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町おこし編
第8話 ランプを作ってみよう
しおりを挟む「さてと時間もあるし、他のスキルを使ってみるか。次は加工スキルかな。」
俺は工房にあった木の板を作業台の上に置き、手にはノコギリを持つ。
木の板を見つめて唱える。
「加工」
木の板が淡く虹色に光りだす。
そのままノコギリで切り出すと、驚くほどに軽く切っていける。まるで発泡スチロールでも切っているようだ。
あっという間に木の板を切り終えると、スキルを解除する。その瞬間、頭脳に重い負荷が襲ってくる。
「うわ、これは消耗が激しいな。」
台に両手をついて休む。
少し休むと落ち着いたので、次の素材を試す。
細長い鉄板が近くにあったので、コレにしよう。
「加工」
鉄板が淡く虹色に光る。
素早くノコギリで切り出していく。
木材を切っているような感覚で鉄板が切れた。
すぐにスキルを解除すると、頭脳の負荷は先程よりも少し軽く感じた。
「虹色状態を維持している時間分だけ消耗していくみたいだな。」
俺は自分なりに考察をまとめていく。
「なら、これならどうだ?」
『・・・加工』
俺は分子の結び付きを切っていくイメージをして念じる。
鉄板が虹色に淡く光りだしたので、同じく素早くノコギリで切る。大根でも切っているみたいだ!
スムーズに切り終えたのでスキルを解除する。
頭脳の負荷は少しは低減されている。
「うーん、この使い方でも長時間の使用は無理だなぁ。」
簡単な物を加工するなら問題無さそうだが、複雑な物や大きな物を加工するなら魔力が保たないだろう。
椅子に座り休憩する。
しばらく休憩していると部屋が薄暗くなってきている事に気が付いた。もう夕暮れのようだ。
作業台の上にランプを点ける。
このランプは爺ちゃんが作った品だ。
一般家庭の生活ならロウソクや普通のランプで十分だが、夜にも作業をする職人には魔導具のランプが必需品なのだ。理由は単純に魔導具のランプの方が明るいからだ。
「次は魔導スキルを試してみるか。けど、この魔導スキルってのが一番奥が深そうなんだよなぁ。」
魔導スキルは魔導具を製作する際に使うのだが、主な効果は魔力の流れを操作し媒体に記憶させる事だ。
この媒体は魔力回路と呼ばれ、魔導具の出来を左右する重要な部品となる。
魔導スキルで如何に効果的な魔力回路を設定出来るかが魔具師の腕を判断するポイントとなる。
「コンピュータ技術のプログラミングに似たような物かな。それなら前世がプログラマーの俺には向いているだろう。」
俺は試しに魔具師の入門として教えられる簡単なランプを作ってみる事にする。
まずは燃料となる魔玉を設置する台座を作る。魔玉と接する部分を魔力回路にするのが一般的な手法だ。
『・・・加工』
さっきの鉄板の切れ端に加工スキルを使う。
分子の結び付きが緩み粘土状になるイメージを加える。
すると、粘土で遊んでいるかのような感覚で鉄板の形を変える事ができる。
「これは楽しいな!」
手早く鉄板を山の形に整える。そして頂上には窪みを作る。
「これでよしっと。」
スキルを解除する。
「だっるぅ~。」
ついつい楽しくてさっきよりも長くスキルを使ってしまったようだ。頭がダルく手足の感覚まで鈍いような錯覚がする。
椅子に座り休む。
少し回復したのでお茶を飲もうとしたがもう無かった。
仕方がないので台所へお茶を淹れに行く。
お茶を入れ直し、ポットを持って工房に戻る。少し休むと回復したので作業を再開する。
さっき作った台座に魔力回路を仕込む。
ランプの魔力回路は単純な仕組みだ。
魔玉の魔力を火の魔力に変換し小さく火を出し続けて明かりを灯すのだ。
俺はこの順番で魔力が流れるのをイメージしながら、台座を見つめて唱える。
「魔導」
台座が淡く虹色に光りだす。
そして同時に不思議な文字のような形が台座に刻まれていく。
これは魔導文字と呼ばれているのだが、詳しい事は知らない。よく分からないがなんか象形文字っぽい。
「できた。だけど、これがまたかなり疲れるな・・・」
俺は椅子に座りしばらく休む。
少し落ち着いたのでお茶を飲む。
そしてまた休む。
「ふぅ、これは絶対的に魔力が足りてないなぁ。」
ここでもレベル不足が課題になるとは。
俺は休憩しながら現状の課題を整理する。
一つ目は、レベル不足。
二つ目は、資金調達。
三つ目は、食事レベルの向上。
「当面の課題は3つかなぁ。」
レベル不足は魔物を倒すしかないよなぁ。
そうすれば魔石や素材も手に入る。
素材は売ってもいいし、魔導具に使ってもいいだろう。
資金の助けにもなるし、収入に余裕ができればもっと贅沢な食事もできる。
「ってことは、取り敢えず魔物を倒せるようにならないとなぁ。そうすれば上手くやっていけそうな気がする。」
今後の方針はある程度決まったな。
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