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14.噂
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勢いよく振り返る。そこには、真夜中だというのに白衣をビシッと決め込んだヤドラ医師が立っていた。
「……そうだ。彼女の話は聞いているな? 腕が痛むらしいが、他も確認を頼む」
「あぁ、はい。承知しました。では次期奥様、アザの具合を確認させて頂きます」
「えっ? えぇ」
えっ!? ノックもなく入ってきたことは何も触れないんですか?? それとも、心臓の音がうるさすぎて聞こえてなかったのかしら。
あまりにも自然に始まる突然の診察に頭がついていかない。
「ところで、ノックくらいしたらどうだ?」
まさに今考えていたことを公爵が言ったため、声に出ていたのかと一瞬ドキリとする。
「大至急来るようにとの言伝でしたので。それとも、公爵様は心臓が止まっているかもしれない患者の部屋をノックするのがマナーだと?」
「そうだな。僕の伝え方に問題があったようだ」
お互いが一見笑い合って喋っているようにも見えるが、なぜか部屋の温度が下がっていくように感じる。
「……問題なさそうですね。他もお怪我はなさそうですし、冷やしておけば良いかと。あとはそうですね。私の部屋から軟膏をあとで持って来させますので」
「そうか。助かった」
「いえ、では私はこれで……」
何事もなく終わり、ホッとしたように見えるその時、ドアノブに手をかけたヤドラ医師に公爵が1つ質問をする。
「ところで、腕を見る前からアザだと分かっていたのはなぜかな? ヤドラ医師医師」
「っ!!!!」
いつもの呼び方とは違うその問いに、ドアを開くことが出来ないでいる。
「切り傷の可能性もあっただろうし、骨が折れていたかもしれない。打撲でもすぐにアザは出ないこともあるだろう? なぜ、断言できたのか話してもらおうか」
詰みましたわ。
まさか、こんな状況でも言葉1つも聞き逃していないなんて。ウェイド様の記憶力が良いとは聞いていましたが、これほどとは……危なかったですわ。もし、あの自白剤で皆の前で想いのうちを話してしまっていれば即アウトでしたわね。
「…………報告を聞いておりましたので」
「そうか、彼女の腕のことはまだ僕しか知らないはずだが?」
「いえ、侍女頭からです」
「なんだと?」
「かけよった時に、腕を痛がるようにかばっていたと。でも動かせていましたし、出血はないようだと先に話を聞いていましたので。彼女は既に現場の片付けと次期奥様に関する指示の指揮をとっておりますゆて、アザが出来たのだろうと予見しておりました」
うーーん、彼女なら本当にしていそうですわ。
公爵も同じように思ったのか、少し考えたあと、とりあえず納得したようだった。
「分かった。あとは休んでくれ。薬は僕が塗っておく。明日はお前からも危険回避薬について聞きたいこともあるからな」
「危険回避薬ですか?」
目が合ったヤドラ医師はすぐに何かを察したようで、話を合わせる。
「書類にまとめて渡しておきます」
ふぅ、助かりましたわ。まぁ、薬湯の件はお互いにとってなかったことにした方が都合の良い話ですものね。
すぐに侍女が着替えと薬を持って数人やってきたが、公爵はそれを受け取ると下がるように指示を出す。
「僕がするからもう戻ってくれていい」
着替えの手伝いをと一瞬返事に困る侍女達に、もう一度言う。
「彼女の着替えの手伝いならどうしたら良いか分かっている」
含みのある言い方に侍女たちが余計戸惑う中、追い討ちをかけるように指示を出す。
「それと、次回からは首元がもう少し開いたドレスも用意するように。これではせっかくの彼女の首元のホクロが隠れてしまうからな」
「「「「っっっっ!!!! 承知しました」」」」
顔を真っ赤にさせながら退室していく侍女達を満足そうに見送る公爵に、さすがのカレンも意味が分かって真っ赤になる。
「あの……そのような言い方はまるでウェイド様が私の服を脱がしたことがあるように聞こえますが」
「その方が良い」
「?」
「君があの男に何もされていないことは状況から明らかだが、それでも良からぬ噂は立つ。まぁ、そうならないようすることも可能だが、穏便なやり方ではないからね」
一体、どんな方法を思い浮かべているのかと恐ろしくなる。
「君の純潔を他の男と疑われるくらいなら、婚約パーティの後のこの部屋で、僕と何かあったと思わせる方がずっと良いだろう?」
「っ!?」
まさか、急に接吻を交わしたのも、そういうことをしなければ分からない情報を探るためだったのですね!? やけに距離を近く見せているのも、リドル家の婚約者に万が一にも泥のような噂を立たせないための先手!!??
婚姻前のそういうコトは認められていませんが、輩とのあらぬ噂よりはよほどマシですわ!!
「まぁ、本当にキスをする必要はなかったのだが、あの時はそこまで考えていたわけではなくて……」
「ウェイド様!! 私恥ずかしいですわ!!」
「えっ……そんなに嫌だったか!?」
「いいえ、自分の考えの甘さに反省しておりますの。私ももうためらいません」
「一体なにを……」
「今日はもう遅いですわ。着替えたら早く寝ましょう」
「そうか。では一旦僕は後ろを向くから」
「いいえっ!! せっかくなら私の身体の隅々まで見て下さった方が信ぴょう性が出るというものです」
「っ!? 何をっ、えっ。えぇっ!?」
「……そうだ。彼女の話は聞いているな? 腕が痛むらしいが、他も確認を頼む」
「あぁ、はい。承知しました。では次期奥様、アザの具合を確認させて頂きます」
「えっ? えぇ」
えっ!? ノックもなく入ってきたことは何も触れないんですか?? それとも、心臓の音がうるさすぎて聞こえてなかったのかしら。
あまりにも自然に始まる突然の診察に頭がついていかない。
「ところで、ノックくらいしたらどうだ?」
まさに今考えていたことを公爵が言ったため、声に出ていたのかと一瞬ドキリとする。
「大至急来るようにとの言伝でしたので。それとも、公爵様は心臓が止まっているかもしれない患者の部屋をノックするのがマナーだと?」
「そうだな。僕の伝え方に問題があったようだ」
お互いが一見笑い合って喋っているようにも見えるが、なぜか部屋の温度が下がっていくように感じる。
「……問題なさそうですね。他もお怪我はなさそうですし、冷やしておけば良いかと。あとはそうですね。私の部屋から軟膏をあとで持って来させますので」
「そうか。助かった」
「いえ、では私はこれで……」
何事もなく終わり、ホッとしたように見えるその時、ドアノブに手をかけたヤドラ医師に公爵が1つ質問をする。
「ところで、腕を見る前からアザだと分かっていたのはなぜかな? ヤドラ医師医師」
「っ!!!!」
いつもの呼び方とは違うその問いに、ドアを開くことが出来ないでいる。
「切り傷の可能性もあっただろうし、骨が折れていたかもしれない。打撲でもすぐにアザは出ないこともあるだろう? なぜ、断言できたのか話してもらおうか」
詰みましたわ。
まさか、こんな状況でも言葉1つも聞き逃していないなんて。ウェイド様の記憶力が良いとは聞いていましたが、これほどとは……危なかったですわ。もし、あの自白剤で皆の前で想いのうちを話してしまっていれば即アウトでしたわね。
「…………報告を聞いておりましたので」
「そうか、彼女の腕のことはまだ僕しか知らないはずだが?」
「いえ、侍女頭からです」
「なんだと?」
「かけよった時に、腕を痛がるようにかばっていたと。でも動かせていましたし、出血はないようだと先に話を聞いていましたので。彼女は既に現場の片付けと次期奥様に関する指示の指揮をとっておりますゆて、アザが出来たのだろうと予見しておりました」
うーーん、彼女なら本当にしていそうですわ。
公爵も同じように思ったのか、少し考えたあと、とりあえず納得したようだった。
「分かった。あとは休んでくれ。薬は僕が塗っておく。明日はお前からも危険回避薬について聞きたいこともあるからな」
「危険回避薬ですか?」
目が合ったヤドラ医師はすぐに何かを察したようで、話を合わせる。
「書類にまとめて渡しておきます」
ふぅ、助かりましたわ。まぁ、薬湯の件はお互いにとってなかったことにした方が都合の良い話ですものね。
すぐに侍女が着替えと薬を持って数人やってきたが、公爵はそれを受け取ると下がるように指示を出す。
「僕がするからもう戻ってくれていい」
着替えの手伝いをと一瞬返事に困る侍女達に、もう一度言う。
「彼女の着替えの手伝いならどうしたら良いか分かっている」
含みのある言い方に侍女たちが余計戸惑う中、追い討ちをかけるように指示を出す。
「それと、次回からは首元がもう少し開いたドレスも用意するように。これではせっかくの彼女の首元のホクロが隠れてしまうからな」
「「「「っっっっ!!!! 承知しました」」」」
顔を真っ赤にさせながら退室していく侍女達を満足そうに見送る公爵に、さすがのカレンも意味が分かって真っ赤になる。
「あの……そのような言い方はまるでウェイド様が私の服を脱がしたことがあるように聞こえますが」
「その方が良い」
「?」
「君があの男に何もされていないことは状況から明らかだが、それでも良からぬ噂は立つ。まぁ、そうならないようすることも可能だが、穏便なやり方ではないからね」
一体、どんな方法を思い浮かべているのかと恐ろしくなる。
「君の純潔を他の男と疑われるくらいなら、婚約パーティの後のこの部屋で、僕と何かあったと思わせる方がずっと良いだろう?」
「っ!?」
まさか、急に接吻を交わしたのも、そういうことをしなければ分からない情報を探るためだったのですね!? やけに距離を近く見せているのも、リドル家の婚約者に万が一にも泥のような噂を立たせないための先手!!??
婚姻前のそういうコトは認められていませんが、輩とのあらぬ噂よりはよほどマシですわ!!
「まぁ、本当にキスをする必要はなかったのだが、あの時はそこまで考えていたわけではなくて……」
「ウェイド様!! 私恥ずかしいですわ!!」
「えっ……そんなに嫌だったか!?」
「いいえ、自分の考えの甘さに反省しておりますの。私ももうためらいません」
「一体なにを……」
「今日はもう遅いですわ。着替えたら早く寝ましょう」
「そうか。では一旦僕は後ろを向くから」
「いいえっ!! せっかくなら私の身体の隅々まで見て下さった方が信ぴょう性が出るというものです」
「っ!? 何をっ、えっ。えぇっ!?」
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