29 / 106
町おこし編
第26話 雷鳴
しおりを挟む樹液を回収して家に帰る途中にリィナと出会った。
「あっ!ガルドさん。今帰りですか?」
「やぁ、リィナ。うん帰りだけど、どこか行くのか?」
「いえ、ガルドさんの家に行ったんですけど丁度良かったです。」
「あれ?俺なんかお願いしてたっけ?」
「前にガルドさんを森で助けた冒険者さんが戻ってこられたので伝えて来てってお母さんがに言われたので。」
「あぁ、ジャックさんからお願いして貰っていたやつか。そうか、リィナありがとね。」
「いえいえ、今晩はうちで食事されるそうなのでガルドさんも来ますか?」
「そうだな。お礼も言わなきゃだし、後で行くよ。」
「待ってますね。」
リィナがウインクしてきた。
うむ、可愛い。なかなかの小悪魔だ。
「ガルドさんは今日も何か取って来たんですか?」
リィナが木桶の中を覗き込む。
「うっ何ですかこれ?独特の匂いですね。」
「あぁ、これはゴムの木の樹液だよ。臭いけどこれで便利な物が作れるからね。」
「へぇ~、そうなんですか!出来たら私にも見せて下さいね。」
「わかった、いいよ。」
「それじゃあ、また後で!待ってますね。」
そう言うとリィナは駆けて行った。
リィナがキャバ嬢だったらNo.1とかになっていそうだなぁ。
家に戻り工房に樹液を置いてから装備を外す。夕食時までは少し時間があるので装備のメンテナンスを済ませておく。
お腹も空いてきたので宿屋へ向かう。
宿屋へ入ると夕食時なのでたくさんのお客で賑わっている。
「まぁ、ガルド。いらっしゃい。」
「リンダさん。こんばんは。リィナから聞きました。俺を助けてくれた冒険者さんが戻られたとかで。」
「そうなのよ。今から声をかけてくるわね。」
しばらく待っていると2人の若い男女が出てきた。
「やぁ、君がガルドくんかな?」
「はい、その節は助けて頂いて有難う御座いました。」
「いや、冒険者として当然の事をしたまでさ。あぁ、俺はグロードだ。雷鳴のグロートって言えばそこそこ知られた名前だと思うけどな。それからこっちは俺の相棒のレナだ。ほら、お前も挨拶しろよ。」
「申し遅れました。冒険者をしていますレナです。元気になられたようで良かったです。」
「はい、もうすっかり元気です。有難う御座いました。」
「まぁ、俺様が助けたんだから元気になるだろうさ。ガルドくんも俺様に助けて貰った事は遠慮なく自慢して貰って構わないよ?」
「あはは、そうですね。お二人はこれから夕食ですか?」
「そうだな、この宿は料理が美味いと聞いたからな。明日にはこの町から発つし今から食べておくか。」
「それならここは俺にご馳走させて下さい。」
「そうかい?じゃあ有り難く。」
「ガルドさん、すみません。有難う御座います。」
「ガルドくんも一緒にどうだい?」
「いえいえ、俺はちょっと用事があるんで残念ですが、お二人で楽しんで下さい。」
「そうか。それは残念だったね。縁があればまたどこかで会おう。」
グロートが金髪を掻き上げてから手を差し出してきた。仕方ないので握手で応える。
無駄に強く握ってくるし・・・
最後にニヤリと笑い食堂へと消えていった。
レナはこちらにペコリと会釈してから彼の後について行った。
リンダさんに会計は俺が払う事と、しばらくしたらまたくる事を伝える。
それと彼らが部屋に戻ったら店前に箒を立てかけて置いてくれとお願いしておいた。
リンダさんも苦笑いしていた。
しかし、あのグロートとか言う冒険者は凄いな。前世でもあんなウザい奴はいなかったぞ。
一旦、家に帰り時間を潰す。
工房で生ゴムの乾燥具合を確認する。
「うん、これぐらい乾燥させたら加工しても大丈夫だろう。」
これを使って靴底を作ろうと思う。
この世界の普段履きはサンダルだ。
移動の多い時は革のブーツだが、どちらとも靴底が硬く長く履いていると足の裏が痛い。
それに滑り止めも付いてないので意外と滑りやすい。
まずは加工スキルで生ゴムのシートを半分に切る。これで1足分なのでまた半分に切る。
それから履いてたサンダルを生ゴムの上に乗せてサンダルの形に合わせて切り取る。
靴裏の側には滑り止め加工を付けたいのだが加工スキルでは面倒なので人形製作スキルで済ませる。
前世の記憶からスニーカーの靴裏を何とか捻り出す。これをもう片側も作る。
これをサンダルの裏に貼り付けてたら完成だ。
試しに履いてみた。
屈伸してみたり、ジャンプしてみたり、走ってみたりしたが良い感じだと思う。
滑り止めもちゃんと機能しているしね。
「そろそろ時間も良いだろう。ご飯にしよう。」
本日2度目の宿屋へと向かう。
もう暗くなってしまったので魔導ランプを持って行こう。
宿屋の前に着くと箒が立てかけてある。
どうやら彼らはもう食堂にはいないらしい。
「あんなのと一緒に食事したら折角の料理が不味くなってしまうわ。」
1
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜
エレン
ファンタジー
私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。
平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。
厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。
うん、なんだその理由は。
異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。
女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。
え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?
ふざけるなー!!!!
そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。
女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。
全ては元の世界に帰るために!!
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった
たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」
幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。
だが、彼らは勘違いしている。
俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。
パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。
俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。
つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。
「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」
その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。
一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。
これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。
そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる