【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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後日譚

後日譚264.勇者は次の目標を見据えた

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 金田陽太は常々思っていた。どうせ全く価値観の世界に来たのならそちらに合わせて人生を満喫したい、と。
 前世でもそれなりにモテていた彼だったが、前世では二股なんてできるはずがなかった。だが、今世ではいくらでも手を付けられる。収集がつかなくなる事はドラゴニアまでの旅で理解したのでもう安易に手を出すつもりはないが、シズトのようなハーレムを作るのが目標だった。だが、それもつい最近叶ってしまった。和平の条件として数人の令嬢を娶る事、というのが盛り込まれていたからだ。
 それだけではなく、ルカソンヌ軍の捕虜として捉えられていた加護を授かっている兵士たちも陽太と婚姻関係を結ぶ者が半数ほどいた。残りの半数は木下一護が娶っていた。
 彼女たちは国に帰りたくなかった。陽太たちはハーレムを築きたかった。ルカソンヌは少しでも『剣聖』の加護を授かる可能性を増やしたかった。全員の利害が一致したためそうなった。
 いきなり十五人ほどの嫁を娶る事になった陽太は、オールダムの面々と話し合い、西側の拠点に屋敷を構える事となった。

「おはよう、ヨータ。朝食の準備はできてるよ」
「ああ、分かった。ありがとな、ティアナ」

 大きな浴場に併設されている広い脱衣所から出てきた陽太に話しかけた女性は元兵士のティアナだ。
 金色の髪は陽太と異なり地毛である。動きやすいように短めの髪型だ。優し気な印象を与える目は青く、肌は白い。陽太よりも少し背が低く華奢な体つきをしているが、彼女が力持ちである事はこの数日で陽太はしっかりと理解していた。

「レクサントは休憩中?」
「ああ、朝からちょっとやりすぎたな」

 朝からお盛んなのは嫁であれば全員知っている事だったのでティアナは特にそれに対して何か思う所はない。強いてあげるとしたら、今日の予定は多少調整する必要があるな、という事くらいだ。
 食事をする部屋には既に彼の嫁となった者たちが揃っていた。
 陽太の正室は、ルカソンヌとの和平を結ぶために使者として訪れた少女クロエもいた。デュノアイエ公爵家の彼女はティアナと同じく金色の髪に青い目だったが、勝気な印象を与える顔立ちをしていた。

「おはようございます、陽太様。朝早くからお楽しみのようで良かったです」
「お、もしかして嫉妬しちゃってる?」
「嫉妬? 御冗談を。そんな事よりも早く食事にしましょう」

 当主よりも先に食べ始めるわけにはいかない、と陽太の事を待っていたらしい。
 机の上には数々のたくさんの料理が並べられていた。それらを作ったのはお手伝いとして雇った拠点で暮らしている住人たちだ。彼らのほとんどが元奴隷だ。どうせ雇うなら女の子がいい、という陽太の希望は通らず、料理人は男性ばかりだった。
 他愛もない話をする陽太と楽しそうに話をするのは元兵士たちである。少数の貴族令嬢は彼女らと言葉を交わそうとしなかった。



 配偶者の中で確執がある事は陽太も気づいていた。特にティアナに対するクロエの態度はあからさまだ。

「どうしてクロエはティアナに辛く当たってんだ?」

 流石に当人に聞くわけにはいかない、と陽太は一緒に街の様子を見て回る事になったそばかすの少女ルナディットに問いかけた。
 彼女は何やら悩む素振りを見せたが「どうせいつかは分かる事よね」と呟いてから理由を端的に話した。

「ティアナが王族なのに他の神様から加護を授かったからよ」
「王族? ティアナが?」
「そうよ? むしろ気が付かなかったの? 王の血筋の公爵令嬢であるクロエ様とティアナは髪や目の色は同じだし、どことなく顔立ちも似てるじゃない」
「そう、か? 体つきはティアナの方が好みだけど……」

 言われてみればそうかもしれない、と陽太が考えているすぐ近くで住人同士の喧嘩が勃発した。喧嘩といっても片方だけが暴力を振るおうと杖を振り回しているだけだが……高齢の男性は人族で、小柄な子どもは兎人族のようだ。
 陽太が話を切り上げ、仲裁をするために動こうとしたが陽太たちには出番がなかった。
 通行人の多くが兎人族の子どもに加勢したからだ。
 あっという間に兎人族の子どもに危害を加えようとした男性が拘束されて運ばれていった。

「……やっぱり、俺が出る幕ねぇんじゃねぇの、これ?」
「そうよね。でも、こうして人族の勇者様が見て回っている、っていうのが大事なんじゃない?」
「そうかぁ?」
「そうよ。少数派の人族の拠り所となりつつ、調整役をするようにマナブ様に頼まれていたじゃない。この拠点の人たちがわだかまりなく過ごせるように、見回りを続けましょ」
「そんな事するより、俺が手本として異種族の女を娶った方が手っ取り早い気がするけどなぁ」
「異種族の女性を娶りたいだけでしょ。……まあ、私には止める権利なんてないし、好きにすればいいと思うけどさ」

 ルナディットに言われなくても陽太はそのつもりのようだ。

(ハーレムはできたけど、あいつみたいに異種族の女を娶ってねぇんだよな。次はそれを目標にするか)

 そんな事を考えながら、通りを歩いている女性の体をじろじろと不躾な視線を向けながら様子を見て回るのだった。
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