5 / 29
男のロマン
しおりを挟む「…………な、なに……これ…………?」
「……馬鹿。俺に訊くんじゃねえよ」
自分の中ではすぐさま答えが出せずに、目の前に居る男の人に質問を投げ掛ければ、何故か舌打ちをされてしまった。いや、答えなんて訊かずとも分かっているじゃないか。
……これは、間違いなくおっぱいだ。女の人のおっぱいだ。
悲しいことに実物を触ったことなんてないけれど、この見た目と感触はもう間違いないだろう。自分の身体に付いている手には収まりきれないほど大きく柔らかな乳房を鷲掴みしながら呆然としていると、目の前に居る男がわざとらしくコホンッと大袈裟なほどに咳払いをしていた。
「……お、おい。人前でそういうことはよせ」
「…………」
「聞いているのか?」
「…………」
しかし、今の俺にはそんな忠告を聞く余裕なんてない。
だってないはずの物が自分の身体に付いているんだぞ。たとえ男のロマンが詰まった素敵な物体だとしても、それが自分に付いているのは流石に受け入れられない。俺に付いていたって何も萌えない。興奮しない。
「……ったく。世話の焼ける娘だ」
現実離れをし過ぎている今の状況についていけずに、相も変わらず呆然と立ち尽くしていると、男の人は俺の目の前で突然軍服を脱いだかと思うと、それをご丁寧に胸元をはだけさせて自分の胸を鷲掴みにしている状態の俺に着させてくれた。どうやら俺の今の恰好は見ていられなかったようだ。最初は勘違いをしてしまったが、この人はとことんまで良い人のようらしい。だけど今の俺には彼にお礼を言う精神的余裕などなく、ただただその場を立ち尽くしていた。
「とりあえずその怪我を治療するために場所を移動するぞ。自分で歩けるか?」
「……………………むり……」
今の俺に自分で歩く気力があると思うか?身体は散々暴行を受けたせいで悲鳴を上げている上に、訳の分からない物体が自分の胸にくっ付いているんだぞ。精神的にも肉体的にも痛め付けられ過ぎて何の気力が湧かない。
「分かった。それならお前の身体を抱き上げて移動をするが、それに問題ないか?」
言葉では返事はせずに、コクンと一度だけ縦に頭を動かせば、男はすぐさま俺の身体を持ち上げた。
「少しだけ我慢しろよ。…………もう噛むんじゃねえぞ?」
そして開口一番に何を言い出したかと思えば、男はニヤリと笑いながらそんなことを言ってきたものだから、俺は申し訳ない気持ちと腹立つ気持ちを同時に抱きながらも、何も言い返すことはできず、そのまま男に全てを預けて目を閉じたのだった……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる