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第7章 力強い味方が現れたようです
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「……ろりこん?」
「ろりこんって何? 王都で流行っている言葉?」
あ、失敗した。私は慌てて否定する。
「あ、いや、な、なんでもない、なんでもなわ……それよりも」
「あー、うん、ちょっと待ってね……メイリンちゃん、後でお話しようか」
「え?」
なぜかミーシャの笑顔が怖い。
「それよりもね、メイリンちゃん、ちょーっと、私の話も聞いて欲しいんだわ」
「……何です」
「その、耳につけてるピアス。私に貸してくれる?」
「え?」
ミーシャに言われるまで、すっかり忘れてた。どこかで売ろうと思っていたルビーのピアス。小さいから無くすよりはと、ずっとつけっぱなしだった。
「いいけど」
「うん、ありがとね~」
彼女の掌に、二つのピアスをのせると……突然、シュワ~ッと黒い煙が立ち昇った。
「え、な、何、何」
「あ~、やっぱりかぁ」
驚いていると、ミーシャが苦々しい顔になって、一言。
「これ、呪われてたみたいね」
いきなり見せられた状況に、固まったのは私だけではない。
「ねぇ、メイリンちゃん、これ、誰から貰った? あ、自分で買うとか」
「王太子様からいただきました」
ミーシャの言葉を遮るように答える。
自分で買った、なんて言われるのは、プライドが許さなかった。
「……でも、あの方が自分でお買い求めになるとは思えません。機嫌をとるようにと……王妃様からでも渡された可能性はあるかもしれないけれど……」
従姉のマリアンヌが、私宛のプレゼントだとわかっていて、王太子を手伝うとは思えない。いや、むしろ、同じ物を欲しいと強請るかも。
「まぁ、この呪いの種類自体が、王太子に影響あるようなモノだから、王太子自身で買うとは思えないか」
「それは、どういう……」
「ん~、なんかね、私もよくわかんないんだけど、精霊たちが言うには、このピアスを付けていると、愛する相手が浮気するような呪いがかかってるんだって」
気になる『精霊』とかいうワードがあったけれど、それよりも気になったのは。
「あ、愛する相手!? 私、ヘリウスなんか愛してないけど」
「メイッ! そんなっ!」
パコーンッ
「だまってろ……そうだなぁ、ヘリウスの場合、愛とまではいかないまでも、多少は気になってたんじゃないの? だから、もしかしたら、あれは浮気とかじゃなく、獣人特有のもともとスキンシップ過多だったのがもっと大盛になった、のかもしれない。むしろ、問題はその王太子でしょ? 婚約破棄した相手なわけだし」
「……ええ。では、あれは、この呪いのせいだと?」
「多少はね。こんな小さな石じゃ、そんなに強い呪いはかからないよ。まぁ、元々王太子にそういう浮気者の素養があったってことでしょ」
なぜ、そんなモノを王太子は私に渡してきたのだろうか。
国の為ということで、今回の婚約の話があったはずなのに、そんな裏切り行為なんてするだろうか?
「……メイリン、貴女、こちらに戻って来て正解ね」
「お母様?」
「私はちょっと、仕事があるから戻るわ。あ、そうそう、ヘリウス」
「な、なんだ」
「……今回の依頼は、未達成にさせてもらうわね」
「……仕方ない」
「猫女の始末は、任せていいのかしら」
「ファリアッ」
「無理なら、他の者に頼むわ。もし、メイリンと番になりたいというなら……それぐらいの覚悟をしてもらわないと、困る」
「!?」
「お母様っ!?」
ニッと笑うと、振り返らずに出ていく母の後ろ姿は、マジでカッコよかった。
「ほんと、女ってメンドクサイわねぇ」
自分も女のくせに、ミーシャは呆れたような声を出して、椅子に座る。
「でも、味方になった時に、強いのも女だからね」
ニコッと笑った後に、呆然としていたヘリウスの頭を思いっきり叩いたミーシャの姿に、私は思わず苦笑いを浮かべてしまったのであった。
「ろりこんって何? 王都で流行っている言葉?」
あ、失敗した。私は慌てて否定する。
「あ、いや、な、なんでもない、なんでもなわ……それよりも」
「あー、うん、ちょっと待ってね……メイリンちゃん、後でお話しようか」
「え?」
なぜかミーシャの笑顔が怖い。
「それよりもね、メイリンちゃん、ちょーっと、私の話も聞いて欲しいんだわ」
「……何です」
「その、耳につけてるピアス。私に貸してくれる?」
「え?」
ミーシャに言われるまで、すっかり忘れてた。どこかで売ろうと思っていたルビーのピアス。小さいから無くすよりはと、ずっとつけっぱなしだった。
「いいけど」
「うん、ありがとね~」
彼女の掌に、二つのピアスをのせると……突然、シュワ~ッと黒い煙が立ち昇った。
「え、な、何、何」
「あ~、やっぱりかぁ」
驚いていると、ミーシャが苦々しい顔になって、一言。
「これ、呪われてたみたいね」
いきなり見せられた状況に、固まったのは私だけではない。
「ねぇ、メイリンちゃん、これ、誰から貰った? あ、自分で買うとか」
「王太子様からいただきました」
ミーシャの言葉を遮るように答える。
自分で買った、なんて言われるのは、プライドが許さなかった。
「……でも、あの方が自分でお買い求めになるとは思えません。機嫌をとるようにと……王妃様からでも渡された可能性はあるかもしれないけれど……」
従姉のマリアンヌが、私宛のプレゼントだとわかっていて、王太子を手伝うとは思えない。いや、むしろ、同じ物を欲しいと強請るかも。
「まぁ、この呪いの種類自体が、王太子に影響あるようなモノだから、王太子自身で買うとは思えないか」
「それは、どういう……」
「ん~、なんかね、私もよくわかんないんだけど、精霊たちが言うには、このピアスを付けていると、愛する相手が浮気するような呪いがかかってるんだって」
気になる『精霊』とかいうワードがあったけれど、それよりも気になったのは。
「あ、愛する相手!? 私、ヘリウスなんか愛してないけど」
「メイッ! そんなっ!」
パコーンッ
「だまってろ……そうだなぁ、ヘリウスの場合、愛とまではいかないまでも、多少は気になってたんじゃないの? だから、もしかしたら、あれは浮気とかじゃなく、獣人特有のもともとスキンシップ過多だったのがもっと大盛になった、のかもしれない。むしろ、問題はその王太子でしょ? 婚約破棄した相手なわけだし」
「……ええ。では、あれは、この呪いのせいだと?」
「多少はね。こんな小さな石じゃ、そんなに強い呪いはかからないよ。まぁ、元々王太子にそういう浮気者の素養があったってことでしょ」
なぜ、そんなモノを王太子は私に渡してきたのだろうか。
国の為ということで、今回の婚約の話があったはずなのに、そんな裏切り行為なんてするだろうか?
「……メイリン、貴女、こちらに戻って来て正解ね」
「お母様?」
「私はちょっと、仕事があるから戻るわ。あ、そうそう、ヘリウス」
「な、なんだ」
「……今回の依頼は、未達成にさせてもらうわね」
「……仕方ない」
「猫女の始末は、任せていいのかしら」
「ファリアッ」
「無理なら、他の者に頼むわ。もし、メイリンと番になりたいというなら……それぐらいの覚悟をしてもらわないと、困る」
「!?」
「お母様っ!?」
ニッと笑うと、振り返らずに出ていく母の後ろ姿は、マジでカッコよかった。
「ほんと、女ってメンドクサイわねぇ」
自分も女のくせに、ミーシャは呆れたような声を出して、椅子に座る。
「でも、味方になった時に、強いのも女だからね」
ニコッと笑った後に、呆然としていたヘリウスの頭を思いっきり叩いたミーシャの姿に、私は思わず苦笑いを浮かべてしまったのであった。
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