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変態の家族も変態でした
閑話:迷探偵ベルの回想と考察
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一週間、夢と現実の境目を漂ってるような気分だった。
怒濤の土日が過ぎて、月曜。教室で竜也君の姿を見てドキッとしたけど、目が合うわけでもなく、意識してるのは私だけのような気がした。
教室での竜也君はやっぱり黙ってればイケメンなのにチャラくてヤリチンの影本君だった。残念だけど、それでもモテ男。
変な夢を見てた気がするのに、『たっちゃん』からのメッセージが現実の証だった。
学校では関わらないけど、時々『たっちゃん』にメッセージ返さないといけないし、リュウ君とやりとりもした。
私だって、いくら大好きなシャドペさんこと天馬君から言われたからって、あっさりネットの世界に戻るつもりはなかった。
新しくアカウント作ってひっそりやろうかなとか悩んだりしたけど、どうやって特定されたかもわかってないし、怖くてできなかった。
でも、結局私はシャドペさんに引きずり出されるかのようにネットに戻った。完璧に釣られたって自分でもわかってる。
だって、仕方ないじゃん! シャドペさんが私のためにアイコン(うさ耳の可愛い女の子だった)を描いてくれたら戻るしかないじゃん!
そうこうして何事もなかったかのようにリュウ君との交流も再開してしまった。だって、後々怖いし……ネットの世界では変なこと言われないし。セクハラほんと困る。
私の意思は弱かった。竜也君はことごとく無視するし、私の意思って何だろう?
とにかく一週間、私には考える時間があったわけで、これまでのことを振り返って、少し考えてみた。
まず物語はヤリチンチャラ男として悪名高いイケメンの影本君に絡まれたところから始まったわけで。
影本君はとにかくイケメンだった。広い意味でじゃなくて、本当に本当の、奇跡的なイケメン。ただし、金髪に染めててピアスしてて制服も着崩してる。
スクールカーストの頂点にいるような人で、本来なら近寄り難い雰囲気を持ったイケメン様はチャラいその性格のせいで常に人が絶えない陽キャラ。超リア充。
何もしなくても女の子が寄ってきて入れ食いで、食い散らかし放題。取っ替え引っ替えでいつも違う女の子を連れてるとか、ゴージャス美女のパトロンがついてるとか。
黙っていればイケメン、口を開けば残念とも言われる。王子様的イケメンがなぜ道を踏み外してしまったのかと陰で嘆かれている。影本君とお関わりになれないようなタイプの女の子達の間で。
私もそういう影本君とはお関わりにならないタイプの陰キャラだったはずだった。関わりたいとは思わなかったし、同じクラスになったことは不運だと思ってた。
由真ちゃんと同じクラスになれたのは嬉しかったのに、影本君の周辺がうるさいせいで由真ちゃんの舌打ちが止まらない。
その影本君がオタクを馬鹿にするような発言で私に絡んできた。今にして思うと本当に卑劣だと思う。
乙女ゲームが好きなら俺のこと攻略してみてとか言ってくるし、好きとか言われても罰ゲームにしか思えないし、怖かった。ちょー怖かった。ホラーだった。
股ドンされるし、って言うかセクハラだし、もっと思い出したくないようなエッチなこともされた。
処女もらう宣言されて、脅される形で土曜日に影本君の家に行くことになってしまった。秘密を教えてあげると言われて。
土曜、ドナドナな気分で影本君の家に行ったら驚くことばっかりだった。
まず大きなお家だったし、オタクで中二病の弟さんがいて、影本君も実はオタクだったことが判明。
影本君が『本当の俺を見せてあげる』って言った本当の影本君はオタクだった。後にそれは第一段階だったと知るわけだけど。
更に足フェチらしくて、私の足に一目惚れしたって聞いた。そして、何やら色々したいし、してほしいと思ってるらしい。辛い。
しかも、急に難聴になるし、私の気持ちは完全無視するし、イケメンを理由に否定するとブチ切れるるし、情緒不安定で突然泣いたりするし、手に負えない感じ。
しかも、私を快楽堕ちさせられると思ってるらしい。
ヤリチンのチャラ男でいすぎた弊害なのか、影本君はエロにオープン。オタクモードだからって紳士なわけじゃなくて、ただの変態。どっちにしてもエッチなことしか考えてなかった。
処女膜を破らなければいいと思ってるらしいけど、私にとってはそういうことじゃない。
それなのに、友達から始めるっていう選択肢は用意されてない。選べない。
逃げれば犯されて、逃げなくてもエッチなことされる。どっちにしても詰んでるけど、受け入れる心の準備はできない。
本当はオタクで、イケメンを理由にオタクであることを否定されてブチ切れたのが原因でチャラ男になりきることにしたあたり、私からしたらぶっ飛んでるなぁって感じ。多少は同情するけど、だからって許せるわけじゃない。
美味しいご飯を食べさせてくれたってチャラにはならない。
でも、本当に料理は美味しくて私は満腹感からか、うっかり寝てしまう失態を犯してしまったわけで。
目が覚めたら隣で王子様寝てるし、週末に補給する約束をさせられるし、一緒にベッドにいる写真まで撮られてしまった。辛い。
そうして日曜、私は再び影本家を訪れることになって更に驚愕の事実の数々を知ることになった。
これ以上驚くことはないと思っていたのに、怒濤の如くだった。
まず、影本君の弟の天馬君は私が敬愛する女装絵師であるシャドウペガサスさん(略してシャドペさん)だった。
お姉様はダークマターを精製するレディ・シャドウ様だったし、おじいさまとお父様は影爺とミスターシャドウっていう有名レイヤーさんだし、影本家の遺伝子ハンパない。
その上、ネット親友とも言えるような仲良しのフォロワーさん乙女ゲーム好き男子のリュウ君の正体が影本君もとい竜也君だったことまで判明した。私がフォローしてる人達の中に影本家の人間潜みすぎだった。
竜也君が私のアカウント特定した方法はまだわかってなくて怖くて触れないようにしてる。
それから無理矢理ファーストキスを奪われて、お詫びと称してまたキスされた。ディープなの。辛い。
お姉様に会って、怒られて、お姉様のお店に下着を買いに行く約束を取り付けられて、着々と外堀を埋められていく気がした。
それから、また餌付けされて、眠っちゃって、また王子様の隣で眠ってたわけで……解せない。
土曜はまだ竜也君のせいで寝不足だったからわかる。でも、日曜はその昼寝にプラスして疲れたせいか、ちゃんと眠ることができてたにも係わらず失態を犯した。
昼食に薬でも盛られてるんじゃないかってくらい同じタイミングで寝てる。
睡眠薬? いや、まさか。いくら竜也君でもそんなことするはずない……よね?
同じ物を食べてたはず。パスタは取り分けて……でも、スープとか飲み物とか液体に入ってた可能性は捨てきれない。
そこまで外道じゃないと思いたいけど、本人に直接聞くことはできない。確かめる術も……いや、あるかもしれない。
次の時に竜也君が出してくる物を一切口にしないというのはどうだろうか。それでも眠ったら多分私の問題。もしかしたら、影本家には睡魔が潜んでいるのかもしれない。
でも、もし、眠らなかったら……確実じゃないけど、何かされた可能性があるのかもしれない。
怖いけど、また眠っちゃうのも怖い。二度あることは三度あるって言うし。
そして、次の土曜、私はある作戦を決行してみることにしたのだった……
怒濤の土日が過ぎて、月曜。教室で竜也君の姿を見てドキッとしたけど、目が合うわけでもなく、意識してるのは私だけのような気がした。
教室での竜也君はやっぱり黙ってればイケメンなのにチャラくてヤリチンの影本君だった。残念だけど、それでもモテ男。
変な夢を見てた気がするのに、『たっちゃん』からのメッセージが現実の証だった。
学校では関わらないけど、時々『たっちゃん』にメッセージ返さないといけないし、リュウ君とやりとりもした。
私だって、いくら大好きなシャドペさんこと天馬君から言われたからって、あっさりネットの世界に戻るつもりはなかった。
新しくアカウント作ってひっそりやろうかなとか悩んだりしたけど、どうやって特定されたかもわかってないし、怖くてできなかった。
でも、結局私はシャドペさんに引きずり出されるかのようにネットに戻った。完璧に釣られたって自分でもわかってる。
だって、仕方ないじゃん! シャドペさんが私のためにアイコン(うさ耳の可愛い女の子だった)を描いてくれたら戻るしかないじゃん!
そうこうして何事もなかったかのようにリュウ君との交流も再開してしまった。だって、後々怖いし……ネットの世界では変なこと言われないし。セクハラほんと困る。
私の意思は弱かった。竜也君はことごとく無視するし、私の意思って何だろう?
とにかく一週間、私には考える時間があったわけで、これまでのことを振り返って、少し考えてみた。
まず物語はヤリチンチャラ男として悪名高いイケメンの影本君に絡まれたところから始まったわけで。
影本君はとにかくイケメンだった。広い意味でじゃなくて、本当に本当の、奇跡的なイケメン。ただし、金髪に染めててピアスしてて制服も着崩してる。
スクールカーストの頂点にいるような人で、本来なら近寄り難い雰囲気を持ったイケメン様はチャラいその性格のせいで常に人が絶えない陽キャラ。超リア充。
何もしなくても女の子が寄ってきて入れ食いで、食い散らかし放題。取っ替え引っ替えでいつも違う女の子を連れてるとか、ゴージャス美女のパトロンがついてるとか。
黙っていればイケメン、口を開けば残念とも言われる。王子様的イケメンがなぜ道を踏み外してしまったのかと陰で嘆かれている。影本君とお関わりになれないようなタイプの女の子達の間で。
私もそういう影本君とはお関わりにならないタイプの陰キャラだったはずだった。関わりたいとは思わなかったし、同じクラスになったことは不運だと思ってた。
由真ちゃんと同じクラスになれたのは嬉しかったのに、影本君の周辺がうるさいせいで由真ちゃんの舌打ちが止まらない。
その影本君がオタクを馬鹿にするような発言で私に絡んできた。今にして思うと本当に卑劣だと思う。
乙女ゲームが好きなら俺のこと攻略してみてとか言ってくるし、好きとか言われても罰ゲームにしか思えないし、怖かった。ちょー怖かった。ホラーだった。
股ドンされるし、って言うかセクハラだし、もっと思い出したくないようなエッチなこともされた。
処女もらう宣言されて、脅される形で土曜日に影本君の家に行くことになってしまった。秘密を教えてあげると言われて。
土曜、ドナドナな気分で影本君の家に行ったら驚くことばっかりだった。
まず大きなお家だったし、オタクで中二病の弟さんがいて、影本君も実はオタクだったことが判明。
影本君が『本当の俺を見せてあげる』って言った本当の影本君はオタクだった。後にそれは第一段階だったと知るわけだけど。
更に足フェチらしくて、私の足に一目惚れしたって聞いた。そして、何やら色々したいし、してほしいと思ってるらしい。辛い。
しかも、急に難聴になるし、私の気持ちは完全無視するし、イケメンを理由に否定するとブチ切れるるし、情緒不安定で突然泣いたりするし、手に負えない感じ。
しかも、私を快楽堕ちさせられると思ってるらしい。
ヤリチンのチャラ男でいすぎた弊害なのか、影本君はエロにオープン。オタクモードだからって紳士なわけじゃなくて、ただの変態。どっちにしてもエッチなことしか考えてなかった。
処女膜を破らなければいいと思ってるらしいけど、私にとってはそういうことじゃない。
それなのに、友達から始めるっていう選択肢は用意されてない。選べない。
逃げれば犯されて、逃げなくてもエッチなことされる。どっちにしても詰んでるけど、受け入れる心の準備はできない。
本当はオタクで、イケメンを理由にオタクであることを否定されてブチ切れたのが原因でチャラ男になりきることにしたあたり、私からしたらぶっ飛んでるなぁって感じ。多少は同情するけど、だからって許せるわけじゃない。
美味しいご飯を食べさせてくれたってチャラにはならない。
でも、本当に料理は美味しくて私は満腹感からか、うっかり寝てしまう失態を犯してしまったわけで。
目が覚めたら隣で王子様寝てるし、週末に補給する約束をさせられるし、一緒にベッドにいる写真まで撮られてしまった。辛い。
そうして日曜、私は再び影本家を訪れることになって更に驚愕の事実の数々を知ることになった。
これ以上驚くことはないと思っていたのに、怒濤の如くだった。
まず、影本君の弟の天馬君は私が敬愛する女装絵師であるシャドウペガサスさん(略してシャドペさん)だった。
お姉様はダークマターを精製するレディ・シャドウ様だったし、おじいさまとお父様は影爺とミスターシャドウっていう有名レイヤーさんだし、影本家の遺伝子ハンパない。
その上、ネット親友とも言えるような仲良しのフォロワーさん乙女ゲーム好き男子のリュウ君の正体が影本君もとい竜也君だったことまで判明した。私がフォローしてる人達の中に影本家の人間潜みすぎだった。
竜也君が私のアカウント特定した方法はまだわかってなくて怖くて触れないようにしてる。
それから無理矢理ファーストキスを奪われて、お詫びと称してまたキスされた。ディープなの。辛い。
お姉様に会って、怒られて、お姉様のお店に下着を買いに行く約束を取り付けられて、着々と外堀を埋められていく気がした。
それから、また餌付けされて、眠っちゃって、また王子様の隣で眠ってたわけで……解せない。
土曜はまだ竜也君のせいで寝不足だったからわかる。でも、日曜はその昼寝にプラスして疲れたせいか、ちゃんと眠ることができてたにも係わらず失態を犯した。
昼食に薬でも盛られてるんじゃないかってくらい同じタイミングで寝てる。
睡眠薬? いや、まさか。いくら竜也君でもそんなことするはずない……よね?
同じ物を食べてたはず。パスタは取り分けて……でも、スープとか飲み物とか液体に入ってた可能性は捨てきれない。
そこまで外道じゃないと思いたいけど、本人に直接聞くことはできない。確かめる術も……いや、あるかもしれない。
次の時に竜也君が出してくる物を一切口にしないというのはどうだろうか。それでも眠ったら多分私の問題。もしかしたら、影本家には睡魔が潜んでいるのかもしれない。
でも、もし、眠らなかったら……確実じゃないけど、何かされた可能性があるのかもしれない。
怖いけど、また眠っちゃうのも怖い。二度あることは三度あるって言うし。
そして、次の土曜、私はある作戦を決行してみることにしたのだった……
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