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既視感がひどい冤罪婚約破棄とその後
前編
「キャロライン・アップルトン! お前がソニア・ステイシーに対して数々の嫌がらせ……では済まないような行為を働いていたことは解っている! それらを、今この場で明らかにする!」
この国の第一王子で王太子、私の婚約者でもあるアイザックから、婚約破棄を言い渡された。
その瞬間に、前世の記憶が蘇り、この世界が前世で呼んだ物語だと気付いた。私は物語の中では、アイザック王子と愛を育むヒロインのソニアを虐め抜く悪役令嬢のキャロライン。
キャロラインは公爵家の娘で、アイザックと結婚したいと我が儘を言い、娘の我が儘はなんでも叶えてきた父親の公爵は、この願いももちろん叶えた。
父公爵としても、娘が王妃になったら、これまで以上に好き勝手できると考えていたのは、言うまでもない。
我が儘放題のキャロラインとアイザックは不仲……キャロラインはアイザックに嫌われているとは思っていなかったが。
その後、学園に入学して、ヒロインのソニアが現れ、アイザックはソニアに惹かれていき、キャロラインは嫉妬からソニアに数々の虐めを行う。
その虐めが暴力的なものになり、このままではソニアが危ないということで、この卒業パーティーで私を断罪する。
「この場で明らか……ですか」
いまは、ちょうどそのシーン。
壇上にはソニアの肩を抱いたアイザックと、ソニアと友情を育んだ男性四名が、私を睨みつけている。
「そうだ!」
アイザックに肩を抱かれているソニアだが、目新しさの欠片もない、男爵家の庶子で、母親が亡くなってから、父親によって引き取られた。
貴族になってまだ日も浅く、正妻という継母にも辛く当たられ、それでも笑顔を絶やさない優しい少女。
庶民には馴染みのない学校に入学することになり、そこでも頑張るソニア。そんなソニアに気さくに声を掛けてきたアイザック。
二人の仲は徐々に近くなるが、キャロラインが気付かないはずもなく。
……いまさら説明する必要があるのかという程テンプレ。物語はキャロラインとその実家が排除され、二人が結婚式を挙げたところで終わる。
「……以上だ!なにか反論はあるか!」
テキストを思い出していたら、アイザックの罪状並べが終わっていた。
ちゃんと聞いてはいないが、私は先ほどまで間違いなくキャロライン・アップルトンで、ソニアを虐めた記憶も残っている。
早めに記憶を取り戻す悪役令嬢モノなら、ここで冤罪の証拠を突きつけて論破するところだが、あいにく私はたった今記憶を取り戻したので、抵抗できるような証拠もない。
アイザックには弟がいるが、よくある物語のように「優秀でアイザック王子ではなく、弟王子が」などと言われるようなこともない。
ここにいきなり弟王子が現れて、罪を曝いて「実は、あなたのことが好きだった」とほざくこともない。ほざかれても困る。だって、弟王子にも婚約者がいるから。
「反論はありません」
「見苦し……そ、そうか。とにかく、お前との婚約は破棄する!」
原作ではキャロラインは「していない!」と叫んで、ソニアのことを責めていた。台詞はなんとなく覚えているけれど、それを二人のためにわざわざ言う気になれない。
これで少しは未来が変わってしまうかもしれないけれど、相手にするのも億劫。
なにより壇上にいる容姿の整った王子と、男に好かれる可愛らしい容貌の庶民あがりの男爵令嬢。王子の側近は騎士団長に宰相、大商人に神官長の息子という、面白みの欠片もないラインナップ。
記憶が戻った直後はまだ驚きなどがあったけれど、落ち着いてきたら目の前に広がる光景は見たことがないけれど、
(既視感がすごい)
見たことがあると錯覚してしまう光景。
この先、どうなるのかは知らないけれど……
「ということは、私が彼女にプロポーズしてもいいということだな」
特にわたしが動かなかったら、人の中からいきなり現れたのは隣国の皇子だった。
この国の第一王子で王太子、私の婚約者でもあるアイザックから、婚約破棄を言い渡された。
その瞬間に、前世の記憶が蘇り、この世界が前世で呼んだ物語だと気付いた。私は物語の中では、アイザック王子と愛を育むヒロインのソニアを虐め抜く悪役令嬢のキャロライン。
キャロラインは公爵家の娘で、アイザックと結婚したいと我が儘を言い、娘の我が儘はなんでも叶えてきた父親の公爵は、この願いももちろん叶えた。
父公爵としても、娘が王妃になったら、これまで以上に好き勝手できると考えていたのは、言うまでもない。
我が儘放題のキャロラインとアイザックは不仲……キャロラインはアイザックに嫌われているとは思っていなかったが。
その後、学園に入学して、ヒロインのソニアが現れ、アイザックはソニアに惹かれていき、キャロラインは嫉妬からソニアに数々の虐めを行う。
その虐めが暴力的なものになり、このままではソニアが危ないということで、この卒業パーティーで私を断罪する。
「この場で明らか……ですか」
いまは、ちょうどそのシーン。
壇上にはソニアの肩を抱いたアイザックと、ソニアと友情を育んだ男性四名が、私を睨みつけている。
「そうだ!」
アイザックに肩を抱かれているソニアだが、目新しさの欠片もない、男爵家の庶子で、母親が亡くなってから、父親によって引き取られた。
貴族になってまだ日も浅く、正妻という継母にも辛く当たられ、それでも笑顔を絶やさない優しい少女。
庶民には馴染みのない学校に入学することになり、そこでも頑張るソニア。そんなソニアに気さくに声を掛けてきたアイザック。
二人の仲は徐々に近くなるが、キャロラインが気付かないはずもなく。
……いまさら説明する必要があるのかという程テンプレ。物語はキャロラインとその実家が排除され、二人が結婚式を挙げたところで終わる。
「……以上だ!なにか反論はあるか!」
テキストを思い出していたら、アイザックの罪状並べが終わっていた。
ちゃんと聞いてはいないが、私は先ほどまで間違いなくキャロライン・アップルトンで、ソニアを虐めた記憶も残っている。
早めに記憶を取り戻す悪役令嬢モノなら、ここで冤罪の証拠を突きつけて論破するところだが、あいにく私はたった今記憶を取り戻したので、抵抗できるような証拠もない。
アイザックには弟がいるが、よくある物語のように「優秀でアイザック王子ではなく、弟王子が」などと言われるようなこともない。
ここにいきなり弟王子が現れて、罪を曝いて「実は、あなたのことが好きだった」とほざくこともない。ほざかれても困る。だって、弟王子にも婚約者がいるから。
「反論はありません」
「見苦し……そ、そうか。とにかく、お前との婚約は破棄する!」
原作ではキャロラインは「していない!」と叫んで、ソニアのことを責めていた。台詞はなんとなく覚えているけれど、それを二人のためにわざわざ言う気になれない。
これで少しは未来が変わってしまうかもしれないけれど、相手にするのも億劫。
なにより壇上にいる容姿の整った王子と、男に好かれる可愛らしい容貌の庶民あがりの男爵令嬢。王子の側近は騎士団長に宰相、大商人に神官長の息子という、面白みの欠片もないラインナップ。
記憶が戻った直後はまだ驚きなどがあったけれど、落ち着いてきたら目の前に広がる光景は見たことがないけれど、
(既視感がすごい)
見たことがあると錯覚してしまう光景。
この先、どうなるのかは知らないけれど……
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特にわたしが動かなかったら、人の中からいきなり現れたのは隣国の皇子だった。
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