病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

文字の大きさ
55 / 71

【愛人と奴隷と心理士と諜報員?】その2

「ふふふっ・・・では、イスマエル? 貴方は騎士の訓練があるのでしょう? どれぐらいで戻る予定かしら?」
「何をバカな事をっ!?」
「イスマエル・・・その剣をしまって?」
 笑顔で小首を傾げる私を見て、彼は歯を食いしばりながら訓練用の細い剣を鞘に納めた。
 私がヒヨッコの見習い聖女と言えども “世話係”は自分の担当する聖女には絶対服従が基本だ。
 場合によっては、その“世話係”の地位を剥奪する事もできる。
 尊敬する兄のようなイスマエルには申し訳ないが、ここは順を追って話をつけたい。
「訓練どころではない・・・この男は、情けない事だが母上の愛人だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え」
 今度は私が状況を把握できなかった。
「・・・悪いけど、違うから」
 しれっと紫頭の男は言った。
 愛人と疑われているその男は二十代後半に見える。
 フォスティンヌは若く見えるけれど・・・生物学上は40歳代のはずだ。
「何を言うか! 貴様と母上が何度も逢引きしたのを私は見ているんだぞ!」
「あのさ、悪いけど・・・お客の情報は一切言わない主義だから」
「客だと!? 貴様・・・」
「いや、だから、オレ情夫とかじゃないから・・・誤解されているのは分かってるけどさ・・・現時点ではこれ以上あんたらには何も言えないから」
 まったく何が何だかわからないけれど、私はパシンと勢いよく手を叩き、その音で埒が明かない二人の睨み合いを強制終了した。
 いわゆる相撲技の猫だましである。
「とりあえず、私はその人と遅い朝食を食べます。イスマエルは訓練をサボるつもりなら、この不法侵入の男性の身柄を私がどこまで拘束できるかどうか確認してきて」
「この男の身柄を聖女が預かるとでも?」
「そうよ、私はどこまで自分に権限があるかなんて知らないもの」
「逆にどこまで・・・その男を従わせたいのだ?」
「すべて」
「なに言ってんだ? バカ女!?」
 声だけ張り上げる紫頭を、護衛兵士は二人がかりで床に頭を押さえつけ、拘束して見せた。
 絶対服従・・・余り気分のいいものじゃない。
「やめて、その人を押さえ込まないで・・・クレー、その人と朝食を食べるから準備と案内をお願い」

 朝食が準備された部屋には現在、私と不法侵入の男、料理長のギヨム、侍女のクレーのみである。
 遅めの朝食は、コーンスープに、サラダにトースト、ベーコンエッグは湯気が立ち昇り口の中にジワリと唾液を感じた。
 朝の卵料理は大事なたんぱく源だ。
 次回はふんわりオムレツをお願いしよう。
 ちなみに、“オムライス”と言う言葉が通じなかった。
 どうやらこの国には存在しない料理らしい。
 真向かいの席で太々ふてぶてしく踏ん反り返って座る男は、運ばれてきた料理を見て一瞬表情を柔らかくしたが、私と目が合うと、再び眼光を鋭くした。
 不思議な光を放つ金色の瞳は、どこかの警戒心の強い野犬を思わせる。
 いや、どちらかと言うと・・・異色の狼のようだ。
 そして、どこか憎めないのが悩ましい。
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載