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待ってて
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そんな時、龍の尻尾の横薙ぎが、ミラさんに叩き込まれた。
ミラさんは大きく吹き飛ばされると、木に叩きつけられる。
「ガウウウウウウ!」
その様子を見たネロが怒りで龍にとびかかろうとする。
「駄目だ、ネロ!」
俺は必死でネロを捕まえる。
「ガウウッ!」
ネロが俺の腕に噛みつく。
だけど、この手は離せない。
「駄目だよ、ネロ。俺達じゃ邪魔にしかならないんだ……」
自分に言い聞かせるように、そう言った。
圧倒的な二体の戦いに、俺達は邪魔にしかならない。
歯を食いしばり、その戦いを見つめる。
ミラさんは起き上がると、影に潜り込んで消えた。
消えたと思ったミラさんは、龍の背後の影から突然現れると、思い切り龍の腕に食らいついた。
鱗が砕け、血が噴き出す。
そしてそのままその腕を咥えたまま一回転して龍を地面に叩きつける。
ミラさんは影を大量に体から宙に放つと、それは雨のように龍に降り注ぐ。
黒い雨を受けた龍の体が傷だらけになる。
ミラさんは全身を影で覆い鎧のようにすると、そのままその爪を龍に突き立てる。
その爪は確かに龍の鱗を貫き、胴体を大きく斬り裂いた。
鮮血が舞い、龍が大きく倒れ込む。
やった!
あれは深手だ。
ミラさん……どうかこのまま勝って。
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
突如、龍が叫んだ。
怒った龍は全身に風を纏うと、風を纏わせた爪でミラさんの肩を斬り裂く。
纏っていた影をも貫き、肉を抉る。
そのまま尻尾をミラさんに巻き付けると、お返しとばかりに地面に叩きつけた。
「グアアアアッ!」
ミラさんの叫び声が聞こえる。
ミラさんは退かない。
ただその戦いを見つめていた。
壮絶な、二度はお目にかかれない凄まじい戦いだった。
だが、少しずつ、少しずつミラさんが押されている気がする。
龍の牙がミラさんの腹部に刺さり、そして腹部の一部を食いちぎった。
「あああああ!」
俺はただ叫び声をあげた。
ネロが俺の胸で暴れる。
「ギャウウウウウ!」
駄目だよ、メロ。
だって、俺達は弱いんだから。
だけど……。
気付いたら、ネロと一緒に龍の元に走っていた。
「お、俺が……相手だ!」
勝てる訳ない。
分かっている。
馬鹿だって。何もできないって。けど、ミラさんがただやられているのを見ているのが我慢できなかった。
自分がたとえ死んだとしても奴の気を引いて一瞬でも隙を作れたら。そう思った。
だが、俺達は影から出た謎の手に捕まった。
これは……ミラさんの技⁉
その影は俺達を龍とは逆方向に引き摺り始める。
俺達を逃がすために。
「ミラさーーーーーーーーん!」
「ガウーーーーーーーーー!」
謎の手によって遠くへ運ばれる俺達はただ叫ぶ。
『逃げなさい、リオル。ネロ』
そんな時、脳内に声が響く。
『え? ミラさん⁉ 話せたの!?』
俺は驚きの声を上げる。
『念話だけどね』
どうやら俺が考えていることも伝わっているらしい。
『なら……逃げようよ! ミラさんの速さなら、逃げられるよ!』
無理して戦う必要なんてない。
俺達が邪魔なら、どこかに隠れるから。
『奴の狙いは初めから私です。やりあったのもこれが初めてではない。私を逃がすつもりはないでしょう。だけど、貴方達だけなら奴も追わない』
俺はその時、ミラさんが傷だらけで戻ってきた時を思い出した。
あの時は龍と戦っていたんだ。
『そんな……嫌だよ! 逃げようよ!』
ミラさんの覚悟が伝わって来て、涙が溢れてくる。
『ふふ……男の子が泣くんじゃありませんよ。この馬鹿を仕留めてすぐに迎えにいくから、少しだけ待ってて?』
『本当に? もっとミラさんと話したいことがいっぱいあるんだ』
『私もよ。けど、話せると甘えてしまうでしょう? この島は人間の子供にとってはとても過酷な場所です。貴方が強くなるまでは、厳しくいくつもりだったの。けど、もうばれちゃたわね。この戦いが終わったら沢山話しましょう?』
「約束だよ?」
思わず叫ぶ。
『ふふ、負けないわ。貴方達が待っているもの。ネロ、リオル、大好きよ。ネロもこれからこの島でしっかり生きていくのよ。貴方ならきっと大丈夫。貴方は私の血を引いた自慢の子ですもの』
帰って来るって言ったのに、なぜそんな別れみたいなことをくちにするんだよ。
「ガウウウウウウウウウウウウウウ!」
ネロは叫んだ。
だが、もう返事は返ってこなかった。
俺達はただ影に引き摺られ、遠くへ運ばれていた。
ミラさんは大きく吹き飛ばされると、木に叩きつけられる。
「ガウウウウウウ!」
その様子を見たネロが怒りで龍にとびかかろうとする。
「駄目だ、ネロ!」
俺は必死でネロを捕まえる。
「ガウウッ!」
ネロが俺の腕に噛みつく。
だけど、この手は離せない。
「駄目だよ、ネロ。俺達じゃ邪魔にしかならないんだ……」
自分に言い聞かせるように、そう言った。
圧倒的な二体の戦いに、俺達は邪魔にしかならない。
歯を食いしばり、その戦いを見つめる。
ミラさんは起き上がると、影に潜り込んで消えた。
消えたと思ったミラさんは、龍の背後の影から突然現れると、思い切り龍の腕に食らいついた。
鱗が砕け、血が噴き出す。
そしてそのままその腕を咥えたまま一回転して龍を地面に叩きつける。
ミラさんは影を大量に体から宙に放つと、それは雨のように龍に降り注ぐ。
黒い雨を受けた龍の体が傷だらけになる。
ミラさんは全身を影で覆い鎧のようにすると、そのままその爪を龍に突き立てる。
その爪は確かに龍の鱗を貫き、胴体を大きく斬り裂いた。
鮮血が舞い、龍が大きく倒れ込む。
やった!
あれは深手だ。
ミラさん……どうかこのまま勝って。
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
突如、龍が叫んだ。
怒った龍は全身に風を纏うと、風を纏わせた爪でミラさんの肩を斬り裂く。
纏っていた影をも貫き、肉を抉る。
そのまま尻尾をミラさんに巻き付けると、お返しとばかりに地面に叩きつけた。
「グアアアアッ!」
ミラさんの叫び声が聞こえる。
ミラさんは退かない。
ただその戦いを見つめていた。
壮絶な、二度はお目にかかれない凄まじい戦いだった。
だが、少しずつ、少しずつミラさんが押されている気がする。
龍の牙がミラさんの腹部に刺さり、そして腹部の一部を食いちぎった。
「あああああ!」
俺はただ叫び声をあげた。
ネロが俺の胸で暴れる。
「ギャウウウウウ!」
駄目だよ、メロ。
だって、俺達は弱いんだから。
だけど……。
気付いたら、ネロと一緒に龍の元に走っていた。
「お、俺が……相手だ!」
勝てる訳ない。
分かっている。
馬鹿だって。何もできないって。けど、ミラさんがただやられているのを見ているのが我慢できなかった。
自分がたとえ死んだとしても奴の気を引いて一瞬でも隙を作れたら。そう思った。
だが、俺達は影から出た謎の手に捕まった。
これは……ミラさんの技⁉
その影は俺達を龍とは逆方向に引き摺り始める。
俺達を逃がすために。
「ミラさーーーーーーーーん!」
「ガウーーーーーーーーー!」
謎の手によって遠くへ運ばれる俺達はただ叫ぶ。
『逃げなさい、リオル。ネロ』
そんな時、脳内に声が響く。
『え? ミラさん⁉ 話せたの!?』
俺は驚きの声を上げる。
『念話だけどね』
どうやら俺が考えていることも伝わっているらしい。
『なら……逃げようよ! ミラさんの速さなら、逃げられるよ!』
無理して戦う必要なんてない。
俺達が邪魔なら、どこかに隠れるから。
『奴の狙いは初めから私です。やりあったのもこれが初めてではない。私を逃がすつもりはないでしょう。だけど、貴方達だけなら奴も追わない』
俺はその時、ミラさんが傷だらけで戻ってきた時を思い出した。
あの時は龍と戦っていたんだ。
『そんな……嫌だよ! 逃げようよ!』
ミラさんの覚悟が伝わって来て、涙が溢れてくる。
『ふふ……男の子が泣くんじゃありませんよ。この馬鹿を仕留めてすぐに迎えにいくから、少しだけ待ってて?』
『本当に? もっとミラさんと話したいことがいっぱいあるんだ』
『私もよ。けど、話せると甘えてしまうでしょう? この島は人間の子供にとってはとても過酷な場所です。貴方が強くなるまでは、厳しくいくつもりだったの。けど、もうばれちゃたわね。この戦いが終わったら沢山話しましょう?』
「約束だよ?」
思わず叫ぶ。
『ふふ、負けないわ。貴方達が待っているもの。ネロ、リオル、大好きよ。ネロもこれからこの島でしっかり生きていくのよ。貴方ならきっと大丈夫。貴方は私の血を引いた自慢の子ですもの』
帰って来るって言ったのに、なぜそんな別れみたいなことをくちにするんだよ。
「ガウウウウウウウウウウウウウウ!」
ネロは叫んだ。
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俺達はただ影に引き摺られ、遠くへ運ばれていた。
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