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第39話 貴重な存在
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東に見える水平線の空が深い藍色から朱色に変わり始めていた。
まもなく夜が明けようとしている。
大海を浮遊する陸地は、草原地帯が海へ落ち、古城だけの姿になっていた。
古城内へ繋がる門から眼下を見下ろすと、陸地が着水した影響により海面が荒れている。
移動都市の核であるペンギンが、足元からこちらの様子を伺いながら現状について報告してきた。
「三華月様。移動都市は進路を反転させ、時速50kmの速度で大陸へ戻っております。」
「ペンギンさん。念のために確認したいことがあるのですが、聞いてもよろしいでしょうか。」
「はい。何なりとお答えさせて頂きます。」
「37話でペンギンさんは、移動都市を守れなかった時は死ぬ時だと言っていたと記憶しております。」
「確かにそう言っておりました。それが、どうかされたのでしょうか。」
「だが実際のところは、自害するつもりなんて全く無かったという認識で、間違いないでしょうか。」
「はい。間違いありません。死ぬことなど微塵も考えたことがありません。」
「つまり、移動都市を守る使命感なんて、初めから無かったという事でしょうか。」
「はい。ありません。この際なので三華月様に教えて差し上げますが、言葉の揚げ足をとってその物を追い詰めるような態度をとるような陰湿な女に、男は寄ってきませんよ。そもそも37話で、プライドを捨てろと言ったのは三華月様ではないですか。成り行きですが、私は三華月様のいうとおりプライドを捨てたわけですよ!」
「そうですか。ペンギンさんは絶対に自害しないのですか…。」
「残念そうな言い方はやめてください。そもそもですが、私がいなくなってしまうと、三華月様にとって大きな損失になってしまうじゃないですか!」
「いきなり何ですか。私にとって大きな損失になるって、どういう事ですか。」
「周りをイエスマンで固めてしまう者は、自身を堕落させてしまうと言います。三華月様に対して毅然とした態度で誤りを指摘する行為が出来る『臣下』である私こそが、三華月様にとって貴重な存在だと考えらませんか!」
今、どさくさ紛れに『私の臣下』であると言っていたな。
陰湿な女って、臣下が言う言葉ではないだろ。
それに男が寄ってこなくても何ら問題なしだ。
ペンギンが臣下になろうが、信仰心には何ら影響がないだろうし、どうでもいいか。
この話しはここまでにし、そろそろ最高司祭からのクエストを完遂させてもらいましょう。
「ペンギンさん。それでは古城内にいる奴隷達を解放して下さい。」
「三華月様。現在、移動都市には奴隷はおりません。」
「なぬ。どういう事でしょう。ここは奴隷商人の街なのではないのですか。」
「はい。この移動都市には、特に人気となる可愛らしい女の子ばかりが集まってきます。」
「その可愛い女の子達は、どこへ行ったのでしょうか。」
「先程ここへやってきた一級商人がおりまして、その者が全ての女子を購入し降りて行きました。」
「全ての女の子を購入したのですか。」
「はい。ハーレム王にでもなるつもりなのでしょうか。おっと、お子さまの三華月様には刺激がキツイ話しでしたね。」
今しがた命乞いをしていたペンギンが、私を見下しているような視線を送ってきている。
話しに出てきた一級商人とは星運のことだろう。
砂漠地帯では北冬辺からの邪魔が入り、仕留め損ねた奴だ。
あの時の怒りが思いだされてくる。
「その奴隷を全員購入した一級商人とは、星運という者でしょうか。」
「三華月様。個人情報の漏洩は禁止されておりますので、その質問にはお答え出来ませんが、とある少年についての話しをさせて頂きましょう。」
「とある少年の話しですか。」
「ある日、奴隷商人がお得意様である少年を連れてグラングランにやってきました。その後、移動都市で気に入った奴隷を買いあさり常連枠となった少年は調子にのって、絶対に揉めてはいけない最凶な聖女とトラブルを起こして、命を狙われてしまうことになったのです。イージーモードで送っていた人生に絶対絶命の危機がやってきました。そこで少年は、自身の護衛を増やす為に有り金をはたいて奴隷を買っていったのです。」
「ペンギンさん。その話しに出てきた聖女について、少しよろしいでしょうか。」
「はい。なんでしょう。」
「最凶な聖女という表現から、世界で最も可愛い聖女という設定に変えてもらえませんか。」
「はい。それは構いませんが、その申し入れを受けてしまうと、私は三華月様のイエスマンになってしまいます。」
つまりそれは、私からのお願いにNOを突き付けてきたということなのか。
それほいいとして、やはり人を金で買う話しを聞くのは気分がいいものではない。
星運と一緒にいた、万里と水落の二人もやはり星運の奴隷だったのかしら。
奴隷契約とは、奴隷となる者へ『契約の鎖』を巻く行為であり、主人となる者の気分次第でいつでも殺すことが出来てしまう。
奴隷が自由になるには、契約時に定められた対価を払い終えれば、その『契約の鎖』が解かれる仕組みとなっているのだ。
万里と水落が星運の楯となり私に戦いを挑んできたのだが、用心棒として雇われていたわけでは無くて、命を握られていたせいだったのか。
星運は本物のクズかもしれない。
その時である、アルテミス神から神託が降りてきた。
―――――――星運を処刑せよ。
YES_MY_GOD
まもなく夜が明けようとしている。
大海を浮遊する陸地は、草原地帯が海へ落ち、古城だけの姿になっていた。
古城内へ繋がる門から眼下を見下ろすと、陸地が着水した影響により海面が荒れている。
移動都市の核であるペンギンが、足元からこちらの様子を伺いながら現状について報告してきた。
「三華月様。移動都市は進路を反転させ、時速50kmの速度で大陸へ戻っております。」
「ペンギンさん。念のために確認したいことがあるのですが、聞いてもよろしいでしょうか。」
「はい。何なりとお答えさせて頂きます。」
「37話でペンギンさんは、移動都市を守れなかった時は死ぬ時だと言っていたと記憶しております。」
「確かにそう言っておりました。それが、どうかされたのでしょうか。」
「だが実際のところは、自害するつもりなんて全く無かったという認識で、間違いないでしょうか。」
「はい。間違いありません。死ぬことなど微塵も考えたことがありません。」
「つまり、移動都市を守る使命感なんて、初めから無かったという事でしょうか。」
「はい。ありません。この際なので三華月様に教えて差し上げますが、言葉の揚げ足をとってその物を追い詰めるような態度をとるような陰湿な女に、男は寄ってきませんよ。そもそも37話で、プライドを捨てろと言ったのは三華月様ではないですか。成り行きですが、私は三華月様のいうとおりプライドを捨てたわけですよ!」
「そうですか。ペンギンさんは絶対に自害しないのですか…。」
「残念そうな言い方はやめてください。そもそもですが、私がいなくなってしまうと、三華月様にとって大きな損失になってしまうじゃないですか!」
「いきなり何ですか。私にとって大きな損失になるって、どういう事ですか。」
「周りをイエスマンで固めてしまう者は、自身を堕落させてしまうと言います。三華月様に対して毅然とした態度で誤りを指摘する行為が出来る『臣下』である私こそが、三華月様にとって貴重な存在だと考えらませんか!」
今、どさくさ紛れに『私の臣下』であると言っていたな。
陰湿な女って、臣下が言う言葉ではないだろ。
それに男が寄ってこなくても何ら問題なしだ。
ペンギンが臣下になろうが、信仰心には何ら影響がないだろうし、どうでもいいか。
この話しはここまでにし、そろそろ最高司祭からのクエストを完遂させてもらいましょう。
「ペンギンさん。それでは古城内にいる奴隷達を解放して下さい。」
「三華月様。現在、移動都市には奴隷はおりません。」
「なぬ。どういう事でしょう。ここは奴隷商人の街なのではないのですか。」
「はい。この移動都市には、特に人気となる可愛らしい女の子ばかりが集まってきます。」
「その可愛い女の子達は、どこへ行ったのでしょうか。」
「先程ここへやってきた一級商人がおりまして、その者が全ての女子を購入し降りて行きました。」
「全ての女の子を購入したのですか。」
「はい。ハーレム王にでもなるつもりなのでしょうか。おっと、お子さまの三華月様には刺激がキツイ話しでしたね。」
今しがた命乞いをしていたペンギンが、私を見下しているような視線を送ってきている。
話しに出てきた一級商人とは星運のことだろう。
砂漠地帯では北冬辺からの邪魔が入り、仕留め損ねた奴だ。
あの時の怒りが思いだされてくる。
「その奴隷を全員購入した一級商人とは、星運という者でしょうか。」
「三華月様。個人情報の漏洩は禁止されておりますので、その質問にはお答え出来ませんが、とある少年についての話しをさせて頂きましょう。」
「とある少年の話しですか。」
「ある日、奴隷商人がお得意様である少年を連れてグラングランにやってきました。その後、移動都市で気に入った奴隷を買いあさり常連枠となった少年は調子にのって、絶対に揉めてはいけない最凶な聖女とトラブルを起こして、命を狙われてしまうことになったのです。イージーモードで送っていた人生に絶対絶命の危機がやってきました。そこで少年は、自身の護衛を増やす為に有り金をはたいて奴隷を買っていったのです。」
「ペンギンさん。その話しに出てきた聖女について、少しよろしいでしょうか。」
「はい。なんでしょう。」
「最凶な聖女という表現から、世界で最も可愛い聖女という設定に変えてもらえませんか。」
「はい。それは構いませんが、その申し入れを受けてしまうと、私は三華月様のイエスマンになってしまいます。」
つまりそれは、私からのお願いにNOを突き付けてきたということなのか。
それほいいとして、やはり人を金で買う話しを聞くのは気分がいいものではない。
星運と一緒にいた、万里と水落の二人もやはり星運の奴隷だったのかしら。
奴隷契約とは、奴隷となる者へ『契約の鎖』を巻く行為であり、主人となる者の気分次第でいつでも殺すことが出来てしまう。
奴隷が自由になるには、契約時に定められた対価を払い終えれば、その『契約の鎖』が解かれる仕組みとなっているのだ。
万里と水落が星運の楯となり私に戦いを挑んできたのだが、用心棒として雇われていたわけでは無くて、命を握られていたせいだったのか。
星運は本物のクズかもしれない。
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―――――――星運を処刑せよ。
YES_MY_GOD
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