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5歳から始まる隠れて潜るダンジョン生活
プロローグ
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汚れた肌にボロボロの衣服。傷だらけの体に回らない頭。
面白いだろ、笑ってくれていいぞ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
夢を持って出張した海外。周囲は思いのほか物騒で、会社が付けてくれた現地スタッフのガイドが居なければ外出は極力控えるしかない毎日。
あーあ、つまんねー。
そう考えていた過去の俺。この異国の地でナニカを成すと決意したのに、最早薄れて思い出せなくなったその心。仕事選び失敗したかななんて同僚と愚痴を言い合う。日々の楽しみを食事に見出し、ゲテモノ喰いも数多く。お付きのガイドには悪いことをしたと思ってる。
今日もガイドと一緒に昼休憩は外で飯屋を探すのに費やした。残念なことに開拓済みのチェーン店しか見当たらず、結局有名バーガーショップでLサイズセットを注文してテイクアウト。
店を出ようとした正にその瞬間、視界の端で光が弾けた。一瞬意識を飛ばしかけたが歯を食いしばって耐えた。痛みはないのに体は燃えるように熱く。目は灼かれて一時的に視力を失っている。土煙で鼻は効かず、耳も潰れた。
逃げねばという意識に突き動かされ、俺の後ろを歩いていたガイドの手を掴む。脳内麻薬バチバチで無理矢理体を起こし、ガイドを引きずって少しでもと外へ進む。
五感が回復し始め痛みが全身を襲う。構うもんかと少しでも前進。背後で建物が爆発した。押し寄せる風圧に転がされる。握っていたガイドの手はキツく握りしめていた。
再び立ち上がり前へ前へと進む。前へ前へ。前へ前へ前へ。
……前へ進んでいたはずなのに、いつの間にか足は止まり俺はうつ伏せに倒れていた。握っていたはずのガイドの手も既にない。
もう歩く気力が湧き上がらず、何もできる気がしない。せめてもと周囲の安全確認をしたかったが、廃墟のようだとしか思えない光景に無駄だと悟る。これは駄目だと死期を直感したので、最期に自分の姿を拝んでおく。
汚れた肌にボロボロの衣服。傷だらけの体に回らない頭。
惨めな姿の中年男性が俺だった。
口の端から乾いた笑いが漏れる。最早呻き声のようなそれはいつの間にか泣き声に変わった。
夢を抱いて日本を出てきたのに志半ばどころか志根元でポッキリ折れてしまった俺だが、今更になって夢を思い出した。
『誰かの役に立ちたかった。』
大人になっても形を潜めなかったヒーロー願望が、誰も成りたがらない職業を選ばせ、より助けを求める人が多そうな海外駐在員を志願させたのだった。なぜそんな当たり前のことを忘れていたのか、原因なんて分からない。だがいつの間にか俺は落ち着き、分相応の目標しか持たなくなってしまっていた。
最後の最期で心の奥底に根付いていたその願望が無意識的にガイドの手を取らせたのに、それすらも手放してしまった。あまりにも惨めだ。
泣き声はいつしか懺悔に変わり、後に残す者への祈りに変わった。
どうか、自分を忘れて生きてくれと。
それが俺からの最期の願いだった……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
という記憶が何故か産まれた時からあるけど、俺は元気です。
ていうかコイツあんまり悪くなくないか、とは思うけど所詮死人の記憶なのでどうすることもできない。いくら現世の俺が前世の自分(?)を慰めても仕方ないのだ。まあ何はともあれ、コイツの記憶があったおかげで今まで生きて来れたのだ。そのことに関しては本当に感謝している。前世の名前だけはどうしても思い出せないが、この無名の人物に感謝を捧げる。
さて、そんな俺の現在について軽く書いておく。
汚れた肌にボロボロの衣服。傷だらけの体に回らない頭。まんまスラム街の5歳児が俺だ。
面白いだろ、笑ってくれていいぞ。
面白いだろ、笑ってくれていいぞ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
夢を持って出張した海外。周囲は思いのほか物騒で、会社が付けてくれた現地スタッフのガイドが居なければ外出は極力控えるしかない毎日。
あーあ、つまんねー。
そう考えていた過去の俺。この異国の地でナニカを成すと決意したのに、最早薄れて思い出せなくなったその心。仕事選び失敗したかななんて同僚と愚痴を言い合う。日々の楽しみを食事に見出し、ゲテモノ喰いも数多く。お付きのガイドには悪いことをしたと思ってる。
今日もガイドと一緒に昼休憩は外で飯屋を探すのに費やした。残念なことに開拓済みのチェーン店しか見当たらず、結局有名バーガーショップでLサイズセットを注文してテイクアウト。
店を出ようとした正にその瞬間、視界の端で光が弾けた。一瞬意識を飛ばしかけたが歯を食いしばって耐えた。痛みはないのに体は燃えるように熱く。目は灼かれて一時的に視力を失っている。土煙で鼻は効かず、耳も潰れた。
逃げねばという意識に突き動かされ、俺の後ろを歩いていたガイドの手を掴む。脳内麻薬バチバチで無理矢理体を起こし、ガイドを引きずって少しでもと外へ進む。
五感が回復し始め痛みが全身を襲う。構うもんかと少しでも前進。背後で建物が爆発した。押し寄せる風圧に転がされる。握っていたガイドの手はキツく握りしめていた。
再び立ち上がり前へ前へと進む。前へ前へ。前へ前へ前へ。
……前へ進んでいたはずなのに、いつの間にか足は止まり俺はうつ伏せに倒れていた。握っていたはずのガイドの手も既にない。
もう歩く気力が湧き上がらず、何もできる気がしない。せめてもと周囲の安全確認をしたかったが、廃墟のようだとしか思えない光景に無駄だと悟る。これは駄目だと死期を直感したので、最期に自分の姿を拝んでおく。
汚れた肌にボロボロの衣服。傷だらけの体に回らない頭。
惨めな姿の中年男性が俺だった。
口の端から乾いた笑いが漏れる。最早呻き声のようなそれはいつの間にか泣き声に変わった。
夢を抱いて日本を出てきたのに志半ばどころか志根元でポッキリ折れてしまった俺だが、今更になって夢を思い出した。
『誰かの役に立ちたかった。』
大人になっても形を潜めなかったヒーロー願望が、誰も成りたがらない職業を選ばせ、より助けを求める人が多そうな海外駐在員を志願させたのだった。なぜそんな当たり前のことを忘れていたのか、原因なんて分からない。だがいつの間にか俺は落ち着き、分相応の目標しか持たなくなってしまっていた。
最後の最期で心の奥底に根付いていたその願望が無意識的にガイドの手を取らせたのに、それすらも手放してしまった。あまりにも惨めだ。
泣き声はいつしか懺悔に変わり、後に残す者への祈りに変わった。
どうか、自分を忘れて生きてくれと。
それが俺からの最期の願いだった……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
という記憶が何故か産まれた時からあるけど、俺は元気です。
ていうかコイツあんまり悪くなくないか、とは思うけど所詮死人の記憶なのでどうすることもできない。いくら現世の俺が前世の自分(?)を慰めても仕方ないのだ。まあ何はともあれ、コイツの記憶があったおかげで今まで生きて来れたのだ。そのことに関しては本当に感謝している。前世の名前だけはどうしても思い出せないが、この無名の人物に感謝を捧げる。
さて、そんな俺の現在について軽く書いておく。
汚れた肌にボロボロの衣服。傷だらけの体に回らない頭。まんまスラム街の5歳児が俺だ。
面白いだろ、笑ってくれていいぞ。
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