この学園では個性的なキャラを演じてください、と言われたので「遅刻」ばっかしてみた。

七槻夏木

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はじまりの春

304 ④

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「じゃあ、続きからいくね。次は、1番大切なキャラ作りについてだ。これはどのクラスの見解も一致してるんだけど、あまり執着し過ぎない方がいい。まあ、いままで通りでみんな全然大丈夫だよ」

 上手くキャラを演じることが求められる学園で、キャラ作りに執着し過ぎない方がいいと言うのは矛盾のように思えるかもしれない。

 しかし、これは単純な話だ。

 人間というのは誰でも少しは、自分を偽って都合のいい自分を演じているものだ。それが思春期真っ只中の高校生ともなれば尚更だ。

 故に、自分の性格に近いキャラを申請していた場合は、普通の高校生がキャラ作りしているのにちょっと気にかけるくらいで、キャラは成立するというわけだ。

 下手に意識すると、張り切りすぎて逆にキャラがブレるなんてことにもなりかねない。

「あと、学校側から求められているのは、クラスメート同士の協力だね。評価基準に、個性あるキャラクター同士の互助とある。それぞれのキャラの特性や強みを活かして協力することが求められているってことだ」

 小佐野の言葉に後井が続ける。

「あと、キャラ作りのために学業の成績を落としたりすることは、学校は励行してないわ。体力テストなどもそうね」

 評価基準に、クラスの学力は高ければ高いほど評価し、キャラ作りの為の学業不振や素行不良は一切認めないとする旨が書かれている。

 学校側も国から高等学校として認定されるためには、キャラ作りの為に意識的に能力を発揮しないことや、社会的倫理に反する行為は容認しないのだろう。

 俺の遅刻もグレーだろ。浅川先生が優しいのと、俺が朝のホームルームには遅れるが、授業には遅刻しないようにしているので許されているといったところか。

 その後も、いくらか小佐野が話を続け、今日はお開きという形になった。
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