【R18】変態に好かれました

Nuit Blanche

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やっぱり変態でした

宗教はお断りです

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「りりちゃん、ちゃんとイけたね。いい子いい子」

 撫で撫でされて褒められても、ぼんやりして、よくわからない。
 無理矢理したくせにって思う反面、褒められて嬉しいような気持ちにもなってしまうから困る。
 体が弛緩して、膝裏を抑えてた手が離れて足をだらしなく投げ出しても竜也君は怒らなかった。

「ほら、イってみたらもう怖くないんじゃない?」
「怖いもん……」
「じゃあ、怖くなくなるまでやろうね。大丈夫、気持ちいいだけだよ。痛くないよ」

 やっぱり怖い物は怖かった。
 自分が自分じゃなくなりそうで怖い。
 竜也君が言う新しい世界に引きずり込まれるのが怖い。
 それは沼に引きずり込まれそうな怖さとは違う。

「エッチなことは悪いことじゃない。罪悪に感じる必要なんてないから、俺と楽しもう?」

 笑いかけてくる竜也君が怖い。宗教の勧誘を受けてるような気がする。
 そういうことを楽しむっていう概念が私にはないのに、押し付けてくる。
 だって、竜也君とは付き合ってなくて、好き合ってもいないのに。

 それでも首を縦に振らない私に痺れを切らした風もなく、竜也君はまたそこに触った。

「ひぅっ!」

 絶頂させられた余韻でぼんやりして油断してたせいで、また竜也君の指先が入ってきた。
 受け入れてしまうことが怖い。

「りりちゃんのここはちゃんと俺の指根元まで飲み込めたから大丈夫だよ?」
「え……?」

 何のこと?
 竜也君は何を言ってるの?
 だって、今はせいぜい第一関節までしか入ってないのに、根元までってどういうこと?

「ほんとは俺の指挿れるの初めてじゃないから」

 衝撃の告白だった。
 それは、いつの話?
 まさか、寝てた間のこと?

「竜也君?」
「そんなに怖いなら、まずは小指にしてみようか?」

 指が抜かれたと思ったら、小指が宛がわれた。

「やめて……」

 細い指なら大丈夫ってことじゃない。小指って言っても私の小指と比べたら太くて長い。
 まだ何も受け入れたことがないはずなのに、竜也君の指を知ってる。
 私が知らない間に竜也君は私の中を知ってる。
 恋人でもないのに、すっかり恋人気分の竜也君に全て奪われていく。

「や、待って、どうしてっ、んっ!」

 まだ竜也君は肝心なことに答えてない。
 抜いて匂い嗅いだり舐めたりしただけって言ってたのに、指を挿れてたなんて聞いてない。
 それなのに、追及する言葉は封じ込められた。竜也君の唇で。

「ふ、ぁ……んぅ……! は、っ……んっ!」

 逃げようとしても無駄で、あっという間に苦しくなった時に唇が離れて助かったと思った。
 でも、息をしようと口を開いたのは間違いだった。
 一度やられてるのに、学習してなかった。ううん、考える余裕なんてなかった。
 何の遠慮もなく舌を入れられて掻き回される。
 何の断りもなくキスされて、抗議したいのにできなくて、思考を奪われていく。
 竜也君はずるい。どうしようもなく、ずるすぎる。

「んんっ……あぅ……」

 口の中で暴れ回る舌に気を取られている内に、あそこに違和感を感じた。
 何か、入っきた……?
 さっきよりももっと深く入ってる。

「は、っ……んぁっ!」

 竜也君の顔が離れて私を見下ろしてる。
 そして、その存在を知らしめるように動かしてきた。
 ゆっくり抜かれて、また奥まで入ってくる。そうやって動かされる度に粘着質な水音がする。

「ほら、りりちゃんの中に俺の中指入ってる。平気でしょ?」
「やっ……うそっ……」

 信じられない。信じたくない。
 でも、確実に竜也君の指が私の中で動いてる。くちゅくちゅと音を立てて。

「大丈夫。りりちゃんの大事なところだから乱暴にしないよ。いっぱい優しく擦ってトロトロにしてあげる」
「しなくていい、からぁっ!」

 そんなことしなくていいのに、竜也君はやめてくれない。
 傷付けない気遣いはするくせに、そもそも私が嫌がることをしないっていう気遣いゼロ。
 私はいますぐにその指を抜いてほしいのに。

「ここ、りりちゃんのいいところだよ。中の感じるところ」
「やぁんっ!」

 中で竜也君の指が狙いを定めたように動いて、お腹側の浅いところを擦られた瞬間、違和感だけじゃない感覚が生まれて指が届かない奥が疼いた。
 それがまた怖くなるのに、竜也君は勝手知ったる感じで私の中を掻き回す。
 私が寝てる間にこんなことをしてたの……?

「熱いし、ひくひくしてる……先っぽだけでも挿れたくなっちゃうな」
「それ、絶対信じちゃダメだって先輩が言ってた!」

 急に冷水を浴びせられたようにぞっとした。
 その先っぽが既に奥まで入ってる指のことじゃないのはわかる。
 前にオタク部連合の先輩に散々言い聞かせられた気がする。
 大抵由真ちゃんは変なこと吹き込むなって怒るけど、その時は怒らなかった。

「えー? 俺は本当に先っぽしか挿れないよ?」
「さっきだって、触らないとか、ちょっと触るだけとか言ってたくせに!」

 竜也君の言うことなんて信じない。絶対に信じない。信じちゃダメ。
 って言うか、信じて許したわけでもない。
 元々脅されてて、怖いから竜也君には逆らえない。
 情緒不安定で危ういから、触らぬ神に何とやら的人物なんだけど、勝手に寄ってくるから困る。
 私が受け入れていれば、暴力的なことはされない。
 大人しくしてれば優しくしてくれるって言うと、ちょっとDV彼氏を相手にしてるような気分になるけど。でも、今まで暴力を振るわれたことはない。最初はかなり強引だったし、床ドンとかもされたけど、暴力とは違うと思う。殴ったりとか、そういう方法で私を従わせようとはしてない。

「りりちゃんが奥まで欲しくてたまらなくなっておねだりするまで、浅いところズポズポする」

 そう言いながら、その浅いところを擦ってくるから困る。
 竜也君が言う通り、そこが感じるところなんだと思う。
 誰にも触れられことのない内部に指が入ってて怖いのに、変な感覚が広がってきてる。

「こ、このっ、ヤリチンがっ!」

 卑猥な言葉に耐えきれなくなって爆発した。
 言葉でだけは時々反抗してしまう。
 私は竜也君のための人形にはなれないから。
 でも、言ってから後悔してしまう。何より怖いのは竜也君が固まったから。
 ヤリチンは禁句らしかったの忘れてた……散々皆から言われてるし、そういうキャラを自分で作ってるくせに、私に言われるのはダメらしい。実に面倒臭い。

「りりちゃんに童貞捧げられなくてごめんね……でも、俺、りりちゃんがどうしてもって言うならアナル処女捧げられるかも……りりちゃんにお尻を犯されるのも悪くないかも……ペニバン買っておこうかな」

 別に私は童貞にこだわらない。初めて同士がいいなんて思わない。私に捧げてほしいと思ったわけじゃない。
 それなのに竜也君はよくわからないこと言い続ける。
 どういう状況なんだろう?
 どうしてもなんて言わない。ありえない。何で私が竜也君を犯さなきゃいけないんだろう?

「気持ち悪くてごめんね、りりちゃんのこと好きすぎてごめんね、でも、大好き。愛してる。捨てないで?」

 何も言わない私を竜也君は気持ち悪がってると解釈したらしい。
 指は抜いてくれないくせに縋るような目を向けてくる。
 正直、私が竜也君を犯すとか気持ち悪い。
 でも、今、竜也君を傷つけることを言ったら私は無事に帰れなくなる。拒絶なんてできない。
 だから、自分でずるいと思っても、自分が許せなくなっても、媚びを売るしかないのかもしれない。

「今の俺は一年分のりりちゃんラブが爆発してるから」

 爆発しないでほしい。迷惑極まりない話だと思う。
 勝手に愛を溜め込んで爆発させて私を巻き込んで、とんでもないテロ行為。

「だから、いっぱいりりちゃんに触りたい。りりちゃんの全部を知りたい」

 見つめられても、ときめくわけじゃない。好きな相手に触りたいとか相手のことを知りたい気持ちはわかる。
 でも、竜也君は私を脅迫して、それを成そうとしてる。
 間違ってるのに、愛が全てを許すと思ってる。
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