【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

文字の大きさ
520 / 1,443
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう

349.事なかれ主義者はつい目で追ってしまう

しおりを挟む
 日常生活であったら便利そうな魔道具を試作している間に時間は過ぎて、いつの間にかお昼の時間になっていた。
 それを報せに来たのは狐人族のエミリーだ。
 ノックをせずに扉を開けた彼女は、扉が開いた音に気付いて振り返った僕と目が合うとぺこりと頭を下げた。

「シズト様、そろそろお食事のお時間ですが、こちらでお食べになられますか?」
「んー……食堂で食べる人っている?」
「レヴィア様とドーラ様、セシリア様は農作業の合間に外でお食事されるそうです。ラオ様とルウ様はまだ帰ってきていないですし、ジューン様はトネリコで食事をしてくるとの事でした。ホムラ様とユキ様は夕方頃にお戻りになられると思いますので、シズト様だけになるかと」
「エミリーたちは?」

 元奴隷ではないレヴィさんたちがいると食卓に着こうとしないけど、今日であれば一緒に食事をしてくれるかもしれない。
 そう思って尋ねると、エミリーの尻尾がパタパタと揺れ動き始めた。

「シズト様がお望みであればご一緒させて頂こうかと思います」
「それじゃ、一緒に食べようか」
「かしこまりました。それでは、ノエルたちの食事の用意がありますので少々お待ちください」

 エミリーは一度部屋から出ると、ワゴンを押して中に入ってきた。
 ワゴンの上には片手で食べられるサンドウィッチが載せられていた。

「食事の時間だなっ。エイロン、飯にするぞっ」
「もうそんな時間か。お、今日も愛しのゴフッ!」

 何か言おうとしたエイロンの腹部にエルヴィスが思いっきり肘打ちをしていた。
 不思議に思ってその様子を見ていると、蹲っているエイロンを追撃しながら「なんでもないぞっ」と笑うエルヴィス。ちょっと怖い。
 エミリーを見ると、二人のやり取りを気にした様子もなく、置物と化していたアダマンタイト製のちゃぶ台の上に食事を並べた後、ノエルの作業机の脇の方にも置いていた。

「それではシズト様、参りましょうか」
「し、シズト様いらっしゃったんだな……」
「馬鹿な事を言う前にまず周り確認しろよなっ」

 蹲ってうめいているエイロンを見下ろしながらエルヴィスがため息をついている。
 エミリーの後に続いて部屋を出る前に振り返って、もう一度ノエルの様子を見ると、丁度机の脇に置かれたサンドウィッチに手を伸ばすところだった。
 作業をしながらだったけど、ちゃんと食事をとっているならまあいいか。
 エミリーの後をついて歩いていると、エミリーの方から話しかけてきた。

「シズト様は、本日どのような魔道具をお作りになられたのですか?」
「既存の物だったら『埃吸い吸い箱』かな。改良して小さな家でも置けるように小さくしたんだけど、その分埃をため込んでおける容量が少なくなっちゃったんだよね。あとは、置くだけで室内の消臭をしてくれる物とか、アイロンもどきとか……」

 エミリーの元気に動く白い尻尾を目で追いながら試作した物を列挙していくけど……そのほとんどが魔法陣を模倣できるか難しい所だ。
 出来れば廉価版でもいいからノエルたちが量産できる生活が楽になったり豊かになったりする魔道具を作りたい。
 魔動洗濯機やクリーンルームは真似する事が出来ないと言われたので、押し当てたらその部分だけ綺麗にする魔道具を作ろうと思ってアイロンもどきを作ってみたけど……あれも模倣は難しいかもしれない。
 クリーンルームや魔動洗濯機と違って綺麗にするだけの効果のはずだから、もしかしたら廉価版を作成できるかもしれないけど……ノルマ達成後のノエルに聞いてみよう。

「私たちの仕事がさらに減ってしまいそうですね」
「その分余暇時間が増えるから好きな事ができるよ?」
「そうですか。でも好きな事と言われても特に趣味はないですし……シズト様がお相手してくださるなら退屈しないで済みそうですけど?」
「遊びの話だよね?」
「ええ、遊びの話ですよ」
「そうだよね。なんか獲物を見るような目で下半身を見たような気がしたからちょっと誤解する所だったよ」
「シズト様がお望みであればお昼でもお相手致しますが?」
「そういう話は日が暮れてからでお願いしまーす」

 窓の外からちっちゃい子が見ていたらどうするんすか。たまにドライアドたちが覗いているんですよ。
 階段を下り切って食堂に向かうと、既に狼人族のシンシーラが席に着いて待っていた。
 ちゃっかり僕がいつも座る席のすぐ近くを陣取っている。いつもホムラがいる席だ。

「モニカはドランで来客対応で忙しそうだったじゃん。パメラにも声をかけたけど、別館で既に食事をしてしまったそうじゃん」
「そうですか。では、私たち三人だけですね」
「そういう事になるじゃん」

 エミリーは一度食堂から出て行くと、しばらくしてからワゴンを押して戻ってきた。
 ワゴンの上にはおいしそうな食事が並んでいる。
 今日はミノタウロスのお肉を使ったビーフ(?)シチューとパン、それから褐色肌のドライアドたちにお裾分けされた採れたての野菜サラダだった。
 一度戻ったのは温め直す必要があったかららしい。

「……保温機能が付いた何かを作るのもありかな」

 そんな事を考えながら、エミリーとシンシーラの二人と他愛もない話をしながらお昼ご飯をのんびりと食べた。二人とも上機嫌なようで、尻尾はゆらゆらと動いていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...