【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

文字の大きさ
95 / 1,443
第5章 新しいお姉ちゃんと一緒に生きていく

66.事なかれ主義者は犯罪者?

しおりを挟む
 めっちゃお家に帰りたい。
 あいつらと関わったってろくな事なんてないと思うし、本当に帰りたい。
 まだゆっくりとこちらに向かってきているのを全員で眺めながら待ってるけど、正直今すぐにでも帰りたい。
 恐らく姿を隠す魔法か何かで姿を隠しつつ包囲の輪を狭めつつある不審者ときっと何かつながりがあるだろう彼らと関わりたくない。

「お前の魔道具、ほんと便利だよな。あんな遠いのに顔まで分かるわ」
「便利」
「それで、シズトくんはどうしてそんなに帰りたいのかしら?」
「扱き使われる未来しか見えないからですかねー」

 いや、今現時点での僕の装備とか、王家とのつながりとか、諸々考えたらそういう事になる可能性は低いのかもしれない。でも油断して結局そうなっちゃいました、ってなるのは本当に嫌だ。この人生は好きに生きて死ぬ時に楽しかったって思いたいんだ。扱き使われてたらそんな風に思えないだろうから本当に嫌だ。
 特に茶髪の女子と関わるのは嫌だ。
 姫花、〇〇欲しいから今すぐ買ってきてね、じゃないんだよ自分で買ってこい!! なんて言ったら面倒事になるから言えないんですけどねぇ~。

「とりあえず、話だけはするんだろ?」
「追って来られる方が厄介でしょう? 向こうが何を求めてるかによってお付き合いするのもいいかな、って思うし。魔道具たくさん買ってくれるならそれならそれでいいですし?」

 お金をくれる人は良いお客さん。都合のいいように使ってくるなら客じゃない。
 本当に関わりたくはないんだけど、一回は話しておかないと追いかけっこになるだろうしね。逃亡生活も楽しそうだけど窮屈そうだし遠慮しときたい。

「で? そのヒメカってやつはあの茶髪の女か?」
「そうそう。見た目は良いのに立場の弱い男を奴隷のように扱き使う女王様みたいな嫌な奴なんだよ」
「そうなの~。他の二人も知り合いなの?」
「まあね。とりあえず、ドランに向かってるだけかもしれないし、ちょっと様子見しようか」



「陽太、どうして頭プリンになってないの?」
「開口一番それかよ。見た目を変える魔道具で好きな色に染めてんだよ」

 あ、お客さんでした。
 金色の前髪を気障にかきあげたおバカは金田陽太。学校ではお調子者でクラスのリーダー的存在だった。姫花と同じくらい僕をパシらせてきた嫌な奴。今は剣の神から【剣聖】の加護を貰っているんですね。へー、パッシブスキルでめっちゃ便利そうだ。

「やっぱり生きてましたね。シズト、単刀直入に言います。エルフの国から貴方は指名手配をされています。大人しくついてきてもらえると助かるのですが」
「指名手配って、……あ!……僕何かやっちゃいました?」

 言ってみたかったセリフがまた言えたから感謝しといた方がいい?
 ごめんなさい、ちょっとふざけました。まともな事考えるからレヴィさん突かないで。
 この眼鏡をクイクイさせてるのが黒川明。頭脳担当、とか言ってた痛い奴。いろいろやらされる時にいちいち何か言ってきたのがうるさかった奴。見た目女っぽいけど男だからね? 女みたい、って言うと怒るから言わないでね。知識の神から【全魔法】の加護を貰ってるんだ。便利で良さそう。

「何かやっちゃいました? じゃないわよ! 世界樹の種を盗むとか何やってくれてんのよ! とにかく一緒について行ってあげるからさっさと謝りに行くわよ!」
「ちょっと待て。こっちの言い分も何も聞かずに一方的に責められて、どうぞ連れてってください、って差し出せるわけねぇだろ」

 いいぞ、ラオさん。もっとやれ。でも、丁度そこに立っててくれたら僕が背中に隠れられるから動かないでね。
 キャンキャンわめいているのが茶木姫花。見た目が良くてファンクラブとかあるらしい。
 茶色の髪をポニーテールにしているけど、姫花も髪の見た目変えてる魔道具使ってないんかな? あ、地毛とか先生に言ってたような気もする。どうでもいいですね、はい。
 光の神から【聖女】の加護を貰ってるとかマジ受けるんですけどー。聖女って柄じゃないと思うんですけどー。
 それにしても、この即席魔道具便利だわ。加護の詳細見れるって手の内が見えていいよね。

「それで? 僕が犯罪とか大それた事やれないチキンだってみんな知ってるでしょ?」
「まあ、そうですけどね。ユグドラシルの使徒がここで世界樹を育ててる黒髪の男が種を盗んだからエルフの国々の世界樹が枯れてしまったんだ、という話をされましてね。状況は分かりませんでしたが、タイミング的に貴方がいいように使われているのかもしれない、って思ってやってきたわけです」
「まあ、パシリだもんね、僕」
「王様とかに命令されてやってねぇだろうな?」
「万引きしてこいって陽太に言われてもしなかったのに、そんな事する訳ないでしょ?」
「あれは冗談って分かんだろ? ジョークが通じねぇつまんねぇ奴だな」
「とにかく、真偽がどうあれエルフしか育てられない世界樹がここにいつの間にか生えてる状況証拠から疑われて仕方ないでしょう」

 エルフしか育てられない、ねぇ。
 向こうからしてみたら、枯れてしまったタイミングで僕が育て始めたらそりゃなんかあるだろうな、って思うのかもしれないけど……疑われる方としてはいい気分じゃないなぁ。

「世界樹もエルフがしっかり管理してくれるそうです」
「ここはドラゴニア王国の領土ですわ! そんな勝手な事、許されるわけがないのですわ!」
「誰よアンタ」
「私はレヴィア・フォン・ドラゴニア。この国の第一王女なのですわ! お父様が世界樹の種を盗めと命じたという濡れ衣は聞かなかった事にするのですわ」
「「「………」」」

 うん、陽太たちの言いたい事はものすごくわかるよ。
 王女様がなんで麦わら帽子を被り、長靴を履いて、農家みたいな恰好をしているのかって思ってるんでしょ?
 王女様だって言われても信じられないよね、この見た目じゃ。

「そのドラゴニア王にはユグドラシルから声明が届いてるはずだ。ドラゴニア以外の周辺国への根回しを先にしてたから俺たちが先に知っていたわけだけど、大人しくこの地とシズトを引き渡さないと厄介な事になるかもしれねぇぞ?」
「周辺国が協力したら世界樹の素材を優先的に渡す、とか言ってそうだな」
「確かにそれは言ってそうね~。シズトくんの事を知らない人たちにとっては、エルフが世界樹を管理するのは常識よね。世界樹を無事に育てられたら優先的に素材を回す、とか言ったら動き出す国があってもおかしくないかもしれないわね」
「動かなくても、様子を見るために何もしない国は出そうだな」
「ドラゴニア王国にいても、いいように使われてトカゲの尻尾みたいに切られちゃうわよ。シズト、いいからこっちに来なさい」
「護送中の身の安全は保障しましょう」

 んー、考えるまでもない事だけど、どうするべきかな。
 ドラゴニア王国に迷惑をかける事になるよね、このままだと。
 …………やっぱり、逃げちゃおうか。
 ラオさんの背に隠れるのをやめてみんなよりも前に出る。
 ゆっくりと三人の方へと近寄っていくと、三人は当然そうするって思っていたみたいで大人しく待ってくれている。

「もう、好きに生きるって決めたんだよね。だから、ごめんね?」

 そう謝りつつ僕は結界の外に一歩だけ足を踏み出した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...