【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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後日譚

後日譚151.事なかれ主義者は外交の手伝いをする

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 魔動車は問題なく転移門を通じてエンジェリア帝国の首都を出発し、フルスロットルで爆走した結果、オクタビアさんから手紙を貰った翌日には小国家群の内の一つ目の都市国家に到着した。
 朝の日課のお祈りを済ませて、朝食をゆっくりと食べてから魔動車に通じている転移陣の所へと向かう。

「……レモンちゃんも一緒に行くの?」
「れもん!」

 当たり前のように肩の上に乗っているのはドライアドたちの中でも若い方のドライアドであるレモンちゃんだ。人族の幼児くらいのサイズしかないから肩の上に乗っていても平気なんだけど、連れて行ってもいいのか微妙な所だ。
 悩んでいるとレモンちゃんの髪の毛がシュルシュルッと僕の体に纏わりついた。

「感づかれました」
「そっか。なら仕方ないか」
「レモーン」

 どうやらジュリウスが動こうとしたのを察知したようだ。レモンちゃんの声はどこか誇らしげだった。

「実力はジュリウスが圧倒的に上なんだよね?」
「そうですね。シズト様のお体の事を何も考えなければ察知される前に引き離す事は可能ですが……」
「うん、僕の事を考えてくれてありがとね」

 それ以上言わなくていいよ。
 レモンちゃんを僕の肩の上に乗っけない方法はもう肩に乗ろうとする前にレモンちゃんを回収するくらいだろう。もちろんそれをした事はあるけど、結果はレモンちゃん以外がわらわらと登ってきていつも以上に大変な事になった。アレになるくらいだったらまあレモンちゃんを肩の上に乗せていた方が良い、という事でいつもレモンちゃんが肩の上を占領している。

「向こうの状況は?」
「少々アクシデントはあったようですが、安全面には問題ないとの事でした」
「アクシデント?」
「はい。どうやらジュリエッタの運転が荒かったようで、同乗していたオクタビア様が車酔いをしてしまったそうです」

 ジュリエッタさんは一時期僕のお嫁さん候補にもなった事があるエルフの女性だ。たぶん。世界樹の番人になってからは他のエルフたちと同様で僕との接触を避けている節があるので交流がないから合っているか微妙だ。
 まあ、行けば分かるだろう、という事でレモンちゃんを肩車した状態のまま魔動車に通じている転移陣が置かれている所へ向かった。
 そこにはいくつか転移陣が転がっているが、今回使うのはドライアドたちが集まって囲んでいる所だ。

「先に向こうへ行って様子を見てきます」

 そういうとジュリウスは囲っていたドライアドの一人をひょいっと持ち上げると、転移陣の上に乗り、そのまま向こうへと転移してしまった。

「レモン!」
「あ、もう行っていい感じ?」
「レモーン!」

 ジュリウスが拾って連れて行ったドライアドは元々ユグドラシルで暮らしていた肌が白いドライアドだ。当然、レモンちゃんとも感覚というか思考? をある程度共有しているようで、こういう時の意思疎通に重宝している。
 転移陣を囲んでいる肌が白いドライアドたちはレモンちゃんと同じく口々に「大丈夫だってー」「問題ないって~」「はやく!」と好き勝手話している。
 他の肌が褐色の子や、小柄で肌が日本人っぽい色のドライアドたちは「そうなんだぁ」「いってらっしゃーい」と手を振っている。
 それぞれ違う反応を示していたドライアドたちと別れを告げて転移陣に魔力を流すと、次の瞬間には見覚えのある空間に出た。

「お待ちしておりました、シズト様。ドライアドを向こうへ帰すので少々お待ちを」
「ばいばーい」
「れもれも~」

 ジュリウスが転移陣に魔力を流すと、転移陣に一人だけ乗っていた肌が白いドライアドがその場から消えた。無事向こうに転移させる事が出来たようだ。ノエル曰く、結構な魔力を持って行かれる、との事だったけどジュリウスは二回転移陣を使ったのに特に顔色に変化はない。流石ジュリウス。
 ドライアドが帰るのを見送ってから僕たちは魔動車を降りた。降りた先には顔色の悪いオクタビア様と、心配そうにチラチラ彼女の顔色を窺っているエルフの女性――ジュリエッタさんがいた。うん、仮面をつけてなければ分かる。運転をするのに邪魔だから外したんだろう、きっと。

「お待ちしておりました、シズト様。ご案内します」
「体調が良くなってからでもいいんだよ?」
「そういうわけにはいきません。待たせていますから」

 今日のオクタビアさんは屋敷に来るようなラフな格好をしていなかった。
 胸元が大きく開いた紺色のドレスを着ている彼女は、頭の上に王冠(帝冠?)を載せており、化粧もしっかり目にしている。普段は幼さの残る感じだけど、お化粧をすると女の人はガラッと変わるなぁ、なんてどうでもいい事を考えていると彼女に手を取られた。
 今回、僕は世界樹の使徒としてではなく、オクタビアさんの婚約者としてここに来ている。肩書があると対価などを用意するのが大変との事だったので、そういう事になった。エンジェリア帝国の外交に支障が出ないようにそれ相応の服にしたけれど、いつもの真っ白な服じゃないから少し違和感がある。新しく用意した服だから魔道具化してないし、身体強化が使えないからレモンちゃんもちょっと重い。
 綺麗な姿勢を維持する事に気を付けつつ、オクタビアさんの歩調に合わせてゆっくりと歩いて最初の国の小さなお城へ向かうのだった。
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