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中学時代編
酒井、坊主になる
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酒井の黒焦げの髪は、もうどうにもならない。
やむを得ず、酒井は行きつけの美容院へ行った。
「あら、舞由李ちゃん!久しぶり!」
酒井の姿を見るなり、美容師さんが満面の笑みで話しかけてきた。
「髪、伸びた?っていうか、すごいボッサボサ…ううん、違う――焦げてる!焦げてるよー!あ、焦がしちゃったのか~!相変わらずドジなんだからぁ!」
美容師さんは喋る喋る。
「それで…」と、酒井は咳払いをして切りだした。
「この私の髪は、どうしたらいいんでしょう?」
「まぁ、取りあえず、椅子に座りなさい」
美容師さんは酒井を椅子に座らせ、いったんどこかへ消えてしまった。
それからしばらくして、美容師さんが足を躍らせながら再び酒井の元に戻ってきた。
その手には、バリカンが握られている。
酒井は、なんだか嫌な予感を感じた。
と、次の瞬間、美容師さんはいきなりバリカンの電源を入れ、躊躇いもなく酒井の髪を剃りだした。
「ぎゃあぁぁあああぁぁ!」
思わず酒井は大声を出した。
「こら!舞由李ちゃん!大人しくしなさい!」
怖い顔で怒られ、仕方なく酒井は我慢することにした。
そして5分後―
酒井の頭は見事につるぴかになった。
手でこするとキュッキュと音がするほどである。
「あらぁ!舞由李ちゃん!前よりずっと可愛くなったんじゃない?」
にっこにこで美容師さんは酒井を褒めた。
しかし、酒井は怒っていた。
「全然可愛くなってません!」
「んまぁ!せっかく剃ってあげたのにその態度はなんなの?もう二度と剃ってあげません!ついでに、今回の代金は二倍にしておきますからね!」
「は?!ふざけんなよ!」
酒井はキレて美容師さんの脛に蹴りを入れた。
美容師さんは転んで床に倒れてしまった。
「ふん、良い気味!」
酒井はそのまま店を出ていった。
そして翌日―
酒井はニュースを見て、真っ青になった。
昨日酒井が蹴りを入れたあの美容師が、意識不明の重体で病院に運ばれたらしいのだ。
酒井は坊主になったことよりも不安になった。
様子のおかしい酒井を見て、母はいつものように声をかけた。
「舞由李、あんたさっきからビクビクしてるみたいだけど、なんかあったの?」
「う…うるさいな、クソババァ!あんたには関係ない!」
「あっそ!あんたなんか生まなきゃよかったわ!クソガキ!」
酒井は8時15分に学校へ登校した。
教室に入ってきた酒井を、クラス全員が注目した。
なぜなら、つるっぱげだからである。
ホームルームの後、なぜか酒井は堀川に呼び出された。
「なんですか、先生?」
「髪、切ったんだね。どこで切ったの?」
「家の近くの美容院です」
「へ~。いつ切ったの?」
「昨日の夕方頃です」
「どんな美容師さんに切ってもらったの?」
「30くらいの厚化粧女」
「ふ~ん…なるほどね」
堀川は教室を出て校長室へ直行した。
「校長!うちのクラスの酒井舞由李が、美容師傷害事件の犯人かもしれません!」
「なんだって?!」
やむを得ず、酒井は行きつけの美容院へ行った。
「あら、舞由李ちゃん!久しぶり!」
酒井の姿を見るなり、美容師さんが満面の笑みで話しかけてきた。
「髪、伸びた?っていうか、すごいボッサボサ…ううん、違う――焦げてる!焦げてるよー!あ、焦がしちゃったのか~!相変わらずドジなんだからぁ!」
美容師さんは喋る喋る。
「それで…」と、酒井は咳払いをして切りだした。
「この私の髪は、どうしたらいいんでしょう?」
「まぁ、取りあえず、椅子に座りなさい」
美容師さんは酒井を椅子に座らせ、いったんどこかへ消えてしまった。
それからしばらくして、美容師さんが足を躍らせながら再び酒井の元に戻ってきた。
その手には、バリカンが握られている。
酒井は、なんだか嫌な予感を感じた。
と、次の瞬間、美容師さんはいきなりバリカンの電源を入れ、躊躇いもなく酒井の髪を剃りだした。
「ぎゃあぁぁあああぁぁ!」
思わず酒井は大声を出した。
「こら!舞由李ちゃん!大人しくしなさい!」
怖い顔で怒られ、仕方なく酒井は我慢することにした。
そして5分後―
酒井の頭は見事につるぴかになった。
手でこするとキュッキュと音がするほどである。
「あらぁ!舞由李ちゃん!前よりずっと可愛くなったんじゃない?」
にっこにこで美容師さんは酒井を褒めた。
しかし、酒井は怒っていた。
「全然可愛くなってません!」
「んまぁ!せっかく剃ってあげたのにその態度はなんなの?もう二度と剃ってあげません!ついでに、今回の代金は二倍にしておきますからね!」
「は?!ふざけんなよ!」
酒井はキレて美容師さんの脛に蹴りを入れた。
美容師さんは転んで床に倒れてしまった。
「ふん、良い気味!」
酒井はそのまま店を出ていった。
そして翌日―
酒井はニュースを見て、真っ青になった。
昨日酒井が蹴りを入れたあの美容師が、意識不明の重体で病院に運ばれたらしいのだ。
酒井は坊主になったことよりも不安になった。
様子のおかしい酒井を見て、母はいつものように声をかけた。
「舞由李、あんたさっきからビクビクしてるみたいだけど、なんかあったの?」
「う…うるさいな、クソババァ!あんたには関係ない!」
「あっそ!あんたなんか生まなきゃよかったわ!クソガキ!」
酒井は8時15分に学校へ登校した。
教室に入ってきた酒井を、クラス全員が注目した。
なぜなら、つるっぱげだからである。
ホームルームの後、なぜか酒井は堀川に呼び出された。
「なんですか、先生?」
「髪、切ったんだね。どこで切ったの?」
「家の近くの美容院です」
「へ~。いつ切ったの?」
「昨日の夕方頃です」
「どんな美容師さんに切ってもらったの?」
「30くらいの厚化粧女」
「ふ~ん…なるほどね」
堀川は教室を出て校長室へ直行した。
「校長!うちのクラスの酒井舞由李が、美容師傷害事件の犯人かもしれません!」
「なんだって?!」
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