤務中だ・・・酒は飲まない」
「勤務中・・・ですか?」
私は口角を上げて、クスクスと笑う。
そんな私の仕草と表情を見て、彼の眼が驚きを見せた。
「・・・・・・酔っているのか?」
私はわざと眼を合わせず、自室の寝室から一歩出てベランダに降り立ち、庭に植えてある白薔薇に視線を移した。
「・・・・・・こないだ私に会いに来る前、兵士に扮した暗殺者を殺したと聞きました」
そう、ソラルさまは・・・遠征から帰った直接に、結果の報告がてら城に寄った。
その直後に、倒れた私の事を耳にして足早に移動する際中に、あの少年が城内で護衛兵士に切り捨てられた瞬間に出くわしたのだ。
ソラルさまはナトンと共に、護衛兵士に扮した暗殺者の狙いを見抜き・・・真のターゲットは少年が狙った大臣秘書ではなく、大臣本人だと即座に気が付いた。
騒ぎに紛れて偽の護衛兵士が大臣を人気のない場所に誘導しようとした途端、ソラルさまはナトンのサポートで真の暗殺者二名を切り捨て、一名を証人として生け捕りにしたのだ。
少々分かりづらいが・・・死亡した少年は、目くらましの為の捨て駒だった訳だ。
つまり、二重三重に企てた暗殺計画はソラルさまの偶然の活躍によって失敗に終わった。
(すごいな、ソラルさま・・・護衛の兵士に扮した暗殺者三名ってなんだよ?)
そう、遠征から帰った直後だったのだ。
だから、フォスティンヌ様の私への挨拶のエスコートがイスマエルになったのだ。
昼間に感じた背中の彼の熱が・・・まだ私の身体を支配しているように思えた。
「ああ、それがどうした? 私は職務を全うしただけだ」
その男は私にゆっくりと近づき、大きく白い手で私の頬に触れた。
違う、何もかもが違う・・・けれどこの偽物に心を奪われてしまいたい。
その指が私の耳と髪をなぞる・・・けれどその手を払い、感情の無い笑顔を無理やり造り、私は言った。
「お酒がダメなら・・・トリュフチョコレートはどうですか?」
「あるのか?」
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