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変態は変態を呼ぶ?
プロポーズでトラップでした
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涙を拭いて、竜也君とリビングのソファーで待ってたら天馬君がノートパソコンを持ってきた。膝乗りは断固拒否したけど、ぴったり隣にいて既に鬱陶しさMAX……!
「お待たせしました。こちらをご覧ください」
目の前に置かれた画面を竜也君と二人で覗き込む。
音楽が流れて、映るのは可愛い衣装の女の子達。あれ? アイドル? 普通にミュージックビデオ?
「うわぁぁぁぁん! やだよぉぉぉぉ! 俺は見ないぃぃぃぃっ!」
「竜也君、うるさい」
勝手についてきて何なんだろう、このうるささ。
抱き着こうとしてくるのを必死に腕を突っ張って阻止する。今更だけど、天馬君だっているのに!
「だって……だってぇ……」
画面を見ないようにしてる竜也君だけど、私はここで天馬君の意図に気付いた気がした。
「竜也君、ちゃんと見て」
「足太い……ぐすっ……足太おばけ……」
本当に涙目になってる竜也君、マジでダメらしい。
これはつまり、動画じゃなくて動画を見た竜也君の反応を楽しむ企画? 罰ゲーム?
「萌えは死んだのだ……」
何だろう、この悟り感。
「次にこちらをご覧ください」
「ひぃぃぃぃん、足長おばけぇぇぇぇ!」
次に天馬君が見せてくれたのは美脚を売りにしたアイドルだった。セクシーなお姉さんのホットパンツから長い足がにょきにょき……
「ふぇぇ、気持ち悪いよぉ……」
これはひどい。失礼すぎる。
でも、天馬君は楽しそうに次の動画を再生する。
「足のお化けが宙を舞う……」
ポールダンスを見た竜也君の反応がこちら。竜也君にとっては恐怖映像を見ているようなもの?
「ぶくぶく……」
シンクロの映像を見たんだけど、最早、竜也君が息してない的な。竜也君のライフはゼロ……
「まあ、こんな感じです」
「なるほど……これはひどい」
竜也君の弱点を知っちゃったみたい。いや、何か凄くうるさくなったけど、多大なダメージを与えられた気がする。
ちょっとだけ可哀想かなって思ったけど、竜也君が抱き着いてきて、その考えも掻き消える。
「そうだよ! ひどい! ひどすぎるよ! りりちゃんの足の方がいいもん!」
「うわっ、やめて! くっつかないでって! きゃっ!」
ジタバタ暴れて、天馬君がパソコンを避難させたのが見えたけど、私はソファーから尻餅をつくように落ちる。そんなに痛くはなかったけど……
「はうっ……りりちゃんの聖域が俺の目の前に……!」
何でこうなるの!?
私の足の間、大事なところに竜也君の顔が埋まってる……!
「ぃやぁぁぁぁっ、変態っ!!」
竜也君が変態なのは言わずと知れたことだけど! ちょっとこれはない!
じたばたして、髪の毛引っ張ったりするけど、竜也君は動かない。助けて、天馬君!
「りんちゃん!?」
駆け込んできたのはお姉様だった。帰ってきたんだ……! 助かった!
「兄貴がラッキースケベを発動した!」
「国外追放されたくなかったら今すぐ離れなさい!」
お姉様の一喝で竜也君はぱっと離れた。そっか、海外留学っていう切り札があったんだった。
お姉様も帰ってきてくれたし、天馬君もいるし、安心してケーキとお菓子を食べることにした。二人が買ってきてくれたらしい。
「りりちゃんのウェディングドレスは俺が作りたいなぁ……」
さっき泣いたことも忘れてティータイムを楽しんでた私は竜也君がぽつりと漏らした一言に固まる。
全然、そんな先のこと考えてなかったって言うか、そもそも竜也君との関係自体がふわふわしてる。全部解決したとは言えない。
「兄貴、気が早すぎだし、そこは女の子の意見を尊重してやらないとバイバイされるぜ?」
天馬君の存在、マジでありがたすぎる。さすが女装男子? 女心をわかってる?
いや、バイバイしたくてもできない感が凄いんだけど。
「そもそも、ちゃんと告白されてないような?」
「したよ!」
確かに好きって言われたし、付き合おうって言われた。でも、それは私が思うような誠実な告白とは違ったわけで。
「竜也、ムードって言葉知ってる?」
「知ってるよ!」
竜也君はお姉様にバカにされてる気分なのかも知れないけど、確かにムードもへったくれもない的な感じだった。って言うか、普通に怖かった。最初はヤリチンチャラ男モードだったし、その後はヤンデレモードだったし。
「ちょっと待って、一日……いや、すぐ用意するから待ってて!」
何の準備が必要なんだろうって思ったけど、竜也君は凄い勢いでリビングを出て行ってしまった。お姉さまも天馬君もいるのに、変なことにならなきゃいいけど。
すぐに戻ってきた竜也君は私の前で跪く。その手には小さな箱。
それをパカッと開けて、これはプロポーズでは? ってちょっと斜め上の竜也君に引いたりしたんだけど……
「こ、これは……!」
それは確かに指輪だったけど、ただの指輪じゃない。
ジュエリーブランドとのコラボで出たレオン様イメージの指輪、私が観賞用に買うには高い物なんだけど……折角だから、もっとよく見たい!
レオン様に誘われるようにそろりそろり手を伸ばす。
「りりたん、ストップ! 一回冷静に考えよう! 触ったら一環の終わり!」
天馬君の声ではたと我に返る。やばい、危なかった。トラップだった。ありがとう、天馬君!
「あんた、やっぱり留学したら?」
お姉様は呆れてるご様子。お姉様にも迷惑ばっかりかけるような……竜也君のせいだけど。
「やだ……無理……死んじゃう……」
涙目の竜也君。人混み克服できてないし、確かに遠い異国の地で知らない人達と生きていけるのかはわからない。
「りりちゃん、一生一緒にいてくださいっ!」
重っ! 重すぎるよ、竜也君! 土下座するとか……
「そんなこと言われても……」
「捨てないでぇっ!」
どうしよう、これ。大泣きする大きすぎる子供を前に、本当にどうしたらいいかわからない。
二人で話し合うようにってお姉様と天馬君は出て行っちゃうし……防犯ブザーを置いていったけど。
「お待たせしました。こちらをご覧ください」
目の前に置かれた画面を竜也君と二人で覗き込む。
音楽が流れて、映るのは可愛い衣装の女の子達。あれ? アイドル? 普通にミュージックビデオ?
「うわぁぁぁぁん! やだよぉぉぉぉ! 俺は見ないぃぃぃぃっ!」
「竜也君、うるさい」
勝手についてきて何なんだろう、このうるささ。
抱き着こうとしてくるのを必死に腕を突っ張って阻止する。今更だけど、天馬君だっているのに!
「だって……だってぇ……」
画面を見ないようにしてる竜也君だけど、私はここで天馬君の意図に気付いた気がした。
「竜也君、ちゃんと見て」
「足太い……ぐすっ……足太おばけ……」
本当に涙目になってる竜也君、マジでダメらしい。
これはつまり、動画じゃなくて動画を見た竜也君の反応を楽しむ企画? 罰ゲーム?
「萌えは死んだのだ……」
何だろう、この悟り感。
「次にこちらをご覧ください」
「ひぃぃぃぃん、足長おばけぇぇぇぇ!」
次に天馬君が見せてくれたのは美脚を売りにしたアイドルだった。セクシーなお姉さんのホットパンツから長い足がにょきにょき……
「ふぇぇ、気持ち悪いよぉ……」
これはひどい。失礼すぎる。
でも、天馬君は楽しそうに次の動画を再生する。
「足のお化けが宙を舞う……」
ポールダンスを見た竜也君の反応がこちら。竜也君にとっては恐怖映像を見ているようなもの?
「ぶくぶく……」
シンクロの映像を見たんだけど、最早、竜也君が息してない的な。竜也君のライフはゼロ……
「まあ、こんな感じです」
「なるほど……これはひどい」
竜也君の弱点を知っちゃったみたい。いや、何か凄くうるさくなったけど、多大なダメージを与えられた気がする。
ちょっとだけ可哀想かなって思ったけど、竜也君が抱き着いてきて、その考えも掻き消える。
「そうだよ! ひどい! ひどすぎるよ! りりちゃんの足の方がいいもん!」
「うわっ、やめて! くっつかないでって! きゃっ!」
ジタバタ暴れて、天馬君がパソコンを避難させたのが見えたけど、私はソファーから尻餅をつくように落ちる。そんなに痛くはなかったけど……
「はうっ……りりちゃんの聖域が俺の目の前に……!」
何でこうなるの!?
私の足の間、大事なところに竜也君の顔が埋まってる……!
「ぃやぁぁぁぁっ、変態っ!!」
竜也君が変態なのは言わずと知れたことだけど! ちょっとこれはない!
じたばたして、髪の毛引っ張ったりするけど、竜也君は動かない。助けて、天馬君!
「りんちゃん!?」
駆け込んできたのはお姉様だった。帰ってきたんだ……! 助かった!
「兄貴がラッキースケベを発動した!」
「国外追放されたくなかったら今すぐ離れなさい!」
お姉様の一喝で竜也君はぱっと離れた。そっか、海外留学っていう切り札があったんだった。
お姉様も帰ってきてくれたし、天馬君もいるし、安心してケーキとお菓子を食べることにした。二人が買ってきてくれたらしい。
「りりちゃんのウェディングドレスは俺が作りたいなぁ……」
さっき泣いたことも忘れてティータイムを楽しんでた私は竜也君がぽつりと漏らした一言に固まる。
全然、そんな先のこと考えてなかったって言うか、そもそも竜也君との関係自体がふわふわしてる。全部解決したとは言えない。
「兄貴、気が早すぎだし、そこは女の子の意見を尊重してやらないとバイバイされるぜ?」
天馬君の存在、マジでありがたすぎる。さすが女装男子? 女心をわかってる?
いや、バイバイしたくてもできない感が凄いんだけど。
「そもそも、ちゃんと告白されてないような?」
「したよ!」
確かに好きって言われたし、付き合おうって言われた。でも、それは私が思うような誠実な告白とは違ったわけで。
「竜也、ムードって言葉知ってる?」
「知ってるよ!」
竜也君はお姉様にバカにされてる気分なのかも知れないけど、確かにムードもへったくれもない的な感じだった。って言うか、普通に怖かった。最初はヤリチンチャラ男モードだったし、その後はヤンデレモードだったし。
「ちょっと待って、一日……いや、すぐ用意するから待ってて!」
何の準備が必要なんだろうって思ったけど、竜也君は凄い勢いでリビングを出て行ってしまった。お姉さまも天馬君もいるのに、変なことにならなきゃいいけど。
すぐに戻ってきた竜也君は私の前で跪く。その手には小さな箱。
それをパカッと開けて、これはプロポーズでは? ってちょっと斜め上の竜也君に引いたりしたんだけど……
「こ、これは……!」
それは確かに指輪だったけど、ただの指輪じゃない。
ジュエリーブランドとのコラボで出たレオン様イメージの指輪、私が観賞用に買うには高い物なんだけど……折角だから、もっとよく見たい!
レオン様に誘われるようにそろりそろり手を伸ばす。
「りりたん、ストップ! 一回冷静に考えよう! 触ったら一環の終わり!」
天馬君の声ではたと我に返る。やばい、危なかった。トラップだった。ありがとう、天馬君!
「あんた、やっぱり留学したら?」
お姉様は呆れてるご様子。お姉様にも迷惑ばっかりかけるような……竜也君のせいだけど。
「やだ……無理……死んじゃう……」
涙目の竜也君。人混み克服できてないし、確かに遠い異国の地で知らない人達と生きていけるのかはわからない。
「りりちゃん、一生一緒にいてくださいっ!」
重っ! 重すぎるよ、竜也君! 土下座するとか……
「そんなこと言われても……」
「捨てないでぇっ!」
どうしよう、これ。大泣きする大きすぎる子供を前に、本当にどうしたらいいかわからない。
二人で話し合うようにってお姉様と天馬君は出て行っちゃうし……防犯ブザーを置いていったけど。
応援ありがとうございます!
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