【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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第15章 三本の世界樹を世話しながら生きていこう

263.事なかれ主義者は巻き添えを食らう

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 ランチェッタ女王陛下から婚約の申し込みをされた翌日。
 昨日は今後の事を考え込んでいたら寝ちゃってた。ベッドの上で考え事はダメだね。
 夜ご飯の前にラオさんが起こしてくれたけど、今度からはびっくりしない起こし方をお願いした。
 ルウさんは慣れてきたけど、ラオさんは初めてでほんとにびっくりしたので。
 のんびりと着替えを済ませ、外に待たせていた本日の世話係であるホムラと共に食堂に向かう。
 ホムラは普通の女の子に見えるけど、初めて作ったホムンクルス……じゃなくて魔法生物だ。
 人形のように整った顔立ちに雪のように白い肌、まっすぐ足元まで伸ばされたとても長い黒髪に紫色の瞳が特徴的な彼女は、今日も表情から何かを窺う事はできない。

「店の方で何か問題とかって起こってない?」
「特にございません、マスター。順次滞りなく進んでいます。ガレオールの新規店舗も、こちらで教育した奴隷と、現地の知識奴隷である程度回せるようになってきています。また、何か問題が起きても大丈夫なように戦闘奴隷も多数買いました」
「ああ、あの店の前で睨みを利かせていた人たちね」

 あの人たちが立っていても気にした様子もなくお客さんがどんどん入って行くのには驚いたなぁ。
 強面のお兄さんたちが店先にいるお店はちょっと怖くて近づけないかもしれない。

「アクスファースは手紙が来るから大丈夫だろうけど、今度見に行った方が良いかな?」
「ライデンに任せておけば万事問題ないかと、マスター」
「そっか」

 食堂に着いたのでそこで話を終えて中に入る。
 中では既に皆が待っていた。……なんかラオさんが目が合うとすぐに逸らされたんだけど、何だろう?

「皆揃ってるみたいだし、とりあえず食べよっか」

 気になったけど、何かあればラオさんから言ってくると思うし、とりあえず食事前の挨拶を唱和して朝ご飯を食べ始める。
 もぐもぐと取れたての野菜サラダを咀嚼しながらラオさんをチラッと見ると、ラオさんは既に食事を終えていて、魔力マシマシ飴を舐めながらこちらを見ていた。けど、目が合うとまた逸らされる。
 なんか怒らせることしたかなぁ。
 少し思い返してみたけど特に思い当たる事がない。
 ちょっとラオさんたちとの今後の事について考えすぎて深読みしすぎているのかも。

「シズトは今日何をするのですわ?」
「んー、とりあえず例の件、ランチェッタ女王陛下に返事を一週間待って貰うようにお願いしようかなって」
「分かったのですわー。私が手紙で伝えておくのですわ」
「ありがと」

 いつも通りのレヴィさんは、農作業用の服のまま食卓に着いていた。
 今の所誰かと会う予定はないという事だろう。
 金色のツインドリルが今日も元気に揺れていて、それに視線を奪われているとモフッと腕に何かが当たる感触がした。
 右を見ると狐人族のエミリーが空いたお皿の片づけをしているようだ。彼女のモフモフの白い尻尾が僕の腕に当たったらしい。
 彼女はテキパキと空いたお皿を回収しながらも、なぜか僕をジトッと見てくる。

「……えっと、ごめんなさい?」
「何がでしょうか、シズト様」
「いや……よく分かんないけど」
「左様ですか。……お米のお代わりはしますか?」
「いや、今日はいいや」
「かしこまりました」

 お米とお味噌はニホン連合国からわざわざ取り寄せてもらっている。
 結構なお金がかかっていると思うので、暴食しないように気を付けている。
 あ、でもお昼はおにぎりが良いので、エミリーにお願いしておいた。
 エミリーは「承知しました」とだけ言って離れていった。
 ……たぶんランチェッタ女王陛下からの婚約の申し出とか考えてるから周りがなんか言いたげに見てるように見えてしまうだけだな、きっと。
 とりあえず気にしないように意識してお味噌汁を飲んだ。
 ……やっぱり納豆も欲しいなぁ。



 食事を終えるとホムラとユキが店番のために出かけていった。
 レヴィさんはランチェッタ女王陛下に向けての手紙を書くために自室に向かい、ドーラさんもその後について行った。
 そうして残ったラオさんとルウさんの二人がついてきてファマリーのお世話をし終えると、ドライアドたちと日向ぼっこをしてのんびり過ごす。
 ラオさんとルウさんは二人とも武装しておらず、タンクトップにホットパンツというお揃いの服装だった。暑がりだから薄着でいる事が多くなり、私服がそれくらいしかないんだとか。

「シズトくん、お姉ちゃんが膝枕してあげる!」
「今はだいじょーぶです」
「いいからいいから」
「必要ないですー。いけ、ドライアドちゃんたち! ルウさんの太ももの上にのしかかりだ!」
「あの人間さん?」
「みたいだよ~」
「いくぞ~~」

 いつものごとくルウさんからのスキンシップをあしらいつつ、なぜか僕のお腹の上にまでのってきたドライアドたちと一緒に日向ぼっこをしていると、ラオさんが僕を見ているのに気づく。
 僕と視線が合うとまたすぐに視線を逸らしてしまったラオさんだったけど、しばらくするとため息をついて僕ともう一度視線を合わせた。
 それから口を開いては、また閉じてを繰り返し……いきなり髪をかきむしった。

「うがああああぁぁぁ~~~~! もう! めんどくせぇ!!」
「ど、どうしたの……?」
「お前が昨日さんざん悩んでいた件、どうすんだ!!」
「ガレオールの女王陛下との婚約の件の事? ラオちゃん、気になってたの?」
「そっちじゃねぇ。寝ぼけたシズトが言ってた、アタシらと婚約するつもりっていう事だよ」
「え、寝言……?」
「そうなの!? シズトくん、わ、私たちと婚約する気になってくれたの!?」
「ちょ、ルウさん、落ち着いて……」
「どうなの、シズトくん!!!」

 ちょっと待ってって!
 ドライアドたち、ちょっとルウさんにのしかかってて!! って、僕じゃない!!!!
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