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まるで聖女みたいじゃない
しおりを挟む「うわ、やっぱり……」
お母様の寝室には、聖物がおかれ治癒能力を寝ている間もサポートしているようだった。どれも希少で高価な品だ。人間と魔王との闘いで、ほとんどの者が魔力を使い果たしたって、コードが言っていたけど。これだけの神聖な力が込められた魔石をよく集められたものだ。
今はもう身体は人間だから消滅することはないだろうけど、近づくことには抵抗がある。
「ベロス、あんたは外で待ってなさい」
大人しく少し離れたところへ行ったのを見届け、窓からそっと入る。鍵はかかっていたが、魔力のある私には造作もない。いざ入室してみると、やはり聖物が気になってしまう。
うぅ~~、やっぱり辞めようかしら。私がこんなリスクおかしてまでする必要なんて……でも、舞踏会のせいでもし気を落としていたら……え~~い!! さっさとやっちゃうわよ!!!!
あの時とは違い、全盛期ほどではないにしても魔力は強くなっている。偶然とはいえ、消滅の力で身体に悪さを働く何かを消したのだ。今ならそれを見つけ出せるかもしれない。ゼビル姫の時、これで相手の急所を見つけ、よく狙い撃ちしていたものだ。
えぇっと、確か眼に魔力を集中させるのよね。身体の弱っているところって、怪我なら分かりやすいんだけど……お母様の場合はやっぱり全身ね……やっぱり、あの時は全身の血の汚れを消し去っていたんだわ。だけどまた汚れがたまっているようね。すぐに風邪をひいたりするのもこの汚れが原因なんだわ。
『消滅っ!!』
お母様の全身に力が行き渡るように集中する。だが、思っていた以上に、仰々ぎょうぎょうしい程の光が部屋中に放たれる。
ちょっと、なんなのよ!? まさか、聖物が反応して!!?? いや、これ魔族の魔力なんですけど!? 聖なる力みたいに白い光とかやめて欲しいんですけど!!!!
あの時も会場中が光輝いていたが、今回はその時よりも強く、真っ白な輝きを放っている。まるで、本当に治癒魔法のようだ。これだけの光は想定外で、案の定、すぐに護衛たちが部屋に突入してきてしまった。
「王妃様、ご無事ですかっ!!」
「一体これは!?」
「え、王女様!!??」
その後も応援に駆けつけてきた護衛と使用人たちに囲まれてしまう。
「王女様、これは一体……なぜこちらに……というかどうやって……」
「いや、あの…………寂しくて??」
「ですが……扉の前は私どもが見張っておりましたが……まさか、この窓から!?」
しまった、鍵を閉めておくんだったわ……
全員が鍵の開いた窓を見つめる。
「えっと…………」
「何事ですか??」
「王妃様!!!!」
やばい、もう目覚めてしまったわ…………
起きた王妃は、目の前の状況に驚きながらも、すぐに自分の身体の変化に気づく。
「リア、どうしてここに……それに……身体が……」
「王妃様、お身体がどうか??」
すぐにお付きの侍女がかけよる。
「いいえ、大丈夫よ。本当に……なんともなくなっているわ……」
「まさか、あの白い光……王女様……」
「リア、そうなの?? 私に聖魔法を使ったの??」
げぇっ!!?? 誰が聖魔法ですって!!!! あんな雑魚みたいな力と私の力を一緒にしないで!! って言いたいところだけど……何て言えば良いのか分からないわ。まるで……まるで私がお母様の病を癒しに来たみたいじゃない。誰がそんな聖女みたいなこと……ただ、今回の舞踏会の進言をしたお母様の面子をつぶしてしまったから、その償いっていうか……私のせいで気を落として体調が悪化したら目覚めが悪いっていうか、ただそれだけの理由なだけで……
「…………」
「リア……」
黙る私をそっと引き寄せ、抱きしめる。
「ありがとう、きっとびっくりしたのね。でもね、あなたは覚えてないかもしれないけれど、あなたがまだ1才の頃、同じように母の病を癒してくれたことがあったのよ。もう少し大きくなってから、コントロール出来るようになるものだと思っていたけど……やっぱり王家の血を引いているからかしら。特別なのね」
あの時以来、誰かに魔力を使っているところを見られたことはなかった為、まだ力がコントロール出来ないのだと思われていた。だが、この状況をこんなにも大勢の人に見られてしまってはもう言い逃れ出来ない。
「まぁ、それではとうとう聖女様としての力が開花されたのですね!!」
「おぉ!!」
「聖女様のお披露目の準備をしなくては……」
「あっ、あの……えっと……」
どうしよう、この国を乗っ取る前に力がバレてしまうなんて。それに、聖女じゃないことがバレてしまったら……本当は魂が魔族だなんて知られたら……あの時は赤ちゃんだったから知らぬ存ぜぬで通せたっていうのに……
「待ちなさい」
興奮した場が一気に静まる。
「皆、落ち着きなさい。リアが……王女が驚いています。それに、今は真夜中……明るくなり次第、王に報告を。それからにしなさい……リア」
「はっはい」
「とりあえず、聞きたいことはたくさんあるけど……今は休みなさい?? あなたはまだ8才よ。もっと眠らないといけない年齢だわ」
「はい、お母様……」
「ふふ、いい子ね。戻るのが寂しければここで一緒に寝る??」
「いえ、いいです!! 自分の塔に戻って寝ます」
「あら……そう。ふふ、お休み」
「お休みなさい、お母様」
危なかったわ、あんな聖物まみれの部屋でなんて、絶対に休めないもの。
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