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なによりも恐怖の対象
しおりを挟む俺が最初にこの世界に来た時は辺りがよく見えないほどの真っ暗闇が広がっていた。だから陽が昇っている時に外に出るのはもちろん初めてのことだから、……まさかここまで広大な森の中に家が建っていたとは知らなかった。下手に出歩けばもう元には戻れないような気がするものの、一度外に足を踏み出したからにはもう後戻りをすることなんてできない。――それに、今はアレスの身の安全の方が余程心配だ。もし自分が何も行動を起こさなかったせいで、アレスの身になんらかの危険が起きてしまうかと考えると動かざるを得ない。
俺とは違ってあの子はまだ幼い上に、女の子なんだ。
「…………って、今は俺も女なんだっけ?」
まだあまり実感できないため度々忘れてしまいそうになるが、少し視線を下に落とせば、たゆんたゆんとした豊満な自分の胸が視界に映る。……何度か自分で揉んでみたのだが、そりゃあもう柔らかくて肌触りも良くて最高だった。おもわず鼻血が出てしまいそうなくらいだった。だけど、身体は女の子なのだが、俺の心はまだれっきとした男なのだ。……そう。やる時はやってやる!
そう意気込んだ俺は、道に迷わないためにもただひたすら直進をして行きアレスを捜して行く。
「おーい、アレスー!アレス、居ないのか!?」
レオさんが言っていた“魔物”とやらがどんなものなのかは分からない。アニメや漫画の中で出てくるような俺が想像をしている魔物の存在と同じなのだろうか。だとすると、こんなにも大きな声を出していると誘き寄せてしまいそうな気もするのだが、これしかアレスを捜す方法がないため仕方ないだろう。いざとなったら、家から持ってきた包丁でどうにか対処をしてみせよう。
「アレス―、アレス!居たら返事をしてくれー!」
早くあの可愛らしい声で俺の名前を呼んでもらいたい。『お姉さま』呼びだって文句を言わずに一生許してやる。
―――だから、だから早く俺の元に来てほしい。
そう強く願いながら必死にアレスの名前を呼びながら直進して行くと、……突然横から声を掛けられた。
「おいおい。姉ちゃん、こんなところで一人で何をしているんだい?」
「……散歩、にしては随分と軽装だし、用事でもあるのか?」
「…………あ、いや……、べつに……」
…………アレス、ではなく……30代くらいの男たち三人からだ。
ゲヘゲヘとした嫌な笑いを含んだその喋りに不快感と恐怖が拭えない。男に酷い目にしか遭わされていない俺からすると、この手の笑いと喋り方はまだ見ぬ魔物の存在よりも怖いのだ。
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