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町おこし編
第33話 会社を作ろう
しおりを挟むそこからの3日間は忙しかった。
ゴムの作り方を教えて回り、俺が居なくても量産できる体制を打ち合わせした。
ゴムの樹液の回収班は大工のゲンガーさんをリーダーに大工組が分担して行ってくれる。
樹液だけでなく、ゆくゆくは木材としての利用や植樹も視野に入れてもらっている。
生ゴム製作班は若きリーダーのマルチが担当してくれる。
薬師の職業スキルの抽出がとても優秀だった。精製したゴムの樹液を見せて、イメージのコツを伝えるとすぐに不純物を取り除いた樹液を作ってみせたのだ。
しかも林檎から果汁を抽出したりと使い勝手が良い。これなら将来的にワインから酢を作り、酢酸を抽出する事も可能だろう。
マルチは実験オタクな所があるので配合の分量や濃度を自ら研究してくれている。
それからまだ準備中だが、ワイン酢班には食材屋のバンズさんがリーダーとして動いてもらっている。
この町では葡萄やワインの生産はまだ少ないので農家の人達と相談して自給率を上げてもらう予定だ。
商品製作班のリーダーはキリカさんに決まった。他の武具工房へも協力を依頼して品質を競い合っていくそうだ。
販売班のリーダーはもちろんゴードンさんにお願いした。
原価の確認から販売価格、そして利益の配分率まで計算を任せているので各班との連携もバッチリだ。
ゴードンさんに算出してもらった利益配分率の予定はこんな感じだ。
回収班10%
ゴム班10%
ワイン酢班10%+原価5%
商品班20%+原価30%
販売班10%
発明者5%
俺には発明者分として販売価格の5%が支払われる予定だ。
寝てても収入が得られるなんて夢のようだ。
なんて、こう言うと何もしてないように思われそうだけど俺にもちゃんと役割は決められている。
当初はゴム班のリーダーを打診されたのだが、俺は今後の計画として他所の国も見てみたい事を伝えて辞退させてもらった。
その代わり町の発展に貢献する発明をする事が俺の役割に決まった。
昼間はほとんどの時間を打ち合わせと指導に費やし、夜はサラへ基礎技術をちょこっと教えてから趣味の時間を楽しむ。
ちなみにサラの部屋に置いてあったワイン樽はバンズさんに預かってもらっている。
ワインビネガー作りの参考に使ってもらっている。
趣味の時間には生活便利グッズを色々と試してみた。それに伴い魔石もたくさん仕入れてサラの指導を兼ねて精製を頑張ってもらった。
今のお気に入りはお湯が出せるタライだ。
水属性で水を出し、火属性で熱する。
これは好みの温度になるように魔導回路を何度も設定し直した。
この世界でお風呂は贅沢な物だからね。
せめて体を拭くのはお湯が良いので毎日愛用している。いつかお風呂は作りたいね。
他にもゴーレム体は少しずつだが作り続けている。可動部分をイメージするのが難しく小さい模型を作って動きを試してから製作をしているので、まだ胸下までしかできていない。しかし関節部分のコツも掴んできたので残りはもう少し早く作れると思う。
こんな感じで最近は忙しかったが充実はしていた。そして今日は午前から各リーダーが集まっての打ち合わせがある。
サラには課題を出して留守番を申し付けた。
冒険者ギルドに到着すると爺さん以外のメンバーは揃っていた。
俺が席に着いて隣のバンズさんと話しているとサイモンの爺さんとクラナがやってきた。
「皆、揃っておるのう。では早速始めるかう、まずはゴードン、その後の連携で問題は無かったのか?」
「そうですね。まだ本格的に始動してないですが各班内、リーダー間の連携は問題無さそうです。」
「ふむ。何事においても情報の伝達は重要じゃからのう。今後は細かく複雑化するじゃろうから連絡網をしっかりと整理しとかんとのう。」
その後は各班からの報告と連絡や意見を交換した。
ゴム班から供給開始の報告が出たので、いよいよ量産型が始まる。
俺は明日から王都へ出発し、市で販売と宣伝をする任務がある。その為の商品は既に準備が出来ており、出発時に馬車乗り場で受け取る段取りだ。
予定していた打ち合わせを終えると、ここでスミスさんが1つの提言を出した。
「それでだ。いよいよ町ぐるみで動いていく訳なんだが、我々はギルドと名乗った方が良いのだろうか?職業の壁を超えた繋がりなのでギルドとも違うように感じるが。」
「そうじゃのう。我々は町としての繋がりではあるが、何か旗印のような物があった方が団結しやすいかもしれんのう。」
各班のリーダー達も確かにと言った顔で自分達の関係性が理解できないでいた。
「それなら、我々は会社としてやっていくのはどうかな?」
議論が停滞したタイミングで俺は提案した。
「会社と言うと、王都のロイヤルフーズ社や帝都の金狐会の事かのう?」
「うん。どちらも国営だけど、俺たちもそれに匹敵するぐらいの規模を目指そうよ。」
「ふむ。確かに将来的な規模を考えるとそれも面白いかもしれんのう。」
「しかしマスター、会社を名乗るのには許可などは必要なのでしょうか?」
「それは儂にも分からんのう。まぁ評判になれば向こうから何か言ってくるじゃろう。」
これからは会社として周りから認めてもらう為に頑張っていこう。
各リーダー達もやる気に満ちているようだ。
その後に話し合った結果、代表者はスミスさん。相談役にサイモン爺さんとした。
そして社名はゴムノキに決まった。
今までは嫌な木と呼ばれていたあの木は、この日を境にゴムの木と呼ばれるようになっていった。
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