伯爵令嬢はケダモノよりもケモミミがお好き

実川えむ

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第4章 面倒な相手に出会ったようです

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 朝早く、まだ空に星が見える時間に、私たちは宿を出た。
 私とキャサリンは馬で、ヘリウス様は徒歩。まさかの、徒歩だ。馬のペースに合わせて歩く姿に、獣人の凄さの一部を垣間見た気分だ。
 街の中はまだ眠りについているのか、あまり人の姿は見えない。それでも、早朝から動き出している人はいる。

「俺の仲間たちとは街を出たところで待ち合わせている」
「もうですか?」
「まぁな」

 母と連絡を取り合えるということは、ヘリウス様も伝達の魔法陣が使える、ということだ。仲間たちとも同様にやりとりができる、ということだろう。   
 獣人は肉体的に強いこともあり、魔法はあまり得意でないと聞いていたが、ヘリウス様はそうでもないみたい。自分が魔法陣が使えないことが、ちょっと悔しい。

 朝日が街の中に差し込んできた頃には、私たちは街の出口までやってきていた。
 衛兵たちは、出て行こうとする私たちの方へは目もくれない。こんな時間だ。入ってくる者もほとんどいないのに。私はチラリと彼らに目を向けるだけで、そのまま街を出ていく。

「出るのはこんなに簡単なのね……」
「まぁ、どこでもそうだろ」
「そうなの?」
「そんなもんだ」

 入るのも出るのも、必ずチェックする、というのが前世での記憶にあるものだから、それが当たり前だと思っていた。防衛に関する手抜き感に、それでいいんだろうか、と勝手ながら思ってしまう。

「あ、いたいた」

 街から離れて進むこと30分。ヘリウス様が声をあげた。その言葉につられて、前の方に目を向けると、草原の中、ぽかりと開いた草のない土地に、それぞれに馬をつれた3人組が立っている。

「よぉ。旨い仕事だっていうから、来てやったぜ」
「ハイド、口を慎め」

 最初に声をかけてきたのは、見るからに盗人っぽい感じで品がないように見える、大きな弓を背にした人間の男。それを窘めているのは、黒いローブを来た、まさにザ・魔術師という感じの同じく人間の男。そして、無言でこちらを睨みつけているのは、猫科の獣人の女。ビキニ? と思うほど、身体のラインを強調した、露出度高めの装備に、思わず顔を顰めそうになる。レースクィーンかよ、と内心、ツッコムのは、許してほしい。

「待たせたな」
「待ってないわ。ヘリウス」

 私に見せつけるようにへばりつく猫女(ええ、もう、最初っから感じ悪いから、これでいく)に、それを気にもしないヘリウス様。

「ウフフ、久しぶり」
「ああ、いい子にしてたか」

 長い尻尾をヘリウス様に絡みつけている様に、私もキャサリンもギョッとしてしまう。今度は、キャバ嬢かよ!? とツッコミたい。
 
 ――獣人同士のスキンシップって、そういうものなの?

 思わず、キャサリンと目を合わせて確認しあうも、お互いに知らない世界だけに、肩をすくめるしかない。人間の男たちに目を向けるけど、彼らも気にした様子もなく、それぞれに会話をしている。
 
 ――あれが普通ってことなんだろう。これから、あんなのをずっと見せつけられるの?

 思わず、遠い目になった。
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