69 / 71
【愛人と奴隷と心理士と諜報員?】その16
「私からも一言、言わせていただきます・・・この薔薇ジャムは、あなたの為にヒロコ様が液体で服用しやすいようにと開発しました。最近、朝早くから仕事の準備をされ、体術の訓練を挟み、ヒロコ様と勉学に励み、ご自宅で魔術の研究やお身体を鍛え直しているとお聞きしております。周囲の者が目で見てわかるようにお忙しいあなたをご心配しておられました・・・そんなイスマエル様に、正しい判断ができる状況ではなかったと私も思います」
「何を言っている! それが私の仕事だ! やって当たり前だ!」
「・・・・・・・・・・大きなお世話よ」
「ヒロコ!?」
下を向いたまま、首も動かせなくなっている私は言葉だけで彼に語る。
「私を危険に晒さない為に、片っぱしから“悪”とあなたが判断するものを排除している」
「だからそれはっ――――」
「あなたが私の為に切りたくないものまで、切り捨てる必要なんかないのよ」
「私が切りたくないもの・・・・・・」
「あなたはっ! 自分の父親にそっくりな姿をした人間を殺せるの? 切りたくもない少年を切り捨てて苦しくはないの? 顔見知りに対して殺すとか、拷問するとか平気で言わないでよ!? そんなの私の為なんかじゃないし、そんなのが仕事だなんて言って欲しくない!」
身体が冷えていく、呼吸が浅く早く・・・自分の心臓の音が耳に響いて、目の前が・・・暗くなっていく――――。
ぐらりと椅子ごと倒れかかった私を、安心感そのものの長い腕と広い胸で受け止めてくれたのは・・・・・・。
「父上ぇっ!?」
暖かく爽やかな春風のように現れた、ソラルだった。
そっと横抱きの、お姫様抱っこからの、椅子に私ごと腰掛け、子供をあやすように頭をナデナデしてくれた。
「よしよし・・・よく頑張ったな、私の小さな聖女・・・」
彼が触れた場所から、温かくなり、冷えてこわばっていた身体が段々楽になった気がした。
ああ、なんて・・・安心、安全、安定のトリプルAのソラルさま。
スンスン・・・ええ匂い・・・。
なんだろこれ、牧草っぽいかな?
そうそう、あれあれ・・・安心、安全、安定品質のオー〇〇ビーフ・・・。
なんか急に食欲が出て来たような気がする。
「父上・・・どうしてここに・・・」
「何を言ってるんだ。おまえが指示を出したから戦力補助の為に協力したんだろうが? だから、先ほど怪しい者を拘束したのをマテオ様に報告しに来たのだ。事情は先ほど少し聞いたのだが・・・」
「けれど何故、私の指示に父上が関係あるのですか?」
「“戦闘能力の高い者”と協力して、城内と城外に怪しい人間や馬車の類がいないかと重要事項として指示を流しただろう」
「ああ・・・そうですが・・・まさか騎士団長であるあなたが直接動くなんて、思いつきませんでした」
「・・・・・・・・知らんのか?」
「何をです?」
「そうか、まだまだ自覚が足りんな・・・・・・聖女の為の世話係の権力は、私の仕事よりも上なのだ。王と宰相の意見が最重要事項として優先されるように、聖女を護るための世話係の指示は、それらに近い! 覚えておけ、今、自分の立たされている立場を!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」
「まあ・・・・・・・聖女は滅多な事では出現しないからな、無理もない・・・か?」
「私の指示が、騎士団長の仕事より優先事項なのですかっ!?」
何だか今日は、気苦労の絶えないイスマエルに美味しいお酒と何か気の利いたつまみでもご馳走してあげたい気分になった。
「何を言っている! それが私の仕事だ! やって当たり前だ!」
「・・・・・・・・・・大きなお世話よ」
「ヒロコ!?」
下を向いたまま、首も動かせなくなっている私は言葉だけで彼に語る。
「私を危険に晒さない為に、片っぱしから“悪”とあなたが判断するものを排除している」
「だからそれはっ――――」
「あなたが私の為に切りたくないものまで、切り捨てる必要なんかないのよ」
「私が切りたくないもの・・・・・・」
「あなたはっ! 自分の父親にそっくりな姿をした人間を殺せるの? 切りたくもない少年を切り捨てて苦しくはないの? 顔見知りに対して殺すとか、拷問するとか平気で言わないでよ!? そんなの私の為なんかじゃないし、そんなのが仕事だなんて言って欲しくない!」
身体が冷えていく、呼吸が浅く早く・・・自分の心臓の音が耳に響いて、目の前が・・・暗くなっていく――――。
ぐらりと椅子ごと倒れかかった私を、安心感そのものの長い腕と広い胸で受け止めてくれたのは・・・・・・。
「父上ぇっ!?」
暖かく爽やかな春風のように現れた、ソラルだった。
そっと横抱きの、お姫様抱っこからの、椅子に私ごと腰掛け、子供をあやすように頭をナデナデしてくれた。
「よしよし・・・よく頑張ったな、私の小さな聖女・・・」
彼が触れた場所から、温かくなり、冷えてこわばっていた身体が段々楽になった気がした。
ああ、なんて・・・安心、安全、安定のトリプルAのソラルさま。
スンスン・・・ええ匂い・・・。
なんだろこれ、牧草っぽいかな?
そうそう、あれあれ・・・安心、安全、安定品質のオー〇〇ビーフ・・・。
なんか急に食欲が出て来たような気がする。
「父上・・・どうしてここに・・・」
「何を言ってるんだ。おまえが指示を出したから戦力補助の為に協力したんだろうが? だから、先ほど怪しい者を拘束したのをマテオ様に報告しに来たのだ。事情は先ほど少し聞いたのだが・・・」
「けれど何故、私の指示に父上が関係あるのですか?」
「“戦闘能力の高い者”と協力して、城内と城外に怪しい人間や馬車の類がいないかと重要事項として指示を流しただろう」
「ああ・・・そうですが・・・まさか騎士団長であるあなたが直接動くなんて、思いつきませんでした」
「・・・・・・・・知らんのか?」
「何をです?」
「そうか、まだまだ自覚が足りんな・・・・・・聖女の為の世話係の権力は、私の仕事よりも上なのだ。王と宰相の意見が最重要事項として優先されるように、聖女を護るための世話係の指示は、それらに近い! 覚えておけ、今、自分の立たされている立場を!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」
「まあ・・・・・・・聖女は滅多な事では出現しないからな、無理もない・・・か?」
「私の指示が、騎士団長の仕事より優先事項なのですかっ!?」
何だか今日は、気苦労の絶えないイスマエルに美味しいお酒と何か気の利いたつまみでもご馳走してあげたい気分になった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載