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第11話 新たな力を得るにはまだフラグが足りない
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ゴブリンの討伐と、ASとの決闘を終えて、ミランダのナビゲーションに従い一人で要塞都市を目指して、草原を流れる川沿いを歩いていた。
AS達とは千年戦争では敵対関係にあり共に行動する事は出来ないため、別れて単独行動をとっているのである。
初めて見る川は波に太陽光が反射してキラキラ輝いており、流れる音は涼しく聞こえとてもリラックス出来る。
太陽が少し下がってきているという事は、まもなく夜となり、空には星が光り、月が輝く時間がやってくるのか。
うん、夜空を堪能してから要塞都市へ入ろうかしら。
球体に体を丸めて転がりながら並走しているミランダが、先程行った戦闘について検証を促してきた。
「安杏里、女侍と0種族の男と戦って、自分に足りないものが何であるか分かったか?」
「今の質問の仕方は、『駄目な上司』がやる典型的なパターンですよ。」
「ど、どういう事だ?」
「その上司は部下に『分かりません。』と言わしたいのですよね。もしくは『分かりました。』と返したら『何が分かったのか言ってみろ。』と部下に喋らせて『全然違う。やっぱり分かってないな。』と悪態をついて威張りたいだけでしょ?」
「そんなつもりでは無いのだが……」
「うわぁ、無自覚って最悪だわ。ハズレ上司の思考そのまんまですね。そんなクソ上司はマジで死んでもらえないでしょうか。」
「………」
さて、ミランダの質問についてであるが、頭脳明晰である私は既に戦闘経緯について検証済みだったりする。
ゴブリン戦、AS戦、屑礼戦のいずれにも予測不能な事態が起きてしまった。
私の攻撃スタイルは、高火力による攻撃で敵を粉砕していく。
19種族に次ぐ火力であると言われる1種族が集団魔法をかけてきても敗北する事は無い。
もちろん1種族とは戦った事は無いので実際のところの力関係はどれくらいのものなのか不明であるが、何たって私は自他共に認める美少女だから最強で敗北する事などあり得ないだろう。
遥か格下であるASは、真っ向勝負で私の一閃に刀を合わせてみせた。
私には遠く及ばないにしても可能性というものを感じましたよ。
そして――――――
「0種族の屑礼と戦って実感した事を言いますと、トリッキーなSKILLである『ディレイ』により、私はクソ虫ごときに敗北感を味合わされてしまったのですが、この法則は最強美少女が挫折した後に次の形態へ進み新たな力を得るフラグがたったものと思っています。」
「うむ、なるほど。斜め45度を突いてきたな。新たな力を得るにはまだフラグが足りないんじゃないか。私が言いたいのは、力の弱い種族達は創意工夫をしながら戦ってくる。自分に有利な状況を作り出したり、相手の虚を付く事で戦力差を縮めてくるという事だ。」
「恋愛と一緒で戦いにも駆け引きが重要という事ですね?」
「恋愛と一緒とはどういう事だ?」
「ミランダには無縁な話しでしょうが、恋愛とは気になる相手を振り向かせるためには、押したり引いたりする駆け引きが存在します。付き合ってからでも、惚れるのと、惚れさせるのではパワーバランスが変わってくるのでそのあたりを計算して進めていく事が大事なのです。」
「………」
◇
要塞都市イオリアから5km程度離れた河原の草原に仰向けになり夜空を眺めていた。
月の灯りが川を流れる波を照らし、キラキラと反射をしている。
星が煌めく中、時折流れ星も走っていた。
夜間については『太陽の加護』による無限とも思えるほどの爆発的なエネルギーを生み出す事が出来ないが、それなりの加護を受けていると実感できる。
PASSIVESKILL『不死鳥』も問題なく稼働し続けているようですし、夜間においての戦闘も問題なさそうだ。
それにしてもであるが――――
「要塞都市の上空に浮かんでいる『浮遊都市アトランタ』が鬱陶しく見えて仕方がないな。」
30日後、浮遊都市で千年戦争の最終ラウンドが開始される。
つまり、私は30日以内に浮遊都市へ昇らなければならないのだ。
夜空を見ながら独り言を呟いていると、どこからともかくミランダが耳元に現れていた。
「安杏里、浮遊都市に上がるには、要塞都市からエレベーターを使用しなければならないぞ。」
「もちろん認識していますよ。ですが、要塞都市の周りにいくつも配置されている古代兵器をどうしたものかと思っておりまして………」
浮遊都市に行くには、空を飛び直接入る手段と、要塞都市からエレベーターを使用し昇る2つの方法がある。
その要塞都市の周囲には、外敵を駆逐するために射程3kmある機関砲が複数配置されており、0種族の敵である私はその外敵に該当する。
「私なら機関砲の砲撃を撃ち落とし、古代兵器を破壊して要塞都市に侵入する事は難しくありませんが、その選択は出来るだけ避けたいと思っています。」
正面突破をしようとすると、複数の砲台から時速1200kmの砲撃を連射されてしまうわけだが、その前に全砲台を長距離斬撃による『紫電一閃』で破壊すれば問題はない。
だが要塞都市を守る古代兵器が破壊されると、16種族からの大規模侵攻を受けてしまい、要塞都市に暮らす者達が生命の危険に脅かされてしまうのである。
ミランダも要塞都市を守る機関砲を破壊する行為についは否定的なようであるが、その後にふざけた言葉を口にした。
「現在、直径10km四方に広がっている要塞都市にはと、1000万以上の者が生活をしている。その者達の安全を確保するためには、機関砲は破壊するべきではないだろうな。9種族に要塞都市侵入を助けてもらうよにお願いしてみたらどうだ?」
「そうですね、それが出来るならお願いしたいですね。」
『隠密の加護』を持つ9種族の助けがあれば、要塞都市の周囲に張り巡らせれている結界に気が付かれる事なく侵入する事が可能だろう。
と言いますか、それが出来るのならもうやっていますけど!
「うむ、それではリクエストに応えて9種族の者を呼んでやろう。」
「………」
AS達とは千年戦争では敵対関係にあり共に行動する事は出来ないため、別れて単独行動をとっているのである。
初めて見る川は波に太陽光が反射してキラキラ輝いており、流れる音は涼しく聞こえとてもリラックス出来る。
太陽が少し下がってきているという事は、まもなく夜となり、空には星が光り、月が輝く時間がやってくるのか。
うん、夜空を堪能してから要塞都市へ入ろうかしら。
球体に体を丸めて転がりながら並走しているミランダが、先程行った戦闘について検証を促してきた。
「安杏里、女侍と0種族の男と戦って、自分に足りないものが何であるか分かったか?」
「今の質問の仕方は、『駄目な上司』がやる典型的なパターンですよ。」
「ど、どういう事だ?」
「その上司は部下に『分かりません。』と言わしたいのですよね。もしくは『分かりました。』と返したら『何が分かったのか言ってみろ。』と部下に喋らせて『全然違う。やっぱり分かってないな。』と悪態をついて威張りたいだけでしょ?」
「そんなつもりでは無いのだが……」
「うわぁ、無自覚って最悪だわ。ハズレ上司の思考そのまんまですね。そんなクソ上司はマジで死んでもらえないでしょうか。」
「………」
さて、ミランダの質問についてであるが、頭脳明晰である私は既に戦闘経緯について検証済みだったりする。
ゴブリン戦、AS戦、屑礼戦のいずれにも予測不能な事態が起きてしまった。
私の攻撃スタイルは、高火力による攻撃で敵を粉砕していく。
19種族に次ぐ火力であると言われる1種族が集団魔法をかけてきても敗北する事は無い。
もちろん1種族とは戦った事は無いので実際のところの力関係はどれくらいのものなのか不明であるが、何たって私は自他共に認める美少女だから最強で敗北する事などあり得ないだろう。
遥か格下であるASは、真っ向勝負で私の一閃に刀を合わせてみせた。
私には遠く及ばないにしても可能性というものを感じましたよ。
そして――――――
「0種族の屑礼と戦って実感した事を言いますと、トリッキーなSKILLである『ディレイ』により、私はクソ虫ごときに敗北感を味合わされてしまったのですが、この法則は最強美少女が挫折した後に次の形態へ進み新たな力を得るフラグがたったものと思っています。」
「うむ、なるほど。斜め45度を突いてきたな。新たな力を得るにはまだフラグが足りないんじゃないか。私が言いたいのは、力の弱い種族達は創意工夫をしながら戦ってくる。自分に有利な状況を作り出したり、相手の虚を付く事で戦力差を縮めてくるという事だ。」
「恋愛と一緒で戦いにも駆け引きが重要という事ですね?」
「恋愛と一緒とはどういう事だ?」
「ミランダには無縁な話しでしょうが、恋愛とは気になる相手を振り向かせるためには、押したり引いたりする駆け引きが存在します。付き合ってからでも、惚れるのと、惚れさせるのではパワーバランスが変わってくるのでそのあたりを計算して進めていく事が大事なのです。」
「………」
◇
要塞都市イオリアから5km程度離れた河原の草原に仰向けになり夜空を眺めていた。
月の灯りが川を流れる波を照らし、キラキラと反射をしている。
星が煌めく中、時折流れ星も走っていた。
夜間については『太陽の加護』による無限とも思えるほどの爆発的なエネルギーを生み出す事が出来ないが、それなりの加護を受けていると実感できる。
PASSIVESKILL『不死鳥』も問題なく稼働し続けているようですし、夜間においての戦闘も問題なさそうだ。
それにしてもであるが――――
「要塞都市の上空に浮かんでいる『浮遊都市アトランタ』が鬱陶しく見えて仕方がないな。」
30日後、浮遊都市で千年戦争の最終ラウンドが開始される。
つまり、私は30日以内に浮遊都市へ昇らなければならないのだ。
夜空を見ながら独り言を呟いていると、どこからともかくミランダが耳元に現れていた。
「安杏里、浮遊都市に上がるには、要塞都市からエレベーターを使用しなければならないぞ。」
「もちろん認識していますよ。ですが、要塞都市の周りにいくつも配置されている古代兵器をどうしたものかと思っておりまして………」
浮遊都市に行くには、空を飛び直接入る手段と、要塞都市からエレベーターを使用し昇る2つの方法がある。
その要塞都市の周囲には、外敵を駆逐するために射程3kmある機関砲が複数配置されており、0種族の敵である私はその外敵に該当する。
「私なら機関砲の砲撃を撃ち落とし、古代兵器を破壊して要塞都市に侵入する事は難しくありませんが、その選択は出来るだけ避けたいと思っています。」
正面突破をしようとすると、複数の砲台から時速1200kmの砲撃を連射されてしまうわけだが、その前に全砲台を長距離斬撃による『紫電一閃』で破壊すれば問題はない。
だが要塞都市を守る古代兵器が破壊されると、16種族からの大規模侵攻を受けてしまい、要塞都市に暮らす者達が生命の危険に脅かされてしまうのである。
ミランダも要塞都市を守る機関砲を破壊する行為についは否定的なようであるが、その後にふざけた言葉を口にした。
「現在、直径10km四方に広がっている要塞都市にはと、1000万以上の者が生活をしている。その者達の安全を確保するためには、機関砲は破壊するべきではないだろうな。9種族に要塞都市侵入を助けてもらうよにお願いしてみたらどうだ?」
「そうですね、それが出来るならお願いしたいですね。」
『隠密の加護』を持つ9種族の助けがあれば、要塞都市の周囲に張り巡らせれている結界に気が付かれる事なく侵入する事が可能だろう。
と言いますか、それが出来るのならもうやっていますけど!
「うむ、それではリクエストに応えて9種族の者を呼んでやろう。」
「………」
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