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第一章
防具を選ぶ
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「さて、次は防具を選んでみましょう」
今度は防具が並んでいるスペースに移動した。そこには盾や鎧、籠手や兜などいかにもなRPGでよく見る物が並んでいた。また、その隣のスペースには布製の衣類も並べられていた。民族衣装のようなオシャレなデザインの物から軍服のような実用的な物までそろっていた。
「これ全部あんたが作ったの?」
「そうだ…」
クロムは静かにうなずいた。ゴーレムというだけあってその手はごつく、指も一本一本太い。彼から見れば明らかに小さく繊細な人間の装備をよくもまあこれだけ作ったものだ。器用なんてレベルを超している。
「防具…全て…強化済み…」
防具類を指さしながらクロムは片言にコメントした。
「強化?」
「防具類には強力な素材を用いて作成し、その上、魔法による強化も施してあります。どれも並大抵の攻撃では傷一つつくことはありません」
アウルが代わりに解説した。
「ですので、防具に関しては魔勇者様の好みで選んでもらって構いません」
相変わらず至れり尽くせりね。まぁ、木綿の服よりはずっとマシね。
「装備の際はあちらの試着スペースをご利用ください」
アウルが指さした方向、訓練場のど真ん中に大きめのテントが用意されていた。
「…なんかでかくない?」
「気のせいでしょう」
いちいちツッコむのもしんどいので私は防具を物色した。好みでいいとはいってもどれがいいか正直悩む。元の世界ではファッションセンスはいまいちなほうだったのでどれがいいかよくわからない。
「これなんていかがでしょうか?」
「どれどれ…」
アウルが用意したのはピンク色が目に付くワンピースであった。襟下から左右に肩当のように大きなフリルがついている。胸元には赤色の大きめのリボンがついており、白いスカートは短く華やかなフリルで縁取られている。つまり……。
「…これ魔法少女服やないかい!」
いい歳してこんなん着れるかい!
「えー?絶対似合うと思うんですけどー?」
アウルは露骨に残念そうな顔を見せた。なんか腹立つなその顔!
「ならば…これ…着る…」
今度はクロムがチョイスした物を受け取った。水着のようなハイレグをベースにブラジャーに似た形状の胸当てがついており、四肢はさらけ出す造りになっている。さらに、へその部分にはひし形の大きな穴が開いている。つまり……。
「…これビキニアーマーやないかい!」
露出が多すぎる!
「女戦士…露出…セクシー…なのに…」
ゴーレムなので表情はわからないが、たぶんしょんぼりしている。このスケベゴーレムが!
適当なものを見繕った私はテントに向かい、着替えた。後ろをアウルがべったりくっついていたのでテントの外へ蹴り飛ばしてやった。
「…とりあえず、こんな感じかしらね」
私が選んだのは学校の制服によく似た紺色のブレザー風の上着に純白のズボン。ファッション性よりも実用性を重視したつもりのコーデだ。両腕には籠手を、両脚にはレガースを着け、少しは戦士らしい格好だと我ながら思う。
「あれ?スカートにしないんですか?」
外に出た途端アウルは不服そうな顔を向けてきた。
「動き回るってわかっているんだからこっちの方がいいっしょ?」
「えー?そこはミニスカ生足でしょうよ~?せっかく女子なんだからもっと周りにアピールしましょうよ~」
「何をだよ!」
何を好き好んで周りに露出するものかよ!ラノベのヒロインじゃあるまいし、無駄にお色気アピールするなんかないわ。あとなんかキャラがおかしくなってないかこのメイド?
もー、こいつらの趣味に付き合ったらどんな格好にされるかわかったもんじゃないわ。ぶつくさ言いながら私は視線を下ろした。
「ん?これは?」
少し長めの赤いマフラーが私の目に留まった。
今度は防具が並んでいるスペースに移動した。そこには盾や鎧、籠手や兜などいかにもなRPGでよく見る物が並んでいた。また、その隣のスペースには布製の衣類も並べられていた。民族衣装のようなオシャレなデザインの物から軍服のような実用的な物までそろっていた。
「これ全部あんたが作ったの?」
「そうだ…」
クロムは静かにうなずいた。ゴーレムというだけあってその手はごつく、指も一本一本太い。彼から見れば明らかに小さく繊細な人間の装備をよくもまあこれだけ作ったものだ。器用なんてレベルを超している。
「防具…全て…強化済み…」
防具類を指さしながらクロムは片言にコメントした。
「強化?」
「防具類には強力な素材を用いて作成し、その上、魔法による強化も施してあります。どれも並大抵の攻撃では傷一つつくことはありません」
アウルが代わりに解説した。
「ですので、防具に関しては魔勇者様の好みで選んでもらって構いません」
相変わらず至れり尽くせりね。まぁ、木綿の服よりはずっとマシね。
「装備の際はあちらの試着スペースをご利用ください」
アウルが指さした方向、訓練場のど真ん中に大きめのテントが用意されていた。
「…なんかでかくない?」
「気のせいでしょう」
いちいちツッコむのもしんどいので私は防具を物色した。好みでいいとはいってもどれがいいか正直悩む。元の世界ではファッションセンスはいまいちなほうだったのでどれがいいかよくわからない。
「これなんていかがでしょうか?」
「どれどれ…」
アウルが用意したのはピンク色が目に付くワンピースであった。襟下から左右に肩当のように大きなフリルがついている。胸元には赤色の大きめのリボンがついており、白いスカートは短く華やかなフリルで縁取られている。つまり……。
「…これ魔法少女服やないかい!」
いい歳してこんなん着れるかい!
「えー?絶対似合うと思うんですけどー?」
アウルは露骨に残念そうな顔を見せた。なんか腹立つなその顔!
「ならば…これ…着る…」
今度はクロムがチョイスした物を受け取った。水着のようなハイレグをベースにブラジャーに似た形状の胸当てがついており、四肢はさらけ出す造りになっている。さらに、へその部分にはひし形の大きな穴が開いている。つまり……。
「…これビキニアーマーやないかい!」
露出が多すぎる!
「女戦士…露出…セクシー…なのに…」
ゴーレムなので表情はわからないが、たぶんしょんぼりしている。このスケベゴーレムが!
適当なものを見繕った私はテントに向かい、着替えた。後ろをアウルがべったりくっついていたのでテントの外へ蹴り飛ばしてやった。
「…とりあえず、こんな感じかしらね」
私が選んだのは学校の制服によく似た紺色のブレザー風の上着に純白のズボン。ファッション性よりも実用性を重視したつもりのコーデだ。両腕には籠手を、両脚にはレガースを着け、少しは戦士らしい格好だと我ながら思う。
「あれ?スカートにしないんですか?」
外に出た途端アウルは不服そうな顔を向けてきた。
「動き回るってわかっているんだからこっちの方がいいっしょ?」
「えー?そこはミニスカ生足でしょうよ~?せっかく女子なんだからもっと周りにアピールしましょうよ~」
「何をだよ!」
何を好き好んで周りに露出するものかよ!ラノベのヒロインじゃあるまいし、無駄にお色気アピールするなんかないわ。あとなんかキャラがおかしくなってないかこのメイド?
もー、こいつらの趣味に付き合ったらどんな格好にされるかわかったもんじゃないわ。ぶつくさ言いながら私は視線を下ろした。
「ん?これは?」
少し長めの赤いマフラーが私の目に留まった。
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