伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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王者

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 そして翌日。
 俺とネロは住処を発つ。

「師匠、行ってきます」

「ガウッ!」

「リオル、ネロ。必ず生きて帰ってこい。リオル、これは最後の一本だ。持って行け」

 そう言って手渡されたのは、ネロの治療に使った上級ポーション。
 少しだけ余っていたのだが、大切に保管されていたらしい。

「ありがとうございます」

「今まで何度も仲間が戦地へ赴くのを見守った。だが、今回が一番辛いな」

 師匠はそう言って、俺を抱き締める。

「弟子を信じて下さい。行ってきます」

 俺は師匠と別れ、風龍の待つ遺跡へ向かった。

 ◇◇◇

 最愛の愛弟子が、風龍の元へ向かってしまった。
 リオルは強くなった。
 今では私より強いかもしれない。

 だが、それでもやはり心配だった。
 まだ十三にも満たない子供が厄災級の霊獣を討伐したなど、今まで聞いたことがない。
 あれ程強い子は世界中探しても居ないだろう。

 この地獄のような島で、様々な経験をしたからこそ生まれたと言ってもいい。
 大陸に戻れば歴史にも名を残せたかもしれない。
 だが、その事実すら悲しく思える。

 リオルは普通の農家の子供だったはずだ。
 こんな毎日命がけの場所で戦わなくても良かったのだ。
 誰かの都合で、なんの罪もないのにこの島に飛ばされ、今も私のために風龍と戦おうとしている。

 どうか、無事に帰ってきますように。
 それだけを祈った。

 ◇◇◇

 ネロと共に、森の中を歩く。

「いよいよだな。長かった……。俺達なら絶対に風龍にも勝てるはずだ」

「ガウッ!」

 ここ最近はネロと連携の練習もした。
 いけるはずだ。
 森を進むこと数時間、ようやく風龍の住まう遺跡が見える。
 遺跡を守護するかのように、風龍は入り口に寝そべっている。

 エメラルド色の鱗を纏いし、この島の頂点に君臨する龍。
 その姿を見た瞬間、恐怖と怒りが蘇る。
 誰よりも強いと思っていたミラさんを破ったあの姿。

「グウウウウウウウウウウウ」

 珍しく、ネロが怒りむき出しで唸る。
 ネロの唸り声を聞いて、風龍が目を開けてこちらを見る。
 その目は興味のない者を見る目だった。
 だが、ネロの姿を見た瞬間、目を見開いた。

『奴の子……? まさか二年ほど前に奴が逃がした子と、人間か⁉』

 その念話は、どこか楽しそうな声色をしている。
 こいつも念話を使えたのか。

「ようやく思い出したか」

『ハハハ! つまるところ復讐か! あの小さいガキ共が健気にも敵討ちに来たか!』

「ミラさんの仇は、討たせてもらう」

『この島で一番に淘汰された人如きに無理だ。お前等はただの餌にすぎん』

 奴の顔は明らかにこちらを敵と見ていない。
 愚かなガキと戯れに遊んでやろうと言わんばかりの表情だ。

「いつまでもこの島の頂点で居れると思うなよ? 今日から……この島の頂点は俺だ。完全獣化」

 俺はその言葉と共に、獣化を始める。
 全身に鱗を纏い、牙、爪、翼に尻尾を生み出す。
 俺の姿を見た風龍は笑う。

『ハハハハハハ! 古代に龍と交わった人族の末裔か! 初めて見たぞ。少しは楽しめそうだ!』

「行こうか、ネロ。龍退治だ」

「ガウッ!」
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