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憧れの悪役令嬢、さぁ! 悪役らしいことを....あれ? なんでみんな感謝とか崇拝してるの?

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私の名前は木下莉子、機能不全一家の高校生..人生嫌になって自殺したのよね....とりあえず回想終わり。


「レジーナ様....レジーナ様!」

「なによぉオルスト、騒々しいわね」

「兄上、ヴァールハイト様の愛犬チャピーが脱走してしまいました、どうか手伝って頂きたく..」

「嫌よ、私の仕事じゃないじゃない? それになんの得がある訳?」

「得と言いますか、むしろ損失に....以前王妃様が躾としてレジーナ嬢様のガーネットの指輪を没収した際、チャピーの首につけてしまったらしく」

「なんですってえぇぇぇ!? オルスト! 侍女や家政婦総動員よ、急いでチャピーを探しなさい!」

 そう、転生した私は異世界[アルヴイユ]でなぜか令嬢になったんだけど、前世では機能不全一家、今世は縛りの多い王族に嫌になって追放でもされようかと悪役をやろうとしてるってわけ。

「はぁ..はぁ..侍女とかも呼んだけど、結局私一人で捕まえちゃったわね、コラチャピー、脱走なんてしちゃダメじゃありませんの!」

 チャピーはクゥーンとバツが悪そうに鳴く、まぁ解決したからいいか。


「おぉチャピーこんな所に、ありがとうレジーナ、チャピーを見つけてくれて、いやぁ本当にお前は優しき妹だ! 兄さんは嬉しいぞ!」

「いえ、兄様これは違く....」

「謙遜するとは、なんて奥ゆかしい妹か」

 とまぁこれだ、私の思うままワガママに振舞ってるはずがなぜかいつも感謝されてしまうのである..早く追放されて農民として自由に暮らしたいんだけどなぁ。

「散歩に行ってきます」

「次のお稽古までには戻るのだぞ」

 とりあえず私は街に繰り出し、なにか悪事をできないか見渡していた。

「うむうむ、今日も畑がよく出来上がっとる、ワシも頑張っとる甲斐があるの....親?」

 おっ 畑になにかすれば悪役になれるかも....でも燃やしたら裁判物だしなぁ....よし!

 私は畑の一角の草を魔法でぶち抜きまくった。

「あ、ああ! レジーナ嬢様」

 ふふんっ これで私も悪役令嬢ね、さぁ父上に通報なさい

「ありがとうございます! その草は稀に発生した土壌を死滅させる有害な[デスイオン草]なんですそれを刈り取ってくださるとは....あぁ、民のこと思われてなんと優しき」

「いえ、これは」

 だぁかぁら違うのよ~~ なんでいつも人助けになってしまうわけ~~?
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