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19、子爵代理になる
翌朝、マイクが使用人全員を玄関ホールに集めた。私もその場にいた。使用人たちがひそひそと昨日のことを話している。
「お嬢様、お戻りになってたのね」
「まさか、メアリーがね」
「あの二人がただの使用人だったって、どういうことかよく分からないわ」
私も分からない。二人が使用人だったことは、昨日のうちに全員に伝えられた。
メアリーとエビたちはお互いがどうなったかを聞かされた。メアリーは二人が使用人だったことを聞いて、大変驚いていた。その後、自分の選択を後悔してうなだれていたそうだ。メアリーは朝一番に警備署に連れて行かれた。お父様の目が覚めるまで収監されることになる。
マイクがお父様の書簡の一部を読み上げた。
「旦那様はまだお目覚めになっていません。旦那様の取り決めにより、ピニオンお嬢様が子爵代理となります。私が、管理の権限を任されております。以上です」
家のことはよく分からないから、私から話すことはない。マイクに任せるしかない。マイクが有能で良かった……。
先生二人も、朝食を済ませると帰っていった。お父様の症状は安定しているので、医者の先生が1週間後にまた来ることになった。これからは、お父様付きのメイド二人が交代で様子を見ることになる。
エビとエラは、後日持ち出すものをメイドに伝えて、荷物をまとめていた。暮らした期間は短かったけど、ようやくあの二人ともおさらばできる。
昨日のうちにお父様の様子を見に行った。なんだか変な気持ちだった。全てが終わったのに、お父様が寝ていたから。
午後になって、借り馬車が着いた。見送りは、マイクとメイド長の二人だけだ。私は外から見えないように隠れて見ていた。他の使用人たちも窓から見ている。
あの二人を見てイライラしていたのは、悪魔のせいかも……。
マイクは二人に告げる。
「荷物の届け先の連絡は、1週間以内にしてください。それを過ぎたらこちらで処分します」
「分かったわよ!」
エビが怒った顔をしてマイクに何か言っている。それから建物を振り返った。私はさっと隠れる。二人とも二つカバンを持っていた。馬車に乗ると、馬車は敷地を出て行った。もう二度とあの二人がここに戻ってくることはない。
メアリーは実行犯だから罪が重くなった。あいつらは、お金をもらって出て行く。癪だが仕方がない。もう次はないし、その時は許さない。
私はお父様の部屋に報告に行った。
「二人が出て行ったわ」
私は静かに告げた。やっと家族だけに戻った。
借り馬車の中、エレオノーラは泣いていた。
「なんで、貴族というだけで、なんでもないピニオンがいい思いをするの?」(伯爵様もピニオンの味方をしていた)「私と似たようなピニオンの母は貴族令嬢だけど、私はずっと平民のままだわ。こんなの不公平よ。
私たちが仲良くしようと思っても、あの子は悪役令嬢だから拒否したはずよ。全部あの子のせいよ」
「そうね。でも私たちはまだ、再起できるわ。早めに支援してくれる貴族を見つけましょう」
「そんなことできるのかしら」
「できるわ。あなたのような娘を放っておくはずないもの。今度こそちゃんと貴族になる手続きをしましょう」
私はエレを抱きしめた。この子がいれば大丈夫よ。馬車はモントルに向かっている。
(モントルは伯爵様の領よね。ずっと同じところに住んでいたのに気がつかなかったわ。あんな素敵な人だったなんて。私が先に会っていたら違ったかしら?
平民なら伯爵様の屋敷で雇ってもらえるわよね?)
馬車を街のホテルの前で止めてもらった。馬車の料金は子爵家が払っている。私はホテルでツインの部屋を取った。
荷物を置くとジャンの元へ薬を取りに行くことにする。
「私は出かけてくるから。ここから出ないようにね」
「はい……」(また恋人のところに行くのね……)
ジャンの家に行く。ここは、賑わいから外れた平民の下級居住区だ。薄暗い細い道を歩き、ジャンが住む集合アパートの二階に上る。ドアをノックした。
「私よ」
「ソルか、どうなった?」
私は中に入るが、すぐ帰るから玄関口に立ったままにした。
「どうもこうもないわよ。その前に離縁されたの」
「何だって!」
「本当、貴族の考えることは分からないわよ。新しい仕事を探さなきゃ」
「そうか……。当てが外れたな」
ジャンはまた同じことを言った。ここはジャンの恋人の家で、ジャンはそのヒモだ。私たちは、恋人が仕事でいない昼間に会っている。
嘘を言っておかないと、まとまったお金が入ったことを知られたら、たかられるわ。
「薬を取りに来たのよ」
「ああ、分かったよ」
(あの薬はまた使えそうだから)
ジャンは薬を取りに行く。あの薬は元々少量で使う精神安定剤だから、誰でも薬局で買える。ジャンから瓶と使用書を受け取った。
「じゃあ、今日はもう帰るから」
「ああ」
ジャンの家を出た。お金を節約しなきゃいけないから、もうここには当分来ないわ。
1週間が経った。家のことはマイクや秘書官、事務官がやってくれるから、私は決裁書に判を押すだけの仕事をしている。マイクが丁寧に書類の内容を説明してくれる。
私は結局、乗馬を習っている。視察に行くときに便利だからだ。お父様も視察に行くときに使っていた。今は秘書官だけが見回りに行っている。しばらくは私が行かなくても問題ないそうだ。その間に乗れるようにしないと。マイクが先生を手配してくれて、週二回来ることになった。いないときは馬番のウェイドに見てもらっている。
乗れるようになったら自分の馬を買おうと企んでいるところだ。楽しみ!
お父様の離縁と体調不良は同時に発表された。子爵代理は令嬢となっているが、名前は伏せた。私だと死んだはずになってるし、悪役令嬢だから取引相手に悪い印象を与える。名前を伏せればエラだと思われるから、この状況をしばらく利用させてもらう。ちょうど良かったわ。
エビからも住所を書いた手紙が来た。中級アパートを借りたようだ。部屋から荷物を運び出し、入れ替えた家具を元に戻した。まるで何事もなかったかのように、元に戻った。
今回のことは警備署には連絡してある。領地内のことは領主に権限があり、今回の判断は認められた。ただ、捜査はされる。薬の出所を調べると、ジャンという男が買ったことが分かった。この薬は、購入時には身分証がいる。聞き込みの結果、ジャンは恋人の家に居候しているヒモで、エビの愛人ということだった。なんて奴だ! エビのだらしなさに呆れた。
お父様の様子を見に行った。椅子に座って、横になっているお父様を見ている。
出てきた薬と同じ量だと、1週間ぐらいで目が覚めるらしいが、お父様はまだ目覚めていない。今日先生が来たが、安定しているからまた定期的に様子を見に来るということだった。
外からメイドの声がする。
「伯爵様がお見えです」
「お通しして」
私は座っていた椅子を丸テーブルに戻した。伯爵が入ってくる。
「ごきげんよう」
「子爵の様子はどうだ?」
「まだ目を覚ましませんよ。……このままだと、すぐには歩けなくなってしまいますね」
「そうか」(医療の知識も、ちゃんと学んでいるんだな)
私たち二人でお父様を眺めた。
「今日はどのような御用件ですか? 契約書を持ってきました?」
「いや。目が覚めているかもしれないと思って、書く前に来た」
「そうですか」
伯爵はカバンから、お菓子を取り出す。マカロンだ。
「わっ、やった! これは一人で食べますね」
「そうなのか?」
「繊細な味で、色ごとにフレーバーが違うんですよ。二つずつしかないから味わって食べたいんです。
……でも、お父様が起きてたら二人で食べたかも。お父様も甘いものが好きなんですよ」
「そうなのか」(高価な宝石をねだられるより、これぐらいで喜んでもらえるほうがいいな)
伯爵は穏やかな微笑みを浮かべてから、フッと笑った。なんとなく馬鹿にされた気が……。
「あ、契約書がまだなら。婚約指輪をください。返さなくていいって書いてくださいね」
(私の心を読むとは、さすがだな……)「どんなものがいいんだ?」
「大きいダイヤがいいです。舞踏会の時に目立つような。伯爵の本気度が試されますよ」
へっへーんだ。婚約解消したら、報酬として即換金よ!
「分かった。指が上がらないぐらい大きいものにしよう」
「えっ!? それはちょっと……」
「私を誰だと思っている。それぐらい用意できるぞ」
「何を張り合ってるんですか……」
伯爵は腕を組んで私を見下ろした。
「ダンスが踊れなかったら意味ないでしょ! 普通のものでいいです! 私に似合うような可憐なものにしてください」
私は手の甲を上げて見せた。
「どんなものがいいんだ?」
「伯爵が私のことを想って、選んでください」
「……いいだろう。次来る時に指輪と契約書を持ってくる」
「分かりました」
まあ仕方ないわね。私のほうが譲歩するわ。でも、何を持ってくるか楽しみね。
「お嬢様、お戻りになってたのね」
「まさか、メアリーがね」
「あの二人がただの使用人だったって、どういうことかよく分からないわ」
私も分からない。二人が使用人だったことは、昨日のうちに全員に伝えられた。
メアリーとエビたちはお互いがどうなったかを聞かされた。メアリーは二人が使用人だったことを聞いて、大変驚いていた。その後、自分の選択を後悔してうなだれていたそうだ。メアリーは朝一番に警備署に連れて行かれた。お父様の目が覚めるまで収監されることになる。
マイクがお父様の書簡の一部を読み上げた。
「旦那様はまだお目覚めになっていません。旦那様の取り決めにより、ピニオンお嬢様が子爵代理となります。私が、管理の権限を任されております。以上です」
家のことはよく分からないから、私から話すことはない。マイクに任せるしかない。マイクが有能で良かった……。
先生二人も、朝食を済ませると帰っていった。お父様の症状は安定しているので、医者の先生が1週間後にまた来ることになった。これからは、お父様付きのメイド二人が交代で様子を見ることになる。
エビとエラは、後日持ち出すものをメイドに伝えて、荷物をまとめていた。暮らした期間は短かったけど、ようやくあの二人ともおさらばできる。
昨日のうちにお父様の様子を見に行った。なんだか変な気持ちだった。全てが終わったのに、お父様が寝ていたから。
午後になって、借り馬車が着いた。見送りは、マイクとメイド長の二人だけだ。私は外から見えないように隠れて見ていた。他の使用人たちも窓から見ている。
あの二人を見てイライラしていたのは、悪魔のせいかも……。
マイクは二人に告げる。
「荷物の届け先の連絡は、1週間以内にしてください。それを過ぎたらこちらで処分します」
「分かったわよ!」
エビが怒った顔をしてマイクに何か言っている。それから建物を振り返った。私はさっと隠れる。二人とも二つカバンを持っていた。馬車に乗ると、馬車は敷地を出て行った。もう二度とあの二人がここに戻ってくることはない。
メアリーは実行犯だから罪が重くなった。あいつらは、お金をもらって出て行く。癪だが仕方がない。もう次はないし、その時は許さない。
私はお父様の部屋に報告に行った。
「二人が出て行ったわ」
私は静かに告げた。やっと家族だけに戻った。
借り馬車の中、エレオノーラは泣いていた。
「なんで、貴族というだけで、なんでもないピニオンがいい思いをするの?」(伯爵様もピニオンの味方をしていた)「私と似たようなピニオンの母は貴族令嬢だけど、私はずっと平民のままだわ。こんなの不公平よ。
私たちが仲良くしようと思っても、あの子は悪役令嬢だから拒否したはずよ。全部あの子のせいよ」
「そうね。でも私たちはまだ、再起できるわ。早めに支援してくれる貴族を見つけましょう」
「そんなことできるのかしら」
「できるわ。あなたのような娘を放っておくはずないもの。今度こそちゃんと貴族になる手続きをしましょう」
私はエレを抱きしめた。この子がいれば大丈夫よ。馬車はモントルに向かっている。
(モントルは伯爵様の領よね。ずっと同じところに住んでいたのに気がつかなかったわ。あんな素敵な人だったなんて。私が先に会っていたら違ったかしら?
平民なら伯爵様の屋敷で雇ってもらえるわよね?)
馬車を街のホテルの前で止めてもらった。馬車の料金は子爵家が払っている。私はホテルでツインの部屋を取った。
荷物を置くとジャンの元へ薬を取りに行くことにする。
「私は出かけてくるから。ここから出ないようにね」
「はい……」(また恋人のところに行くのね……)
ジャンの家に行く。ここは、賑わいから外れた平民の下級居住区だ。薄暗い細い道を歩き、ジャンが住む集合アパートの二階に上る。ドアをノックした。
「私よ」
「ソルか、どうなった?」
私は中に入るが、すぐ帰るから玄関口に立ったままにした。
「どうもこうもないわよ。その前に離縁されたの」
「何だって!」
「本当、貴族の考えることは分からないわよ。新しい仕事を探さなきゃ」
「そうか……。当てが外れたな」
ジャンはまた同じことを言った。ここはジャンの恋人の家で、ジャンはそのヒモだ。私たちは、恋人が仕事でいない昼間に会っている。
嘘を言っておかないと、まとまったお金が入ったことを知られたら、たかられるわ。
「薬を取りに来たのよ」
「ああ、分かったよ」
(あの薬はまた使えそうだから)
ジャンは薬を取りに行く。あの薬は元々少量で使う精神安定剤だから、誰でも薬局で買える。ジャンから瓶と使用書を受け取った。
「じゃあ、今日はもう帰るから」
「ああ」
ジャンの家を出た。お金を節約しなきゃいけないから、もうここには当分来ないわ。
1週間が経った。家のことはマイクや秘書官、事務官がやってくれるから、私は決裁書に判を押すだけの仕事をしている。マイクが丁寧に書類の内容を説明してくれる。
私は結局、乗馬を習っている。視察に行くときに便利だからだ。お父様も視察に行くときに使っていた。今は秘書官だけが見回りに行っている。しばらくは私が行かなくても問題ないそうだ。その間に乗れるようにしないと。マイクが先生を手配してくれて、週二回来ることになった。いないときは馬番のウェイドに見てもらっている。
乗れるようになったら自分の馬を買おうと企んでいるところだ。楽しみ!
お父様の離縁と体調不良は同時に発表された。子爵代理は令嬢となっているが、名前は伏せた。私だと死んだはずになってるし、悪役令嬢だから取引相手に悪い印象を与える。名前を伏せればエラだと思われるから、この状況をしばらく利用させてもらう。ちょうど良かったわ。
エビからも住所を書いた手紙が来た。中級アパートを借りたようだ。部屋から荷物を運び出し、入れ替えた家具を元に戻した。まるで何事もなかったかのように、元に戻った。
今回のことは警備署には連絡してある。領地内のことは領主に権限があり、今回の判断は認められた。ただ、捜査はされる。薬の出所を調べると、ジャンという男が買ったことが分かった。この薬は、購入時には身分証がいる。聞き込みの結果、ジャンは恋人の家に居候しているヒモで、エビの愛人ということだった。なんて奴だ! エビのだらしなさに呆れた。
お父様の様子を見に行った。椅子に座って、横になっているお父様を見ている。
出てきた薬と同じ量だと、1週間ぐらいで目が覚めるらしいが、お父様はまだ目覚めていない。今日先生が来たが、安定しているからまた定期的に様子を見に来るということだった。
外からメイドの声がする。
「伯爵様がお見えです」
「お通しして」
私は座っていた椅子を丸テーブルに戻した。伯爵が入ってくる。
「ごきげんよう」
「子爵の様子はどうだ?」
「まだ目を覚ましませんよ。……このままだと、すぐには歩けなくなってしまいますね」
「そうか」(医療の知識も、ちゃんと学んでいるんだな)
私たち二人でお父様を眺めた。
「今日はどのような御用件ですか? 契約書を持ってきました?」
「いや。目が覚めているかもしれないと思って、書く前に来た」
「そうですか」
伯爵はカバンから、お菓子を取り出す。マカロンだ。
「わっ、やった! これは一人で食べますね」
「そうなのか?」
「繊細な味で、色ごとにフレーバーが違うんですよ。二つずつしかないから味わって食べたいんです。
……でも、お父様が起きてたら二人で食べたかも。お父様も甘いものが好きなんですよ」
「そうなのか」(高価な宝石をねだられるより、これぐらいで喜んでもらえるほうがいいな)
伯爵は穏やかな微笑みを浮かべてから、フッと笑った。なんとなく馬鹿にされた気が……。
「あ、契約書がまだなら。婚約指輪をください。返さなくていいって書いてくださいね」
(私の心を読むとは、さすがだな……)「どんなものがいいんだ?」
「大きいダイヤがいいです。舞踏会の時に目立つような。伯爵の本気度が試されますよ」
へっへーんだ。婚約解消したら、報酬として即換金よ!
「分かった。指が上がらないぐらい大きいものにしよう」
「えっ!? それはちょっと……」
「私を誰だと思っている。それぐらい用意できるぞ」
「何を張り合ってるんですか……」
伯爵は腕を組んで私を見下ろした。
「ダンスが踊れなかったら意味ないでしょ! 普通のものでいいです! 私に似合うような可憐なものにしてください」
私は手の甲を上げて見せた。
「どんなものがいいんだ?」
「伯爵が私のことを想って、選んでください」
「……いいだろう。次来る時に指輪と契約書を持ってくる」
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