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第11章 待っていられなかった私と人気俳優の彼
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遼ちゃんはクリスマスを前に、アメリカに旅立っていった。
私を『坂本 美輪』にしてから。
私が遼ちゃんの思いを認めて受け入れてからは、物事が動くのは早かった。
その週末には、遼ちゃんのご両親に挨拶は済ませ、そのままの足でうちの両親とも挨拶、翌週には身内だけで小さな食事会をして、大阪からわざわざ兄ちゃんまで来て、遼ちゃんを脅していった。『ちゃんと守れよ』 と。
――そのままの勢いで、婚姻届を出してきた。
すでに保証人が書いてある紙をニコニコしながら私に見せてきたら、書かない、という選択肢は選べない。
なぜか、保証人が、兄ちゃんの名前と、遼ちゃんのお父さんの名前になってるのが、それでよかったのか、と、気になるところだけど。
二人で出してきたけど、意外に普通に受け取られてビックリ。遼ちゃんが芸能人ってバレないか心配だったけど、眼鏡をかけて一般人風を装ったせいなのか、気づかれずに済んだ。役者としてはアリなのかもしれないけど、人気俳優としては、どうなんだろう?
そして今、私の左手の薬指には、遼ちゃんとお揃いのプラチナのリングが輝いてる。
嫌味なことに、同じような時期に、遼ちゃんを追うように、兵頭さんも旅立った。
遼ちゃんの時よりも、彼女の旅立ちのほうがマスコミの好みだったようで、ふとテレビを見るたびに、空港での彼女の姿を見ることになる。レポーターからのマイクに、かすかに微笑むだけで、長い髪を揺らして、何も言わずに立ち去る姿。
サングラスの奥には、自信満々な瞳が隠されているんじゃないか、と思うと、何も起こりはしないって、信じていても、胸が痛くなった。
それでも、遼ちゃんには日本でどんな報道がされているか、なんて気にする余裕もなく、勉強してくれてればいい。あの女性《ひと》と、会う暇がないくらいに、忙しくしてくれてればいい。
そう願うことしか、私にはできない。
悶々とした気持ちで年末を迎える私を煽るように、兵頭さんのブログでは、パーティで遼ちゃんと一緒の画像を載せてきた。その楽し気な姿は、簡単に私の胸を抉る。
「遼ちゃん」
スマホの画面にポツリと呟く。
……言い訳するなら、早くして。
……いえ、言い訳してほしい。
だけど、遼ちゃんからは、彼女のブログのことついては触れることはない。
キリキリと胃が痛くなるのは、確実に彼女のことを気にしすぎてるから。それでも、気になるから、ついついチェックしてしまう自分が弱いんだとわかっている。
まだ、渡米していくらもたってないのに、もう我慢できなくなる。
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その週末には、遼ちゃんのご両親に挨拶は済ませ、そのままの足でうちの両親とも挨拶、翌週には身内だけで小さな食事会をして、大阪からわざわざ兄ちゃんまで来て、遼ちゃんを脅していった。『ちゃんと守れよ』 と。
――そのままの勢いで、婚姻届を出してきた。
すでに保証人が書いてある紙をニコニコしながら私に見せてきたら、書かない、という選択肢は選べない。
なぜか、保証人が、兄ちゃんの名前と、遼ちゃんのお父さんの名前になってるのが、それでよかったのか、と、気になるところだけど。
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そして今、私の左手の薬指には、遼ちゃんとお揃いのプラチナのリングが輝いてる。
嫌味なことに、同じような時期に、遼ちゃんを追うように、兵頭さんも旅立った。
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それでも、遼ちゃんには日本でどんな報道がされているか、なんて気にする余裕もなく、勉強してくれてればいい。あの女性《ひと》と、会う暇がないくらいに、忙しくしてくれてればいい。
そう願うことしか、私にはできない。
悶々とした気持ちで年末を迎える私を煽るように、兵頭さんのブログでは、パーティで遼ちゃんと一緒の画像を載せてきた。その楽し気な姿は、簡単に私の胸を抉る。
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スマホの画面にポツリと呟く。
……言い訳するなら、早くして。
……いえ、言い訳してほしい。
だけど、遼ちゃんからは、彼女のブログのことついては触れることはない。
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