【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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後日譚

後日譚186.事なかれ主義者は一緒に歩いた

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 育生の誕生日当日。お嫁さんたちと相談して一歳の誕生日から屋敷の外を解禁する事になった。
 今までは屋敷内に新たに作った畳張りの広間で過ごしてもらっていたけれど、今日からは外で散歩する事も日課にする事にした。今日がその記念の一日目だ。

「そろそろ行こうか」
「うー」
「れもーん」

 抱っこしている育生と、肩に乗っているレモンちゃんが返事をしてくれたので、レヴィさんが開けてくれた扉をくぐって外に出る。
 玄関の外には既に大勢の人影がスタンバっていた。小柄な人影の中に大きな人影が二つ。育生の祖父母だ。

「仕事は大丈夫なんですか?」
「問題ない。全て片付けておいた」
「緊急の事があれば残してきたガントが対応するわ」

 威厳ある雰囲気でそんな事を言うのは僕の義父母であるリヴァイさんとパールさんだ。
 リヴァイさんは遊びに来る際に時折来ている動きやすそうな服を着ていて、パールさんは白いワンピースとつばの広い白い帽子を身に着けていた。
 育生がパールさんのツインドリルが気になるのか「うー!」と可愛らしい小さな指で彼女の髪を示して僕の方を見てくる。「ママとお揃いだねー」と返しておいた。

「私に抱っこして欲しいんじゃないかしら?」
「多分違うと思います」
「そうだな。抱っこされるなら俺だろう」
「それも違うと思います」
「人間さん、こっち来て~」
「美味しいの一杯あるよ~」
「うー、うー!」
「ちょ、ちょっとドライアドたち食べ物しまって! まずは祠でお祈りが先だから!」
「レモン?」
「レモンちゃんもレモンはしまっておいてね」

 果物っていつから与えていいんだろうか? なんて思っている間に育生は躊躇なく口に含んでいた時があった。周りが止めていなかったから大丈夫だったんだろうけど、それ以来育生はレモンを丸かじりはしていなかった気がする。

「他の人たちはいないのかしら?」
「それぞれやる事がありますからね。みんなでお祝いするのはお昼ご飯の時って決めてるんです」
「なるほど。それじゃあ、その時にはお暇した方が良さそうね」
「俺は残って遊ぶぞ。せっかく仕事を片付けたんだからな」
「あら、そうなの? じゃあ私もそうしようかしら」
「遊びの話をしてるデスか?」

 突然頭上から会話に入ってきたのは翼人族の女性パメラだ。小柄な体と比べるとそこそこ大きいのではないかと思う真っ黒な翼を羽ばたかせて空中に留まっていた。どうやら暇を持て余していたから様子を見に来たらしい。

「暇だったらリヴァイさんの相手してもらってもいい?」
「良いデスよ? 今日は何をするデスか?」

 パメラが地面に下りたち、リヴァイさんと気兼ねなく話し始めた。
 …………一応相手は国王陛下なんだけど大丈夫かな、と心配な気持ちもあるけれど今まで散々遊んでいるからきっと大丈夫だろう。ただ問題があるとすれば普段と違ってパールさんがいる事だけど…………まあ、大丈夫かな。



 祠で無事に一歳を迎える事ができた感謝と、これからも見守っていて欲しい事をレヴィさんと育生の三人でお祈りをした。僕はもうファマ様たちには伝わっていないだろうけど、チャム様経由で伝えてもらおう。

「……さて、そろそろ下ろそうか。だから君たちも降りようね」
「人間さんが下ろしたら降りるよ~」
「早く下ろして~」
「一緒に収穫するの~」
「まだ難しいんじゃないかなぁ」
「できたの食べるの~」
「あ、それは事前にチェック入れるんで勝手に食べようとしていたら止めてね」

 僕の体によじ登っているドライアドと、周りにぞろぞろと集まっているドライアドたちが声を揃えて「はーい」と返事をした。

「返事だけはいつもいいんだよなぁ。……ほら、育生。気を付けてね」

 育生をそっと地面に下ろす。小さな靴を履いた彼の背中には、僕からの誕生日プレゼントが背負われている。ベビーリュックというらしい。荷物はあんまり入らないから見た目だけだけど、可愛らしいリュックにエルフの職人が仕上げてくれた。

「加護があればいろいろ付与したんだけどなぁ」
「仮に付与出来たら何をするのですわ?」
「アイテムバッグ化は当然するけど、転んだ時に無事なように――って、ここじゃ大丈夫か」

 言ってる傍から躓いてこけそうになった育生だったけれど、周りにいたドライアドが髪の毛で受け止めようと一斉に動いたし、着かず離れず見守っていたジュリウスが一瞬で移動して彼をひょいっと持ち上げていた。

「エアバッグみたいな感じで衝撃を吸収する機能をつければ後頭部は守れるんじゃないかな。あとはどこにいるか分かるように信号を送受信できるような魔法があればそれも付与したかったし、遠く離れていても連絡が取れるように通信機能とかもつけたら安心だったかも……? まあ、今はもう作れないけど」
「千与が大きくなったら下の子のために付与をしてもらうのもありかもしれないのですわ~」
「まあ、そうだね」

 下の子っていうけど、いったいどれくらいの大家族になるんだろうなぁ、と遠くを見ているとまた育生がこけかけた。今度はドライアドたちがキャッチしていて喜んでいる。
 リヴァイさんとパールさんが何やら育生の近くに行って構えているけれど、あんまり周りに人がいても邪魔なんじゃないかな。
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