37 / 69
ロジータ、隣の領を目指す
第36話 三人で初めての野営をする(1)
しおりを挟む
ダーウィは軽やかに荒地を走っています。
日が高くなっている時間帯は、街道を通る人や馬、馬車が増えているので、私たちは街道から少し外れたところをひたすら走っていました。
すでにイゴシアの隣の村、ウルーセルは過ぎ、次の村のエデンスゴーも過ぎ、頑張れば今日中には領境の町、オジマーに着いてしまいそうです。
すでに日は傾いてきています。
――このままオジマーに行くべきか。
昨夜の宿のことを思い出します。
アーカンスの宿も悪くはなかったのですが、残念ながらテントのベッドの方がいいし、お風呂に入れると思うと、ちょっと考えてしまいます。
ちなみに、オジマーの先はちょっとした川が流れていて、船で渡らないといけないそうです。
――船代がいくらかかるかわからないし、せめて宿代を節約するか。
まだオジマーの町は見えませんが、ちょうど小さな林が見えてきたので、その近くへと馬車を進めることにしました。
念のため『探知』スキルで周辺を調べます。
――かなり遠くに獣の気配はあるけど、問題なさそうね。
林の中に入るころには空が赤く変わってきました。
街道が見えないくらい奥まで来たところで馬車を止めました。あまり広くはありませんが、テントくらいは設置できそうです。
私は御者台から降りると、馬車のドアを開けました。
「はい、お待たせ」
「わーい!」
「おそとだー」
馬車のドアを開けると、双子が元気に飛び出して来ました。
ずっと馬車の中にいたのです。たとえ、広い車内とはいえ、5歳児にはつまらなかったかもしれません。
「こら、あんまり遠くまで行かないで」
そう声をかけましたが、聞く耳はないようで、二人は追いかけっこを始めてしまいます。
「あー、野営の用意するから、お手伝いしてほしいなぁ」
「やえい?」
「やえい?」
「そう、野営。ここで、お泊りするの。でも、その前にダーウィにお水をあげないとね」
魔獣用ポーションや風魔法をかけてたとはいえ、ほとんど駆けっぱなしだったのです。年老いたダーウィを酷使したのは確かです。
私はインベントリから木の桶を出すと、生活魔法の『ウォーター』でお水を注ぎます。
「わたしもやるー!」
サリーは自分が生活魔法が使えることを教えたとたん、魔法で私のお手伝いをしたがるようになりました。
「ぼ、ぼくは、ダーウィのぶらっしんぐする!」
生活魔法ができないことを知った時はかなり落ち込んだダニーでしたが、ダーウィにブラッシングすると喜ぶのを知って、自分でやりたがるようになりました。
「ありがとう。じゃあ、サリー、桶がいっぱいになったら声をかけて。ダニー、このブラシでお願いね。はい、この台を使って」
「うんっ!」
「わかった!」
ダーウィを馬車からはずし、インベントリに馬車をしまいます。念のため近くの木に手綱を縛り付けてから、テントを取り出して設置しました。
――結界の魔道具を設置しないとね。
自分一人の時はテントだけで十分でしたが、ダーウィも一緒となるとそうもいきません。
テントを中心にして結界の魔道具を四隅に設置しました。これで、ダーウィも魔物や野盗などに襲われることはないはずです。
「ロジータ姉ちゃん、一杯になった!」
「わかった」
水でいっぱいになった桶の前では、サリーが満足げに立っています。
私はインベントリから魔獣用ポーションを取り出し、少しだけ垂らしたのを持っていくと、草を食んでいたダーウィがすぐさま桶の水を飲みだしました。
「お疲れ様」
私の声に反応したのか、ダーウィの耳がピクピク動くのを見て、思わず笑ってしまいました。
日が高くなっている時間帯は、街道を通る人や馬、馬車が増えているので、私たちは街道から少し外れたところをひたすら走っていました。
すでにイゴシアの隣の村、ウルーセルは過ぎ、次の村のエデンスゴーも過ぎ、頑張れば今日中には領境の町、オジマーに着いてしまいそうです。
すでに日は傾いてきています。
――このままオジマーに行くべきか。
昨夜の宿のことを思い出します。
アーカンスの宿も悪くはなかったのですが、残念ながらテントのベッドの方がいいし、お風呂に入れると思うと、ちょっと考えてしまいます。
ちなみに、オジマーの先はちょっとした川が流れていて、船で渡らないといけないそうです。
――船代がいくらかかるかわからないし、せめて宿代を節約するか。
まだオジマーの町は見えませんが、ちょうど小さな林が見えてきたので、その近くへと馬車を進めることにしました。
念のため『探知』スキルで周辺を調べます。
――かなり遠くに獣の気配はあるけど、問題なさそうね。
林の中に入るころには空が赤く変わってきました。
街道が見えないくらい奥まで来たところで馬車を止めました。あまり広くはありませんが、テントくらいは設置できそうです。
私は御者台から降りると、馬車のドアを開けました。
「はい、お待たせ」
「わーい!」
「おそとだー」
馬車のドアを開けると、双子が元気に飛び出して来ました。
ずっと馬車の中にいたのです。たとえ、広い車内とはいえ、5歳児にはつまらなかったかもしれません。
「こら、あんまり遠くまで行かないで」
そう声をかけましたが、聞く耳はないようで、二人は追いかけっこを始めてしまいます。
「あー、野営の用意するから、お手伝いしてほしいなぁ」
「やえい?」
「やえい?」
「そう、野営。ここで、お泊りするの。でも、その前にダーウィにお水をあげないとね」
魔獣用ポーションや風魔法をかけてたとはいえ、ほとんど駆けっぱなしだったのです。年老いたダーウィを酷使したのは確かです。
私はインベントリから木の桶を出すと、生活魔法の『ウォーター』でお水を注ぎます。
「わたしもやるー!」
サリーは自分が生活魔法が使えることを教えたとたん、魔法で私のお手伝いをしたがるようになりました。
「ぼ、ぼくは、ダーウィのぶらっしんぐする!」
生活魔法ができないことを知った時はかなり落ち込んだダニーでしたが、ダーウィにブラッシングすると喜ぶのを知って、自分でやりたがるようになりました。
「ありがとう。じゃあ、サリー、桶がいっぱいになったら声をかけて。ダニー、このブラシでお願いね。はい、この台を使って」
「うんっ!」
「わかった!」
ダーウィを馬車からはずし、インベントリに馬車をしまいます。念のため近くの木に手綱を縛り付けてから、テントを取り出して設置しました。
――結界の魔道具を設置しないとね。
自分一人の時はテントだけで十分でしたが、ダーウィも一緒となるとそうもいきません。
テントを中心にして結界の魔道具を四隅に設置しました。これで、ダーウィも魔物や野盗などに襲われることはないはずです。
「ロジータ姉ちゃん、一杯になった!」
「わかった」
水でいっぱいになった桶の前では、サリーが満足げに立っています。
私はインベントリから魔獣用ポーションを取り出し、少しだけ垂らしたのを持っていくと、草を食んでいたダーウィがすぐさま桶の水を飲みだしました。
「お疲れ様」
私の声に反応したのか、ダーウィの耳がピクピク動くのを見て、思わず笑ってしまいました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
69
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる