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後日譚
後日譚228.元生徒会長の思惑通りには進まない
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佐藤学は県内有数の進学校で生徒会長を務めていた。
東京大学に入学するための勉強をしつつ生徒会の仕事をするのは難しかったが、将来国を引っ張る政治家になるのであれば経験しておいて損はないだろう、と努力していた。
その夢は流行病が重症化したせいで叶う事はなかったが、もう一度別の世界でチャンスを与えられたのは自分の頑張りが神様に認められたからだと解釈していた。
神様にどんな力が欲しいかと問われた際に真剣に悩んだ彼は、知識神から『記憶』の加護を授かった。加護を用いた時に見聞きした事はずっと覚えておく事もできるし、意図的に特定の事柄を忘れる事も可能な加護だった。
前世の死因である病気に関しての対応策も用意しておきたかった学だったが、前世で一番苦労したのは覚える事だったのでそれを選んだようだ。
転移先が思った以上に過酷な状況だったが、同じ時期に転移してきた同郷の大人である木下一護によって怪我をする事もなく、国を少しずつ立て直すために準備を進める事ができた。
途中から異大陸からやってきた使節団が新興宗教を広める代わりに手助けをしてくれるようになってから加速度的に復興が進んだのは予定外で計画の見直しを迫られたが、神々から加護と共に授けられ市使命である『滅亡した国を立て直す事』に支障はない……はずだった。
「まさか代表に選ばれた人たちが、シズトさんに王になってもらう事を望むとは……」
シズトと対談した際に軍隊を派遣してもらう事を申し出た学だったが、対価次第で検討するという話になっていた。
現状、滅亡した国の首都で国家を作ろうとしている学たちは、新しい国の上層部のような位置づけになっている。だから自分たちで対価を考え用意する事も出来たのだが、それでは民主主義とは言えないだろう、と学は考えた。
そのため、議会に議題として持ち込み、協議したうえで回答しようと考えていたのだが、滅亡した国に用意できる対価なんてたかが知れている。
土地は呪いによって汚染された所ばかりで、まともに作物を育てる事も難しい所ばかりだった。ダンジョンも国内にはほとんどなく、あっても軍隊を派遣してもらって他国と防衛戦争をしてもらえるほどの対価にはなり得ない。
であれば分かりやすく金銀財宝を用意するとか、見目麗しい女性や地位の高い貴族の娘を用意して嫁がせるなども考えられるが、金銀財宝は国が亡ぶ混乱の最中ほとんどが略奪されて元王城や貴族の屋敷には残されていないし、多くの女性が呪いの後遺症で体に刺青のような文様が残ってしまっている。他人に妬まれやすい美人や貴族や大商人の娘であればなおさらだった。
復興後に長い年月をかけて対価を支払う事も検討されたが、そもそも国を新しく立て直す事ができるのか不明瞭な現状で、将来支払う約束をしても対価として認められない可能性もある。
一部の人間が略奪行為などによって手に入れた隠し持っているお金や貴金属などを集めればある程度は用意できるのではないか、という案も出されたのだが、賛同する者は少なかった。
余計な発言をしたら責任をもって対応するようにと言われるのではないか、と発言をしない者が増えていく中で、商人の代表者であるとある男が「対価が用意できないのなら統治してもらえばいいんじゃないか?」と言った事によってそちらに意見が傾いてしまったのだ。
「手伝いに来てくれている奴隷の子たちは全員身なりもいいし、大切に扱ってもらっているそうだぞ?」
「奴隷にはなりたくないけど、俺たちよりもよっぽどいい生活をしてるよな。読み書きどころか、簡単な計算まで出来るって話だぞ?」
「衣食住が保障されている上に定期的にお金も貰えるそうだ」
「奴隷として身売りするか?」
冗談のつもりでそう言った身なりの良い男性を、他の代表者たちは何とも言えない顔で見ていた。
代表者に選ばれた者たちですら、その日一日を生き残るのに精いっぱいな者の方が多い。冗談ではなく、本気で奴隷になった方がマシな生活を送れるのではないか? なんて思ってしまっても不思議じゃないくらい手伝いとして派遣されていた奴隷たちの待遇が良かった。
場の空気が微妙なものとなり、先程までざわついていた会議場が静まり返ったのを見計らって学は口を開いた。
「対価として玉座を用意する案は一つの候補としておきますが、その場合の制度なども考えておく必要があります。対価の代案と共に何か考えがある人はこの場で発言をお願いします」
議会で出た意見を蔑ろにしてしまっては集まってもらって話をする意味がない。それが大多数の者が賛成である物であればなおさらだ。
それに、よくよく考えたら前世でも民主主義国家なのに国王がいる国もあった。統治をしてもらえばいい、という意見とは少し違ってしまうが、『君臨すれども統治せず』という考え方もある。
問題があるとすればその様な制度が今この場にない事だ。シズトに対価として提案するまでにはある程度固めておきたいと学は考えた。
前世の事を思い出しつつ加護を使って忘れないように記憶に留めながら議会で提言できるようにその場でまとめるのだった。
東京大学に入学するための勉強をしつつ生徒会の仕事をするのは難しかったが、将来国を引っ張る政治家になるのであれば経験しておいて損はないだろう、と努力していた。
その夢は流行病が重症化したせいで叶う事はなかったが、もう一度別の世界でチャンスを与えられたのは自分の頑張りが神様に認められたからだと解釈していた。
神様にどんな力が欲しいかと問われた際に真剣に悩んだ彼は、知識神から『記憶』の加護を授かった。加護を用いた時に見聞きした事はずっと覚えておく事もできるし、意図的に特定の事柄を忘れる事も可能な加護だった。
前世の死因である病気に関しての対応策も用意しておきたかった学だったが、前世で一番苦労したのは覚える事だったのでそれを選んだようだ。
転移先が思った以上に過酷な状況だったが、同じ時期に転移してきた同郷の大人である木下一護によって怪我をする事もなく、国を少しずつ立て直すために準備を進める事ができた。
途中から異大陸からやってきた使節団が新興宗教を広める代わりに手助けをしてくれるようになってから加速度的に復興が進んだのは予定外で計画の見直しを迫られたが、神々から加護と共に授けられ市使命である『滅亡した国を立て直す事』に支障はない……はずだった。
「まさか代表に選ばれた人たちが、シズトさんに王になってもらう事を望むとは……」
シズトと対談した際に軍隊を派遣してもらう事を申し出た学だったが、対価次第で検討するという話になっていた。
現状、滅亡した国の首都で国家を作ろうとしている学たちは、新しい国の上層部のような位置づけになっている。だから自分たちで対価を考え用意する事も出来たのだが、それでは民主主義とは言えないだろう、と学は考えた。
そのため、議会に議題として持ち込み、協議したうえで回答しようと考えていたのだが、滅亡した国に用意できる対価なんてたかが知れている。
土地は呪いによって汚染された所ばかりで、まともに作物を育てる事も難しい所ばかりだった。ダンジョンも国内にはほとんどなく、あっても軍隊を派遣してもらって他国と防衛戦争をしてもらえるほどの対価にはなり得ない。
であれば分かりやすく金銀財宝を用意するとか、見目麗しい女性や地位の高い貴族の娘を用意して嫁がせるなども考えられるが、金銀財宝は国が亡ぶ混乱の最中ほとんどが略奪されて元王城や貴族の屋敷には残されていないし、多くの女性が呪いの後遺症で体に刺青のような文様が残ってしまっている。他人に妬まれやすい美人や貴族や大商人の娘であればなおさらだった。
復興後に長い年月をかけて対価を支払う事も検討されたが、そもそも国を新しく立て直す事ができるのか不明瞭な現状で、将来支払う約束をしても対価として認められない可能性もある。
一部の人間が略奪行為などによって手に入れた隠し持っているお金や貴金属などを集めればある程度は用意できるのではないか、という案も出されたのだが、賛同する者は少なかった。
余計な発言をしたら責任をもって対応するようにと言われるのではないか、と発言をしない者が増えていく中で、商人の代表者であるとある男が「対価が用意できないのなら統治してもらえばいいんじゃないか?」と言った事によってそちらに意見が傾いてしまったのだ。
「手伝いに来てくれている奴隷の子たちは全員身なりもいいし、大切に扱ってもらっているそうだぞ?」
「奴隷にはなりたくないけど、俺たちよりもよっぽどいい生活をしてるよな。読み書きどころか、簡単な計算まで出来るって話だぞ?」
「衣食住が保障されている上に定期的にお金も貰えるそうだ」
「奴隷として身売りするか?」
冗談のつもりでそう言った身なりの良い男性を、他の代表者たちは何とも言えない顔で見ていた。
代表者に選ばれた者たちですら、その日一日を生き残るのに精いっぱいな者の方が多い。冗談ではなく、本気で奴隷になった方がマシな生活を送れるのではないか? なんて思ってしまっても不思議じゃないくらい手伝いとして派遣されていた奴隷たちの待遇が良かった。
場の空気が微妙なものとなり、先程までざわついていた会議場が静まり返ったのを見計らって学は口を開いた。
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それに、よくよく考えたら前世でも民主主義国家なのに国王がいる国もあった。統治をしてもらえばいい、という意見とは少し違ってしまうが、『君臨すれども統治せず』という考え方もある。
問題があるとすればその様な制度が今この場にない事だ。シズトに対価として提案するまでにはある程度固めておきたいと学は考えた。
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